久しぶりの拠点
職業選択の自由をやっと手に出来そうです。
マンドラゴラの森からまたダンジョンのあるソーリシャスミール王国はちょっと遠いな。
だから、拠点の街ジルバームに来た。
久しぶりだな!!ギルドにいくとギルドのおっさんたちがジルを囲って泣いている。
ジル死亡説が上がっていたとか・・・。まぁ2ヶ月も行方不明だったしね。
ジルはレイたちから特訓を受けていたというと
『抜け駆けだ!!』
『裏切りだ!!』
『親衛隊長クビだ!』
『ナンバー1返上だ!』
などなど、いろいろ言われていた。あんなつらい思いをしているのに可哀想だな。
ジルは地獄だったと言っているが周りからはレイ様と一緒に2ヶ月もいたんだから天国だと頑なに拒否されていた。マジで可哀想。
ジルをギルドに放置して俺達は職安にやってくる。
建物の中に入ってカウンターの前に立つと
「ヒッ!!」
と顔を引き攣らせて飛び退く受付嬢。
あれ??記憶消しているんだよね?なんで??
やっちゃんが言うには記憶はなくなっても傷ついた魂は元に戻らないらしい。
この人たちは一生わけもわからないレイへの恐怖を味わうらしい。ご愁傷さま。
「転職したいんですけど」
俺が言うと、震えながらレイを見つめて
「ノートを出してください。」
ずっとレイの方を見て言う。あの、用事あるのは俺なんですよ、こっち見てください。
受付嬢はレイから全く目を離さない。そこまで怖がっていたのか・・・。
話をしていない受付嬢はブルブル震えて歯がカチカチ鳴っている。
「あの・・・。ちがちが、違う部屋でお話してもよよよよろしいでしょうか?」
ビビりすぎて話せないくらいならそのほうがいいね。レイに
「ちょっと話ししてくるね。」
と言って離れようとすると、腕を掴んで離してくれない。
首を横に振っている。いや、別にこの人と何かするってわけじゃないんだし・・・。
「ちょっと職を変えるだけじゃない。何を大げさにしているのよ!」
カウンターをドンッと叩くと受付嬢が全員、床に屁垂れこんで水たまりを作っている。受付嬢だけではなくこの場にいる職員が皆足をガクガクさせている。そんなに酷いことしたっけ?そんなになるほどのことはしていないはず。
受付嬢にやさしく俺は声をかける。
「あのさ、職変えたいからなれそうな職をピックアップしてくれる?決めたら俺一人で来るからさ・・・。」
コクコク頷く受付嬢はがくがくする足を引きずりながら俺のノートを分けのわからない装置にかざしている。ピカっと光るのを確認して俺にノートを返す。レイを見ながら
「これでノートになれる職が書いてあると思います。なりたいものを指で触ってください。それで成れますから。」
俺の目を見て話してください。話が全く入ってきません。
「こんな失礼な奴ら放っといてギルド行きましょギルド!」
レイはプンプン怒りながら職安から出て行った。俺も慌てて追いかけて職安を出る。
「メグミ、ゴメン!!あんなことになっているなんて!!グスッ」
なんで泣いての?涙と鼻水で顔、グチャグチャじゃない。
職安で俺を引き離されたら泣いてしまいそうだったとか。可愛いやつだな、ホント。
レイの顔を拭いてあげてギルドにいくとジルが自分のノートを皆にかざしているパフォーマンスに出くわす。皆正座して話を聞いているところだった。
『サスジル、サスジル』
変な宗教みたいになっている。ちょっと気持ち悪ぞこれ。正座している奴らは片手をあげて、周りの立っている筋肉ムキムキの男どもが腕を掲げてピョンピョン飛んでいる、異様な世界だ。
「姐さん!レベル見せたら皆信じてくれました!!地獄の特訓を信じてくれました!俺がナンバー1でいいそうです!!うゎはははははあはは!!」
腰に手を当てて胸を張って威張るジル。俺達、宿屋に行っとくわ。
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