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第十三話【オッサン、一ヶ月後】

 ――――転移祭から一ヶ月後。


「……今回の総転移はちょいと異常だね、新種の迷宮が次々と見つかってるよ」


 ヘレンが険しい表情で迷宮地図を見ている。

 彼女の周りを囲んでいる地図は、殆どが新しい迷宮の地図。

 その数、十数。中には例の"廃城の迷宮"も存在する。

 これだけ見つかるのは明らかに異常だった。


 俺はギルドマスターの部屋でヘレンと話をしていた。

 あれから俺は新種の迷宮が見つかる度に駆り出される為、忙しい日々を送っていた。

 ニーナはとある事情で今は一緒に居ない。もうそろそろ戻ってくるだろうが。 


「今回俺が行ってきた"螺旋の迷宮"も全く新しいタイプだったな。縦に長い迷宮は始めてだったよ」

「一層一層が広くない代わりに階層が多い迷宮……大変だったね。相変わらず半日で戻ってくるアンタも異常だけど」

「ヘレンの顔が恋しくてね」

「何馬鹿な事言ってんだい、またゴーレムの件で弄られたいのかい?」

「……いい加減忘れてくれ」


 なんて、軽く冗談を交えつつ談笑していた。


「ま、今後も新しい迷宮が出たらよろしく頼むよ。……ところで、ニーナは大丈夫かねぇ」

「あの子には迷宮測量士の技をしっかり教えたからな。大丈夫さ」

「随分と信用してるんだね」

「護衛も居るしな。……ま、心配じゃないって言えば嘘になるが」


 と、話をした矢先に。


「マスター! ジムさん! ニーナちゃん達が戻りましたよっ」

「おっ、噂をすれば……入りなっ」


 シエラの声が聞こえてくる。どうやらニーナが戻って来たようだ。

 扉が開くとカバンを背負い、地図を片手に持ったニーナの姿が。

 

「パパ、ヘレンさん、ただいまっ!」

「おかえりニーナ、地図は出来たかい?」

「うんっ!」


 そう言うとニーナはヘレンに地図を手渡した。

 幾分か吟味したあと、うんと頷いてニーナの方へと視線を向けて。


「うん、立派に書けてるよ。これならすぐにでも使えそうだね」

「ほんとっ!? やったー!」


 両手をあげて跳んで喜ぶニーナ。こういう所は変わらないな。

 俺はニーナに同伴者付きで迷宮測量をして貰っていた。

 どうやら、俺が付いていなくても立派に地図が書けるまで成長してくれたらしい。


「こんにちは、ジムさん」


 後ろから声が聞こえてくる。ニーナの同伴者の声だ。

 振り返ると短髪の青髪に空色の眼、中性的な顔立ちの青年が立っていた。

 彼は"カイル・アベイン"。俺と同じ迷宮測量士の一人だ。

 若いながらもその腕は中堅クラス。踏破した迷宮も数多い。

 容姿もあってか、時々女性に間違えられるのが悩みらしい。


「やあ、カイル。ニーナは迷惑かけなかったか?」

「迷惑をかける所か、罠や魔物をいち早く発見してくれて大助かりでしたよ。彼女、眼が良いんですね」

「あの地図はニーナが書いたのか?」

「僕が少し手直ししましたけど、一階の殆どはニーナちゃんが書いてくれましたね。あの子、天才かもしれませんよ?」


 やはり、俺の眼に狂いは無かったな。

 あの子は迷宮に潜る度に新しい事を覚えてくれる。

 しかも、迷宮測量士にとって一番大事な"異変を感じ取る力"を天性的に持っているようなのだ。


 彼女が何か"スキル"を持っていることには違いないが、それが何なのかは俺には分からない。

 近いうちに鑑定士にスキル鑑定してもらわないとな。

 この街に今は居ないから遠出しなくちゃならんが。


「よくやったな、ニーナ」

「えへへっ、パパありがとっ♪」


 嬉しそうに笑顔を向けてくるニーナ。

 とにかく、この小さな身体で凄い事を成したのだ。

 今日の晩御飯は彼女の好きな物を作ってやろう。

 

「そういえばジムさん、噂になってる迷宮の話、知ってますか?」

「噂になっている迷宮? さあ、知らないな」


 カイルが唐突に話題を切り出す。

 冒険者と話をしたりするが、そう言った話は今の所聞いてはいない。


「最近聞いたのですが……"黄金の迷宮"という未踏の迷宮があるそうで」


 "黄金の迷宮"――


 この時、俺は何となくその名前を聞いて、直感的に大きなことが起きる予感を感じ取っていた。

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