どこの世界も政治家ってのは汚い
王に取り付いていた魔族を滅ぼしたリツは、どうしたものかと考える。
目の前には、魔族が抜けたためか、気を失っている王が倒れている。
―――この状況って誰かに見られたらまずいんじゃないでしょうか
強力な魔法を使う噂のリツと、その前で倒れている王。魔族の存在を知らない家臣あたりに見られたら、完全にリツの仕業だと思われるだろう。
そして、嫌な予感というのはよく当たる。
「なっ、貴様! まさか魔族を……じゃない、王に何をした」
―――上手くないですね。しかしこれはまずい
思わず魔族を口にしてしまうあたり、まだまだ政治家としては駆け出しなのだろう。
ともあれ、家臣連中が魔族の存在に気がついていたことはわかった。しかし、状況は良くはない。
もし今来た彼が、私が王を攻撃した、といえば、それを反証できるものはリツの手元にはない。
そして先程言い直しところからして、彼はリツを排除するつもりだ。
―――まあ、男しか権力を持っていない時代に、幼女の権力者など目の上のたんこぶでしょうしね
その後、リツの読み通り、その政治家がリツを、王を襲撃した大罪人としたことで、リツは王国を追放されることになったのだった。
*
「よし滅ぼそう」
「マスター、それはいくらなんでも極端すぎなんじゃないですか?」
どの国にも属さない森をずかずかと進んでいく。
隣国にまで危険人物として周知されてしまったせいで、こんなところしか行くところがなかったのだ。
「いや、滅ぼすよ。全く政治家って奴らはどいつもこいつも!」
小さいリツの背より高い草丈の中を歩いているためわかりにくいが、リツの足音からは苛立ちが感じられる。
「マスターは本当に政治家が嫌いなんですね」
「そりゃあそうだよ。何回想定問答集を修正させられたと―――」
「どうしました、マスター」
「サヤ、あれは何?」
リツの視線の先には、集落のようなものがあった。しかし、どこの領地でもこの森に、人など住んでいるのだろうか?
「おかしいですね、解析した時は何も無かったはずですが」
女神によって機能を維持したまま転生しているサヤは、この世界の仕様に合わせて、基本的に魔法で動いている。裏を返せば、その解析魔法を遮る何かがあれば、サヤに気づかれないこともできるが、そんなこと可能なのだろうか。
「行ってみる?」
「そうですね、今のマスターなら何かあっても大丈夫でしょうし、行ってみましょう」