なんで?
俺は肩を落として歩いている。
コレで何度目?
そう思いながら歩くドライアイスの暗い道。
まっすぐ歩くとそこにはやっちゃんとレイの姿があるだけで管理者と自称している連中はいなかった。
「こんばんは!はじめまして、冒険者と魔族の戦士よ。」
その言葉と同時にデッカイ顔だけが出てくる。
その顔は自己紹介をし始めた。
「私はこのシステムと空間を管理しているAI、デリムと申します。よろしくお願いします。私がここにいるのは皆さんなんとなく察していると思います。ここの管理を任せていたものが数人いなくなりまして・・・。冒険者になってしまいましたので私が直にあなた達にお話することになりました。ここの仕事より冒険者になりたいなんて面白い人ですね。ふふふ。さて、お話というのは今ここにある危機のことについてです。」
「あの、その話聞かなくちゃダメなんですか?」
やっちゃんが話を遮って聞くと
「いえ、聞かなくてもいいですが聞いておいたほうがこれからの旅も楽しくなりますし、やるべき選択肢も増えます。ここにある危機を処理していただければ両方の世界にとって良い事になります。それほど重要ではないといえばそうですが、その世界に住む方々にとっては脅威が迫っているわけですから、知っておけば何かしらの対策が打てるかと思います。私は所詮仮初の命ですのでこの世界が壊れたところで『ああそうか』としか思いません。ですがあなた達にとってはとても耐えれることではないと思います。」
「脅威って何?世界が壊れるって何??」
コーヒー飲みながら聞くレイ。
「魔族であるあなたの世界と恵様、弥生様の住む世界は今、複数のルートでつながっています。本来なら1つで十分なのですが欲深い人がいくつも通路を作ってしまいました。その通路を悪用して世界の秩序を乱そうとしている国もあります。それをできれば食い止めて欲しいのです。いま、あなた達が拠点にしている国よりはるか西に大きな帝国があります。そこに軍隊が集まっています。それを何とかして欲しいのです。集まって事を起こすまではまだまだかかるみたいです。ですがその周辺では魔族、魔物、そして人、亜人種達、すべてが無残に殺されています。」
「何のために?」
率直な気持ちだよね。殺してどうするの??
「わかっていると思いますが地球の人は非常に弱いです。兵器を持ってやっと大型動物を殺せる程度。核などの大量破壊兵器を使えば最強かもしれませんが1個体だけでは野犬にも勝てません。ですが違う世界で魔物を殺していけば非常に強い兵士が誕生します。それを地球で戦争に使えば・・・。」
「あぁ、なるほど!やっちゃんがいっぱいいれば戦争楽勝だもんね。俺でも地球じゃヤバいんだから。」
感心すると
「そういうことです。大国はそれに目をつけてその愚かな計画を進め始めました。その計画をできれば壊して欲しいのです。幸いここには最強の魔族とその繋がりを持つ者達がいます。その人たちと共に戦えばきっと何とかできるでしょう。今なら・・・。」
ふ〜〜ん、それであいつら侵食が〜〜とか言っていたのか。
「考えとくわ。」
そうとだけ言うやっちゃん。
「良い返事有り難うございます。恵様にはこれから起きるであろうことのシミュレーションをお見せしましたがいかがでしたか??」
「??あ!!!思い出した!!夢だな!!昼寝してみた夢だな!!あれか!!あれは嫌だな・・・。」
「え??どんな夢??私となんかある夢?」
レイが食いついて来るが、いやいや、違うよ。
夢の内容を話すと皆暗い顔になった。人々が傷ついていくこと。皆戦いまくっているとこ、たくさんの屍がそこら中に転がっていることなどなど。
「一応調べてみようか・・・」
やっちゃんは一応承諾した。
レイも俺もどうなるかわからないから魔族の皆に話すことにした。
「ありがとうございます。それでは・・・」
朝になっていた。しっかり記憶に残っている。しかし、地球に戻るときにその話しなくてもいいじゃない?調べることも出来ないし・・・憂鬱な気分のままこっちでの生活を余儀なくされるじゃない?
さすがAIちょっと空気読めていない。
さて、起きて学校行く準備しないと・・・。
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