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第十九話【オッサン、到着する】

 迷宮の街、トランパル。

 俺たちの住む大陸の北東部に位置する、パンドラで最も大きい大都市の一つだ。

 巨大な外郭に囲まれた石造りの街並みは美しく、まるで街全体が宮殿のよう。

 港町に近いため交易も盛んで、様々な物品が馬車に乗ってこの都市へと運ばれてくるのだ。


 この街の特色と言えば、なんと言っても異名でもある"迷宮"だろう。

 都市を囲む広大な平原には、ダンジリアの比ではない程の迷宮が存在している。

 全ての数を合わせても百は下らない筈だ。

 そんな状況もあってか、有名な冒険者や迷宮測量士が数多く在籍しているギルドがこの街には存在している。


 俺たちの今回の目的地はそのギルド。

 俺たちが乗っている馬車はトランパル内部に入り、大広場にあるギルドの前で止まった。


「いやー着いた着いた、大変だったねぇ」


 身体を伸ばしながらそんな事を言うニャム。

 ……お前、ほとんど寝てただけだろ。


「すごいところだね、パパっ!おっきなたてものがいっぱい!」

「きゅーっ!」


 キューちゃんを抱き抱えたニーナが、目を輝かせながらそう言う。

 一人と一匹は初めて見る都会に興奮気味の様子。キョロキョロと辺りを見回しては喜んでいる。

 なんとも微笑ましく、ついつい笑みがこぼれてしまうな。


「皆さんお疲れ様でしたっ! ギルド内に部屋を用意してあるそうなので、軽く挨拶が終わったらゆっくり休んでくださいっ」


 御者さんと話していたシエラがこちらへと来る。

 なんともありがたい話だ。数日振りにふかふかのベッドで寝れる。


「あ、私はちょっと用事があるから後で合流するねぇ」

「どこに行くんだニャム?」

「情報収集ってやつ。早速儲け話を探さなきゃ来た意味無いもんねぇ」


 グッとピースサインをするニャム。そう言えば商売の匂いを嗅ぎつけて一緒に来たんだよな。

 本当、こういう所は逞しいんだよなコイツ。

 酒場とか商人組合にでも当たってみるかーなんて言いながら、人混みの中へと消えていった。


「荷物は運んでおきますので、ギルドマスターへ挨拶を済ませておいて下さい」

「何から何まで助かるよ、ありがとう」


 御者さんが荷台に乗っている荷物を運んでおいてくれるようだ。

 俺たちは彼にお願いして、ギルドの建物へと入っていった。


                  ◇


 流石、大陸最大規模のギルドと言った所か。

 内部は広々としていて、道具屋等の商店が併設されている。

 様々な依頼が張り出された掲示板には冒険者の人だかりが出来ている。

 受付も複数あり、迷宮測量士用の受付もあるようだ。


 俺はその迷宮測量士用の受付へと向かった。


「すまない、ダンジリアから来た者なんだが」

「お名前をお伺いしても?」

「ジム・ランパートだ」

「ああ、お話は伺っています、ギルドマスターの部屋まで係の者が案内致しますので、少々お待ちください」


 なるほど手際が良い。シエラから天然成分を抜いた様な感じだ。

 それはそれで何だか味気ない……なんて思ってしまうのはちょっと失礼か。

 

 暫く待っていると、ギルドの制服を着た係員らしき男性が俺達の方へと向かってくる。

 

「お待たせ致しました、ジム・ランパート様。ギルドマスターがお待ちです」


 その案内について行くと、ある部屋の前まで案内される。

 係の男性がノックし、失礼しますマスターと声を掛けて扉を開けると、その部屋の中央には男性が立っていた。

 白髪交じりの黒髪に鋭い青い眼、立派な髭を蓄えている。

 右腕は遺物の腕――いわゆる義手になっており、歴戦の戦士のような風貌を思わせる中年の男性だ。


「やあ、ダンジリアからここまで良く来てくれた。歓迎するよ」


 ギルドマスターは係の者を下がらせて、俺達に立ち話も何だからと椅子に座るように促す。

 ソファまで案内されると、改めて俺は部屋の中をじっくりと見た。


 様々な資料が納められた本棚、綺麗に片付けられた机、机の後ろには迷宮地図の入った箱らしきもの。

 ヘレンのごちゃっとした部屋とは大違いだな。単純に人が多いってのもありそうだが。


「何か珍しい事でもあるかね?」

「ああいや、ヘレン……ダンジリアのギルドマスターの部屋とは大違いだな、と」


 そう言うと、ギルドマスターは大笑いして。


「ハッハハ! 大方、全部一人でやろうとして片付けがなってないと見た。まったくアイツらしいな」


 と、何だか懐かしむような顔でそう言った。


「そこのエルフの娘さんは……シエラかな? 随分と美しくなったものだ」

「? ……あっ、もしかして"ラルフおじさま"!?」

「まったく、そう言う抜けてる所も子供の頃から変わって無いな! まあ何十年振りだし無理もないか」


 えっ、知り合いなの?

 というか顔見た時に気付いてなかったのか……そこは気付いてやれよ。

 くつくつと笑った後、ラルフと呼ばれた男はこちらに右手を差し出した。


「"ラルフ・ベルモンド"だ。ヘレンとは冒険者時代からの仲でね……これからよろしく頼むよ」

「あ、ああ……ジム・ランパートです。この子はニーナ。よろしく頼みます」


 と、俺はラルフと握手を交わした。

 

「ああ、敬語は使わなくてもいい、その方が私も気が楽だからね……さて、早速で悪いんだが現状を説明させて欲しい」


 軽く自己紹介を終えた後、ラルフはこの街近辺の迷宮の現状について話し始めた。

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