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雪へと消える  作者: 桜霧 風華
4/11

4.ぬくもり

友輝に怒られてから数週間がたったある日、友輝は風邪をひいてしまう

その時、雪を助けた本当の真実が語られる

その真実とは・・・

4.ぬくもり


 友輝に怒られてから数週間がたった頃、友輝は熱を出していた。


「ゴホッゴホッ・・」


「友輝、大丈夫?」


ベットで寝ている友輝に話しかける。風邪が辛いのか、顔色が悪かった。


「大丈夫だ・・心配すんな・・・」


無理やり笑顔を作る友輝を見て笑ってしまった。


「友輝っていつも自分のこと後回しにしてるよね?」


「笑うなよ・・」


ふと机の上に目がいって、一枚の写真と目が合った。そこに写っていたのは小さい友輝と美しい女性だった。


「友輝、これは?」


その写真を見ると友輝は一瞬だけ固まった。


「それは、俺の母親だ」


「そうなんだ・・一度会ってみたいな」


友輝は苦い顔をしていた。心配になって声をかけた。


「友輝・・・?」


「母さんは、〝自殺したんだ″」


「え・・・」


心臓が止まりかけた。

(友輝のお母さんが・・自殺・・・)

考えられなかった。私と同じように自殺をしようとしてたなんて・・・


「ごめん、友輝・・・」


「いいよ。これが雪を止めた理由だからな」


心の中がギュッとなる。申し訳なくてすっと立ち上がった。


「夕ご飯の買い物に行ってくるよ」


「・・って・・おい・・」


逃げ出すように外へと飛び出す。近くのお店まで歩いて向かう。少し肌寒いのが痛いくらいだった。風邪に聞きそうな料理を頭で思い浮かべて買い物をした。

(何か・・・いいものを作らなきゃ・・・)

頭の中がグルグルしていく。やっと買い物を終えて家に帰ると・・


「あら?あなたは・・」


そこには友輝と同じ制服を着た女子高生がいた。


「今、友輝さんのところでお世話になっているものです」


その瞬間、女子高生の顔つきが変わった。


「あなたが友輝を変えたのね・・友輝にとってあなたは必要なの?」


「それは・・・」


考えてみると、私は友輝にとって何なのか、わからなくなっていた。


「必要ないでしょ?だからさっさと出て行ってくれない?友輝はそれで楽になれるの・・だからこの場から〝消えて″」


心に深く刺さった一言。消えろの言葉。また心の中が闇に染まっていく。


「わかりました・・・これでなにか作ってあげてください・・もう私はここへは来ません・・」


買い物をした袋をその女子高生に渡し、歩き出した。その人は友輝の家に入っていった。

(私は・・・私は・・)

今までもらったことが蘇っていく。ぬくもりや優しさを感じた日、とても幸せだった。

(友輝に知られる前に、あの崖に行こう・・・)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ガチャっと扉があいた。ゆっくり体を起こしていく。


「雪?帰ったのか?」


玄関から顔を出したのは・・


「やっほ~友輝」


「美香!?」


手には買い物袋を持ってこっちへと歩いてきた。


「美香・・俺は縁を切ったはずだ・・・なんできた・・雪は?」


「あの子、雪っていうのね。あの子ならどこかに行ったよ」


「は?」


「もう大丈夫だよ。私がガツンと言ったから。あなたは友輝にとって必要ないからって、だから消えてってさ」


満面の笑みで答える美香を俺はビンタした。


「痛い・・!何するの!?」


「お前・・!あいつがここにいる理由を知ってから追い出したのか!」


「へ・・?」


「あいつは俺の母さんと同じで、自殺しようとしてたんだよ!!そこを俺が止めてやっと笑えるようになったのに、お前はどうして自殺に追い込むようなことしか言えないんだ!!だから俺は嫌いなんだよ!!!」


声を荒げて美香に問い詰める

「私はただ・・まだ友輝が好きで・・」


「出ていけ!!!!!」


美香を涙目になって家から出て行った。しばらく寝たおかげで体が少しずつ動くようになってきた。急いでコートを羽織り、外へと飛び出す。

(お願いだ・・間に合ってくれ・・!)

心の中で雪の名前を何度も呼んだ・・・

いつもの生活が崩れていく・・・

そんな予感がしていく4話。友輝は間に合うのか・・・

5話に続く~

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