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そうだ新しいお金を作ろう

 お金余ってる。いや、ふざけているわけではなく……。公国、帝国、連邦と次々貿易相手を増やし、魔法を用いた農産品と、公国から輸入した資源をドワーフたちの技術で加工し輸出するいわゆる加工貿易とで、エルフの村は莫大な利益を上げていた。ただそうなってくると、ある問題が発生する。


「ねえサヤ、これどうしよ?」

「そうですね……どうしましょうね」


 リツの右側には山積みになった帝国金貨、左側には同じく山積みの連邦金貨、後ろには少しの公国金貨があった。なぜ公国金貨だけ少ないのかといえば、公国へは農産品の輸出もしているが、公国からは資源の輸入もしているからである。一方で、帝国と連邦にはほとんど輸出しかしていなかった。


「それにしても、ことごとく金貨だね」

「まだ金本位制ですらないですし」

「そうかー、そうだよねー。でもどうするのこれ? ちなみに純度は?」

「どれも似たようなものですね。1枚あたりの重さが違いますので、1枚の価値は違いますが、重さが同じなら同じ価値と言っていいでしょう」

「何だじゃあ簡単だね。さっそくレズリーお姉さんのところに行こうか」



 勝手知ったる我が家、とまではいかないまでも、リツはなれた様子でレズリーの工房をドアを開ける。


「やっほー、レズリーお姉さーん」

「あらリツ、どうしたの?」

「うんちょっとね。これと同じ純度の金で新しいお金作って欲しくてさ」

「いいけれど、どうして?」

「ここで新しいお金を作ってね―――」


 リツはこれからやろうとしていることを説明した。


「あなた、かわいい顔してなかなか怖いこと考えるのね」

「もう、かわいいだなんて照れるよー」

「いや褒めてないんだけど……まあいいわ。2、3日で量産の目処がつくはずだからその頃また来てちょうだい」

「りょーかーい」


 レズリーの言葉に偽りはなく、それから3日後にはエルフの村金貨(仮)の量産が始まった。ちなみにデザインはうさぎだった。なにげに毛の彫り込み細かく、容易に偽装できないようになっているのがすごい。

 リツは次のステップに移ることにした。



 リツは、今から各国に物を売りに行くエルフたちの前に立っていた。ちなみに公国にいく者以外はみんな、普通の人間に見えるように魔法で変装している。


「いい? 今回から支払いはこの金貨でしてもらうことにしてね。当然お客さんは持ってないはずだから、両替してあげて。交換比率はこの紙に書いてあるから。この紙通りなら金の量は変わらない、ってちゃんと説明するんだよ?」

「「「「わかりました」」」」

「よし、じゃあいってらしゃーい」


 こうして、エルフの村金貨(仮)の流通が始まった。金貨に描かれたうさぎについて誰が説明したのか知らないが、気がついた時にはサヤちゃん金貨と呼ばれていたその金貨は、半年もしないうちに公国、帝国、連邦の3国全体へと広がっていった。

 その過程で金貨製造に追われれるレズリーたちドワーフの癒やし役としてサヤがもふもふされる日々が続き、最後の方はサヤのほうが疲れていたのだが、それはまた別のお話。

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