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目指せ工業国、ドワーフ勧誘作戦

 公国に野菜を輸出し、公国から資源を輸入する。帝国にも野菜を輸出し、帝国からは機械を輸入する。現状新生アルヴァンメンシュの貿易状況はこんな感じになっていた。


「サヤ、これすごくない?」

「そうですね、かなり精巧な作りのようです」


 帝国との貿易が始まってしばらく経った頃。リツは帝国からは輸入されてくる紡績機を見ながら、その精巧さに驚いていた。


「誰が作ったかわかる?」

「ドワーフですね」

「そういえば、「白うさぎ」のみんなが帝国にいたって言ってたね」

「はい、現在ドワーフは帝国の保護化にあるようです。その見返りとして、この紡績機のような工業製品を作らされているようですね」

「なるほど。じゃあもしかして、あんまり待遇が良くなかったり?」

「少なくともむこうにいた時のマスター程ではないと思いますが、よくはないみたいですね」

「むこうにいた時の私くらい酷かったら死んじゃうって……」

「そうでした、それで過労死して転生したんですもんね」

「そうそう、ぞれで女神に会って〜……ってそうじゃなくて! ドワーフの待遇が悪いなら、もしかしてこっちに引き抜けるかもしれないよね?」

「確かにそうですね」

「よーし、そうと決まれば、ドワーフ勧誘作戦開始だー!」


 ということで、ドワーフ勧誘作戦が始まったのだった。



 エルフの村に帰って来て日の浅いリツ達だったが、もう一度帝国に向かうことにした。前回と違い、リツもノエリアもフードを被っていないことだ。


「まさかこんなに堂々と帝国に入れる日が来るとはな」

「そうですね」

「全くです」

「まあ、変装したり透明化したりして何度も入ってるけどな」

「いやー、皇帝さんには感謝しないとね」

「そうですね。マスターの入国禁止も解除してくれますたし」

「ねー。いやー優しいなあ皇帝さんは」


 のんきにそんなことを言うリツに、ノエリアは苦笑する。ほとんど脅してそうさせたようなものだからだ。


「サヤ、そろそろかな?」

「そのはずです。あっ、あれだと思います」

「おお、確かにそれっぽいね」


 比較的派手なデザインが並ぶ帝国の街並みの中に、どこか無骨そうな建物がポツンと建っている。リツはそのドアの前までたどり着くと、勢いよくドアを開けた。


「たーのもーう!」

「リツ、前から思っていたのだが、その「たーのもーう!」というのはどういう意味なんだ? というかもう少し遠慮というものをだな……」

「そうですよマスター、もう少し丁寧にですね……」

「な、何だお前達!」


 リツに突っ込みを入れながらも、結局あとに続いて次々入っていくノエリアたちに、この家の主らしい小さな女の子? が慌てる。どうやら彼女がドワーフらしい。


「こんにちはドワーフさん。早速だけど、うちに転職しない?」


 これがリツとドワーフの初めての出会いだった。

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