面倒事がこっちでも
学校に変な一行が来た。
俺達を呼び出していま対峙する!!
見覚えがない男と女。それぞれが席を立ち俺達に近づいてくる。
いや、見覚えあるぞ!この男は見たことある!!
「はじめまして、私、観月孝良と申します。一応この国の国防に関わっています。以後、お見知りおきを。」
笑顔で右手を出す。俺はその人と握手をする。観月は思い切り俺の手を握る。握力比べか?
俺はにこやかなまま力も入れずにそのままにしている。入れれば勝つのはわかっている。だがここでは普通に生きたいのだ。
「おや?今、私の全力で握ったのに何も反応がない。さすがですね。」
俺の顔を覗きこむ。
「恵くん、こいつ失礼なやつだわ。アイツと同じ臭いがする。蹴り飛ばしていい?」
ダメですよ!!ダメ!!
「ねぇ、メグミ、この人、旅人だよ。」
多分そうだろうね。なんの用かは知らないけど。
「おや、この美しいお嬢さんは私が何者かわかったようですね。で、お嬢さんはナニモノ?」
缶コーヒーを取り出して
「メグミの妹だよ!」
そうとだけ答える。
後ろの2人が立ち上がりこちらを威嚇している。どうやら俺達は嫌われたようだ。
「こんなガキども放っておけよ。同じ国の旅人と聞いたからこっちが出向いてきているのに大したことなさそうじゃない。無駄だよ、勧誘するだけ。」
どうやらここにいる人全員旅人だそうだ。そういや、先生がいないね。呼び出されたはずなのに。平気で旅人の話をするわけだ。
「大したことないってメグミ。良かったね。この人たちに任せておけばいいんじゃない?面倒事は。」
そんな含みのある話し方をして食いついてこられたら嫌なんだけどね。
「面倒事??ある帝国で起きた軍事衝突のことか?」
後ろの男が睨みながら質問してきた。
「さぁ?」
俺はオーバーなアクションでとぼける。その態度に後ろの男がキレて間合いを詰めてきた。俺の胸ぐらをつかむと同時にレイのアイアンクローを食らう。レイよりもはるかに背の高い体格のいい男が握られた頭を振りほどこうとレイの手を掴むが全く動かない。
「今、メグミにしたことを謝れ。さもないと握りつぶすぞ。」
顔に青筋を立てて凄む。後ろの女の人がへたり込む。どうやらレベル差を感じ取ったようだ。
頭を握られている男は謝るどころではないはず。ギッ!ガッ!グッ!と苦しそうに持ち上げられてバタバタ動いているだけ。
「レイ、放してあげて。そのままだと殺しかねないから。」
俺がなだめるとレイは握った男をそのまま会議室の黒板に投げつけた。
ドゴッ
と言う音とともに男がバウンドして床に倒れる。白目を剥いて泡を口から吐いて気を失っている。
観月は護衛と思われる男がいとも簡単にやられてかなり動揺している。
「あの、落ち着いて話したいので場所変えたいんですけど。どっか高級そうなお店でっていうのはどうですか??」
俺は揉み手をしながら下手に頼んでみる。これくらいしないと向こうの顔も立たないと思ったからね。
「こちらとしても話を聞いてもらえるとありがたいから今夜、君の家に迎えを行かせる。」
そう言い残して、倒れた男を抱えて会議室を出て行った。
遠くから観察している先生方。心配そうなのか、興味津々なのか角からこっちを伺っている。
「あの、先生、要件は終わったんで教室戻っていいですか?」
・・・教師は頷くだけだった。
さて、俺達はどうなってしまうのか??どう見てもレイがやったのは犯罪行為です。しかも国防に携わっているってことは政治家に繋がっちゃうやつだろ?ホント短気なんだよねレイは。お母様の血をかなり強く継いでいるのかな?
そんな朝のいい気分をぶっ飛ばしてくれるわけのわからないイベントが発生してしまう。
そのせいで俺・・・授業内容が頭に入ってこない。
放課後・・・やっちゃんとレイ、俺の三人で帰る。
「あれなんなんだろね?」
そう思う部分もあるがそんなことは今どうでもいいのだ。
もうすぐ皆で美味しいもの食べながらお話できるはずだ!!そうすりゃ万事解決!!のはず・・・。
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