↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(旧) 天才は異世界の救世主[厄災]となる  作者: ポルゼ
第二章 宗教と竜の瞋恚
34/59

シグガンマ国・バレコール

 裏社会との事が収束した次の日の夜にアークツルスを出発し、フェンシェント国の南に位置するシグガンマ国を目指す世莉架達は、宿を出て再び進む。

 シグガンマ国へはまだまだ時間がかかるが、四人はシグガンマ国まで続く森に囲まれた大きく長い大通りを歩いて行く。


「近くに運河が流れているからか、涼しいわね」

「そうだね」


 その大通りの近くには、大陸の南側に多く敷かれている運河のうちの一つが流れている。それはフェンシェント国とシグガンマ国を結んでいる運河だ。

 やがてフェンシェント国を出てから二、三個の町や村を通り過ぎた。

 それでもまだまだシグガンマ国には着かないが、のんびりとした日々が続いた。

 しかし、トラブルや想定外の事態というのはいつ起こるか分からないものである。


「何……?」


 突然、地面が揺れた。何事かと周囲の人達も動揺し、足を止める。

 世莉架達も歩みを止め、辺りを見渡す。世莉架はすぐにその揺れが起きた原因があろう場所に目星を付ける。


「少なくともこの揺れは自然現象では無いわね。地震ならばあるはずの初期微動が全くなかったし、不自然な揺れだった。となると誰かが戦っているのかしら」

「冒険者が強い魔物と戦っているとか?」

「それにしても、こんな人通りの多い道の近くで戦っているなんてかなり危険だけどね」


 世莉架は考える。このまま先程の揺れを無視して進むか、一応揺れが起こった場所に向かうか。これが本当にただ冒険者が目的の獲物と戦っているだけならば無視して進んで良いだろう。わざわざ面倒事に首を突っ込むことは無い。

 だが、世莉架はなんとなくその戦っている者の気配に憶えがあった。


「ちょっと見に行ってみましょうか」


 結局世莉架は見に行くことにした。一先ず近くに行って隠れながら様子を見る。それで勘が外れていたら黙って道に戻って来れば良いだけのことだ。

 メリアス達は頷いて世莉架について行く。

 森に入り、世莉架が目星を付けた場所に向かって行くと何やら複数人の声が小さく聞こえてきた。


「口論してる」


 耳の良いアリーチェはその小さな声を聞き取り、口論していることを確信した。

 その会話は穏やかでは無いようだ。

 

「そんな感じね。冒険者同士のトラブルとかだったら可愛いものだったんだけど……どうやらそうでもなさそうね」

「なんか神の信仰がどうとか言ってるね」

「……」


 同じく耳の良い世莉架も会話を微かに聞き取っていた。その内容は世莉架がため息をつくのも仕方がなかったものであった。


(例の宗教に入信している人間かしらね。早速出会うことになるとは……まともでは無いんだろうと思っていたけれど、やっぱりその認識は間違っていないようね)


 四人は更に近付き、木の裏に隠れる。その木の先には十人程の白いローブを着ている人間と、二人の男女が睨み合っていた。

 そしてその周辺の木は倒れ、地面には大きな穴が空いている場所もあった。間違いなく先程の揺れを起こした原因であろう。

 世莉架は二人の男女から感じる雰囲気や魔力に覚えがあった。


「人間に化けて何をするつもりだ! 我々を殺しにでも来たのか、邪悪な種族め!」


 白いローブ集団の中の一人が前に出て言う。

 人間に化けて、という台詞から世莉架を除いた三人は困惑の表情を見せる。

 だが、世莉架はこの時あることを予想した。


「そんなつもりはないと何度言えば分かる。私達はこの世界を案じているのだ。世界のためなら人間とも手を結ぼう」

「そんな妄言に騙されるか! 貴様らがいなくともアビタル様のご加護を受ければ魔族など簡単に滅ぼせるのだ!」

「それはあまりに現実が見えていない。そもそも本当にアビタルとやらがいるのならば、早々に加護を貰って戦いに行けば良いだろう」

「そんな簡単にご加護は貰えないのだ。どれだけ貴重なものだと思っている!」

「知らん」


 一方はなんでも否定して主張を押し付け、一方は冷静に言葉を選び、当然のことを言っている。

 明らかに白いローブ集団が危険な思想を持っていそうである。


「話にならない! 皆の者、人間の姿に化けてこの世界を闇に陥れようとする悪魔の竜共を討ち滅ぼすのだ!」


 白いローブ集団は一斉に魔法を準備する。容赦無しで、本気で殺そうとしているようだ。


「竜……って言ったよね今」


 ハーリアは先程の白いローブ集団の中の一人の発言を聞いて驚いていた。

 確かに、悪魔の竜共と言っていた。


「聞いたことがあるわ。竜は人間の姿に変身することができるって」

「高度な知能と魔法技術を持ち、あらゆる種族の中でも上位に位置する竜族……まさか、本当に?」


 アリーチェの言うことが本当ならば、白いローブ集団と相対している二人の男女は人間に変身している竜ということになる。


(やっぱりね)


 それを世莉架は予想しており、その二人の人間の男女に見える竜は前に会ったことのある竜である可能性を高く見ていた。


「ルーナ、もういいだろう」

「……はぁ。それでも殺すのは禁止だ」

「面倒だな」

「そう言うな」


 二人の男女は恐らくそれまで反撃せずに落ち着いて話をするように説得しようとしていたのだろう。

 そして何より、男の方が女をルーナと呼んだ。世莉架はその名前を持つ竜を知っている。

 二人の男女は白いローブ集団の攻撃を避け、魔法は使わずに圧倒的な身体能力を用いて全員を瞬時に気絶させた。

 

「……さて、そこで隠れている者達。出てきてくれないか」


 それは間違いなく世莉架達を指していた。竜は気配を探るのも得意なのだ。

 世莉架以外は見るからに動揺している。人間は竜を恐れていることが多い。大昔には竜と人間の戦争があったり、誰でも学校や家庭で竜の恐ろしさを教えられるのだ。

 だがそれはあくまでイメージで、実はそこまで好戦的ではなく、温厚とまではいかずとも冷静に話のできる竜は多い。

 世莉架は何ら怯えることも動揺することもなくスッと立ち上がり、木の影から出る。


「久しぶりね」


 そう言いながら出て顔を見せると、男と女は驚愕の表情になる。


「お、お前……!」


 そう、今世莉架の眼前にいる人間の姿に化けている竜達は、かつてフェンシェント国のルインで世莉架が冒険者として依頼を受け、山に向かったところで出会った竜のルーナとドーバであった。


「まさか、貴方達とこんなところで出会うなんてね」

「……」


 白と黒っぽい色の服を着ていて、端正な顔立ち、少しだけ焼けている肌、灰色が混じった黒髪の格好いい青年の見た目になっている、元は白い竜のドーバは世莉架をきつく睨みつけている。

 世莉架は一度ドーバと戦ってボコボコにしてしまったため、嫌われているようだ。

 

「セリカ、どうしてここに?」


 赤色に黒色が混じったドレスを着ていて、同じく端正な顔立ち、真っ白な肌、世莉架のように赤色が混じった黒髪の美女の見た目になっている、元は赤黒い竜のルーナが尋ねてくる。ちなみに髪は世莉架のように長くなく、肩甲骨あたりまで伸びている。


「大きな揺れを感じたから、何かあったのかと思って見に来たのよ。そしたら貴方達がいたんだもの、驚いたわ。というか人間の姿に変身できるのね」

「基本能力は下がってしまうがな。他種族の国に入るにはこの姿でなくては」

「へぇ。どこの国に行こうと思っているの?」

「シグガンマ国だ」

「それは奇遇ね。私達もこれからシグガンマ国へ向かうのよ」

「達、か。お前に仲間がいたとは驚きだぞ」

「何故?」

「お前ならば誰かと組む必要はないだろう」

「そんな事ないわ。私一人じゃ何もできないからね」

「嘘をつけ」


 二人はまるで友達かのように話をしている。そんな様子を見て危険はないと判断したメリアス達が木の陰から出てくる。


「世莉架、どういうことなの?」


 困惑した表情でメリアスが説明を求める。


「彼女らとは一度会ったことがあるの。ルインにいた時にね」

「そ、そうなんだ。危険……ではないの?」


 メリアスが世莉架の耳元で囁く。


「大丈夫よ。さっきのやり取りを見れば分かるでしょう? 彼女らはどこかの宗教団体よりよっぽど話が分かるし冷静だわ」

「世莉架がそう言うのならきっと大丈夫なんだろうけど……これからどうするの?」

「そうね……ルーナ、ドーバ。貴方達はシグガンマ国に行って何をするつもりなの?」

「ふむ。個人的にはお前になら話しても良いと思っているのだが……」

「ちょっと人には話せない内容ってことね」

「あぁ。だがここで出会えたのは何かの縁だ。どうせならシグガンマ国まで一緒に行かないか?」

「な……!」


 ルーナの提案にドーバがいち早く反応した。

 それは世莉架達にとって悪くない提案だった。ただデメリットを挙げれば、何故か人に変身しているルーナ達を見破れた様子だった例の宗教団体に、一緒にいるところを見られた世莉架達も一緒に追われることになるかもしれないということがあり得るということくらいだ。

 しかし、世莉架の本当の目的はその宗教団体にある。ならば一緒に行動した方が色々と都合が良い。


「えぇ。一緒に行きましょう」

「おい、ふざけるなよ」

「ありがとう。それにしても、こいつらどうするか」

 

 ドーバを無視してルーナは気絶している白いローブ集団を見る。


「彼らは何者なの? 宗教に関わっている人達に見えたけど」

「その通りだ。私も詳しくは知らないが、アビタル教という宗教だ。聞いた話によると最近とても勢力を増している宗教らしくてな。最初はシグガンマ国内で生まれた宗教のようで、シグガンマ国内にいくつかアビタル教の大きな教会があるらしい」

「さっきの会話を聞いていたけど、人の姿に変身している貴方達竜を見抜いていたようだったわよ。しかも、かなり嫌っているようだったわ」

「アビタル教の教えでは、人間がこの世界で最も至高の生物で、上位種族と呼ばれる私達竜やそれ以外の希少種などは、かつてアビタル様とかいう神様に反逆した愚か者で倒すべき敵となっているらしい」

「いかにも悪徳宗教って感じがするわ」

「同感だ。そして何故奴らが私達の正体を見破られたのかは分からない。奴らが嫌う種族を見抜く何かがあるのかもしれないな」


 やれやれといった風にルーナはため息をつく。

 やはり、面倒な宗教団体であることは間違いないようだ。


「変身しているのにね……それと一つ疑問が湧いたのだけど、尋ねても良いかしら」

「なんだ?」

「貴方達は竜族よね?」

「あぁ」

「では、竜神族とは何が違うの?」


 アルファ達から聞いた勇者の情報の中には、竜神族から現れたという勇者の存在があった。それ故に世莉架は気になったのだ。

 違いは「神」が入っているかいないかだが、その理由を世莉架は尋ねている。


「ふむ、我々は純粋な竜だ。その血筋に他の種族が入ることはない。だが奴らは違う。当たり前だが奴らが神の如き力を持っている訳ではないぞ。奴らは元々は人と竜の両方の能力や姿を持つ変異種族だった。だが、いつからか色々な種族と竜の能力や姿を持つ者が現れ始めた。だから奴らの里に行くと竜と他の種族との姿を持ち合わせる奴らが沢山いる。そんな異形な彼らを恐れた者達が、その多様で不自然で謎多き種族を神との融合を果たした種族と思い、呼び始めたのが竜神族であり、そう呼ばれることになった理由だ」

「なるほど……」

「そういえば、竜神族の中に勇者となった奴がいたな」

「えぇ、いるわね。竜族と竜神族は仲は良いの?」

「ふん。悪いに決まっているだろう。あちらもこちらも互いに見下し合っている」

「それは難儀な話ね」

 

 世莉架が納得したのを見てルーナはドーバの背中を叩く。


「よし、それじゃあ行こう」


 ルーナを先頭に、元の大通りへ戻っていく一行。

 戻り始める直前に、世莉架はこっそり気絶している白いローブ集団のうちの一人から何かを手に取り、ポケットにしまっていた。それが何の役に立つか立たないかはまだ分からないが、世莉架は直感でそれを手に入れておくべきだと思ったのだ。

 また、大通りへ戻って行く途中、ドーバはずっと不機嫌そうにしていたが、何か危害を加えようとすることはなかった。ルーナの言うことにはあまり逆らえないのかもしれない。

 そんな中、世莉架はルーナの耳元であることを囁いた。 


「ルーナ」

「なんだ?」

「私が一度ドーバと戦って勝ったということを私のパーティメンバーに言わないで欲しいの」

「何故?」

「ごめんなさい、理由は言えない。けれど、私が竜に勝ったことがある、なんて事実が発覚するのは困るのよ」

「ふむ、よく分からんがお前がそう言うのなら黙っておこう。ドーバには言わなくて良いのか?」

「あの様子だと、相当根に持っているでしょう? 彼はプライドが高そうだし、私達がその話を振らない限り自分からは絶対に話さないわよ」

「それもそうだな」


 そんな話をしながら、一時的にだがパーティに二人増えて六人で行動する世莉架達だった。





 **





「見えてきたぞ」


 それから三週間程が経過し、ようやく美しく巨大な湖とシグガンマ国が見えてきた。どうしても歩きだと時間がかかる。これからはお金がかかっても馬車を使おうと世莉架は考えていた。


「そういえばルーナ達はどうやって国に入るの? 門の所で止められたりしない?」

「大丈夫だ。今の私達は冒険者ということになっている。ライセンスカードを偽装しているし、入ることはできるだろう」

「あはは。偽装できる技術が凄いよ」

「私がやったのではないぞ。そういう事に腕の立つ者がいるのだ」


 メリアスとルーナは楽しそうに話している。この三週間程でルーナとメリアス達はかなり仲良くなった。最初こそルーナは世莉架としかあまり話したがらなかったが、段々と心を開いていき、今では普通の友達のようだ。

 ドーバは相変わらず口数が少なく、常に距離を取ってはいるが、不機嫌そうにしていることは少なくなった。

 一行は更に近づき、門の前の列に並んだ。


「本当に領地の半分くらいが湖の上にあるんだね」


 メリアスは目を輝かせている。シグガンマ国の首都、バレコールはフェンシェント国の首都であるアークツルス程ではないが、かなり近い大きさを誇る都市だ。

 領地の半分が湖の上なため、道路と水路が複雑に入り混じり、幻想的な景色と独特の町並みに圧倒される者が多い。

 やがて一行はバレコールに入るための審査を受けた。

 フェンシェント国の首都のアークツルスに入る時、メリアスは冒険者ではないので身分証明書になるような物を持っていなかった。しかし、当時はルイン攻防戦があったばかりで、世莉架がルイン攻防戦で戦った冒険者だと証明できたことで一緒にいたメリアスも同じ冒険者だとして入ることができた。

 しかし、国によって入国審査は異なる。フェンシェント国は厳しい方だが、そこまで厳しくない国もある。

 シグガンマ国の入国審査は少し緩い方だろう。冒険者のライセンスカードなどの身分証明書を一緒に入ろうとしている者のうちの誰か一人が持っていれば大体入れるのだ。


「おおー……」


 きちんとシグガンマ国の首都、バレコールに入ることができた。そこは美しく、綺麗な都市であり、白い建物が非常に多い。

 世莉架とドーバ以外は皆、感嘆の声をあげる。

 

「なかなか良い場所ね」


 声には出していなくとも、世莉架も美しくて良い場所だと感じていた。それこそ、例の宗教がなければ最高の場所だろう。


「それでは、私達は私達の目的のために動くしよう。この国にどれくらい滞在するかは分からないが、またそのうち会えることだろう」


 ルーナはバレコールの一番奥に見える真っ白な城をチラッと見てから言う。


「えー! 一緒に行動しようよ。私達が力になるからさ」


 メリアスとハーリアとアリーチェはルーナに詰め寄る。本当にルーナを気に入ったようだ。


「む……私も出来ることならお前達と一緒にいたいが、そういう訳にもいかんのだ。お前達を巻き込むようなことはしたくないしな」

「ほら、ルーナがそう言っているのだから諦めなさい。バレコール内にいるうちならどこかでまた会えるわよ」

「うむ、またすぐに会える。だから少しだけさよならだ」


 渋々納得した三人はルーナから離れる。

 だが、世莉架は逆にルーナに近づき、耳元に口を寄せる。


「貴方達の目的は知らないけど、例の宗教団体には最大限気をつけなさいね。ここは言わば奴らの総本山。至る場所にいるわよきっと。そして奴らは貴方達竜を見抜ける何かを持っている。町のど真ん中でドンパチやらないようにね」

「ふっ、分かっている。我々も面倒事は出来るだけ避けたいからな」

「そう、なら良いのよ」


 そして一行は別れて行動し始めた。


「それで、どうするの? 本当にただ観光しに来た訳ではないでしょ?」


 するとアリーチェが世莉架にそんなことを尋ねてきた。


「まずは冒険者としての仕事をしましょう。そろそろ冒険者ランクを上げておかないと報酬の良い依頼を受けづらいからね」

「なるほど。それ以外には?」

「この国のこと、この国の周辺について調べましょう。まぁ、冒険者としての仕事をしていれば勝手に様々な情報が入ってくるとは思うけどね」

「じゃあまずは冒険者ギルドに行こう!」


 メリアスとハーリアは手を繋いでおーっと声をあげて盛り上がっている。

 町を散策し、たまに買い物をしながら冒険者ギルドを探していると、大きな白い建物が見えてきた。


「……」


 それは例の宗教、アビタル教の教会である。アビタル教のシンボルは六角星のようで、教会の入り口に大きく彫られている。

 世莉架の目つきが自然と細められる。他三人もアビタル教に気づいてから少しだけ雰囲気が重くなる。


「あれって、前にルーナ達と戦ってた宗教のだよね?」


 ハーリアが世莉架に聞く。


「えぇ。碌でもない連中のようだから、出来るだけ関わらないようにしましょう」


 世莉架はそう言っているが、本当の目的はそのアビタル教なのだ。どこかでハーリア達と別れ、単独で情報収集からの潜入、更にその奥深くまで進むことを考えていた。

 そこで先程の冒険者の仕事をするというのが役に立つ。ハーリアとアリーチェ、メリアスの三人に何らかの理由をつけて仕事に行ってもらい、世莉架は単独行動をする。

 だが、そんな思惑をなんとなくでも察することができる者がすぐ近くにいる。


「……世莉架、私は絶対に世莉架から離れないからね?」


 メリアスが世莉架の表情を見て小さい声でそう言ってきた。

 世莉架は内心やれやれとため息をついていたが、同時に小さな嬉しさも湧き上がっていた。


「あら、プロポーズかしら」

「ち、違うし!」

「残念」


 メリアスは慌てて否定する。そんな様子が可笑しかったのか、世莉架は思わず笑みを浮かべた。

 波乱の予感を確かに感じながら。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] この信頼できるパーティメンバーならセリカさんは実力隠さなくても良いだと思います。というかもうある程度気付かれたじゃん。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。