怒って当然だわ。俺でも怒るわ。
主従契約が勝手に結ばれていたので彼女はすごくご立腹です。
ゼロは左手首を抑えて震えている。
怒りでプルプルしているという状態を始めてみた。
「貴様等!!奴隷とはどういうことだ!!」
あれ?服が動いている??
怒りで震えている以上に服のパーツが動いているように見える。
というよりどんどん膨らんで体のありとあらゆる部分から触手のようなものが出てきている。
怒っているのを沈めたい気持ちもあるがそれ以上に数本出ている触手の方が気になってそちらに目がいってしまう。
「貴様!!私は怒っているのだぞ?なぜ私の目を見ない!!これはどういうことかさっさと説明しろ!!」
触手が禍々しい刃物に形状を変え、俺の方と魔人の方に向かう。
魔人は平然としている。
怖いとかないのか??どう見ても斬りかかってきそうなんだけど??
「四十の契約??俺には何か分からない。奴隷??歳と関係あるのか??」
刃物に目が入ってしまって後退りする。
「しじゅうではない!シュジュウだシュ・ジュ・ウ。
聞き間違いも相当だが歳の契約とはどんな契約だ?ちょっと考えれば分かるであろう?
状況がヤバいからと言って笑いで切り抜けるつもりか??
賢いのか阿呆なのかよく分からん奴だな。
主従契約とはおもに主となるものと奴隷の間で結ばれる契約だ。
奴隷に限定されている訳ではないがこの契約をしていないと断られるだけならまだしも危害を加えられたりしたらお主なんぞあっという間に死んでしまうであろう?我が気を利かせて前もって契約を結んでおいてやったのだ。」
そういって胸を張りまくっている魔人がいる。
こいつ、殺されるかもしれない状況でよく平気でいられるな。
最強と豪語するだけあってどうとでも出来るのか?
「お主、もしかして我がなぜ恐れていないのか疑問に思っておるのではないだろうな?
思っているなら答えてやるぞ?フハハ。我は実体がないからな。物理的な攻撃はまったく意味をなさんのだ。
親切ついでに・・・」
最後まで聞く前に禍々しい刃物で俺が両断された。
と思ったら頭の上で刃物が止まっている。
鳥肌と変な汗が一瞬で吹き出てきた。
一瞬殺されたと思うくらい体が冷たくなった錯覚がした。
「くっ!切れぬか。やはり主従の契約は破棄できんか・・・。」
すごい形相で俺を睨むゼロ。
美しいと思っていた顔が笑っているのか泣いているのかそれとも怒っているのかそれすら分からないほどに歪んでいる。
「ご、ごめん。よく考えないで自分の願いを叶えてしまったみたいだ。
俺が願ったのは合意の元、一緒にいられる、仲良くなれる、信頼できる、そして尊敬できる
関係で楽しく一生過ごせればと思ったんだけど・・・。主従契約なんて強制したらダメだよね。」
魔人に目をやり
「魔人、この契約を解除する方法は?」
「ない。お主の願いはお主の好みの女性を伴侶にすること。
経緯についてはこれと言って指定されていない。
お主には3つの願いを言ってもらわねばならない。
途中で死なれては我が困るのだ。
この魔族の強さではお主は触れられるだけで死ぬだろう。
危害が加えられないように最大級の防御策がこの主従契約なのだ。
この契約があれば逃げることもできないし傷つけることもできない。
極端になって主を殺して主従関係を終わらせることもできない。
この契約は結ばれたら最後、従う側が死ぬまで解除されることはない。
といってもお主がもう一つの願いで解除すれば話は別だがな。」
こいつ、3つ目の願いをここで使えといっているのか??
かなり腹が立ってきた。
今まで生きてきた中で一番頭にきている。
「そうか・・・。なら、3つ目の願いだ!!」
俺はそういって魔人を睨んだ。
3つ目の願いの番です。
あなたならどんな願いを言ってこの場を切り抜けますか?