初級だよね!そうだよね!!?
目の前のドラゴン・・・。
デカイってもんじゃない。20mは余裕であるんだけど。
「お前らなにしに来た?」
あれ??話せるの?このドラゴン。
じゃぁ対話で平和的解決が・・・なんて思っていたら
「お前らを始末しに来たに決まっているだろ。さっさとメグミの供物になれ。」
怖いんですけど!!レイ様!!
『ごぁぁああああああ!!!』と今まで生まれてきてからはじめて経験する大音響。
音だけで心臓が潰れそうである。
地響きをさせながら歩くドラゴン。あれ??地響きが普通じゃない?
大きいなフロアであるこの階のいたるところからドラゴンが歩いてくる。
ここもしかして・・・。
「噂に聞くモンスターハウスですか??」
ジルが顔を引き攣らせながら言う。奥が見えないほど広い空間。
天井がないんだよねここ。そう、上は空なんだよ。おかしいだろ??地下なんだぜここ!!
ははははは・・・俺が現実逃避に走ろうと思った瞬間
ごぉぉぉおおおおおおおおお!!!
周りが炎で包まれる。俺とジルの周りに丸いシールドがはられている。
「ちょっと、恵くん??回避くらいしなさいよ!!念のためにかけていたシールドがあったからよかったけど、なかったら今頃炭になっているわよ!!」
「メグミ〜走って逃げてよ〜。それがダメなら私が抱っこしとこうか?」
目がめっちゃ笑ていて口に手を当てている。もしかしてコレが、この状況で余裕なのか??
やっちゃんが大剣をドラゴンに叩きつける。あのデカイ体が叩かれた衝撃で吹っ飛んでいる。
血を口から吐きながら体制を立て直そうとするドラゴン。
「さすが魔物レベルも150超えると一撃とはいかないわね!!」
ちょっとまて!!レベル150ってなんだよ!!俺のレベル考えているのか??
「メグミ〜ちょっと待ってて。半殺しっていう手加減がコレくらいのレベルになると難しいのよ〜。ちょっと力入れると死んじゃうから〜。」
嬉々として戦うレイ。言っているセリフが怖い。ちょっと力入れたら死ぬっていつも俺にどんな力で接しているんだ?
俺の横にデッカイ体が吹っ飛んできた。白目を剥いたドラゴンだった。胸が動いているところを見るとまだ生きているようだ。
「ほら!!頭刺しちゃえ!!」
いつものセリフだねそれ。指さしながら俺に指示する。俺は剣を抜いて思いっきり踏み込み目から脳へ突き刺した。とどめを刺すと同時に俺の体が光った。なにこれ??
「驚異的なレベル差が生み出す究極レベルアップだね!人生のうちでそう何度も見られるもんじゃないよ!」
嬉しそうな顔で俺に飛びつき喜ぶレイ。
どどぉぉぉおおぉおおおおん!!
俺の横にもう一体飛んできたドラゴン。
「俺が頂いてもいいですか?姐さん!」
ジルの真面目な顔にレイは頷く。レイはファンクラブの一件でジルを嫌っているのかと思ったがそうでもないみたい。多分、俺の次くらいに男の中では好印象だ。ジルもとどめを誘うとドラゴンを剣で刺そうとしたが剣が折れた。ソレを見て落ち込むジルに
「さすがにその剣はドラゴンの装甲を破れないわね。コレを使いなさい!!私のお古だけど、あなたの職なら使えるはずよ。」
と、やっちゃんがアイテム袋から青白く光る長剣をジルの足元に投げる。剣は地面に何も抵抗なくスコッと刺さった。まるで豆腐に包丁を指すように。
この切れ味ヤバい・・・。ソレを手にジルがドラゴンの首を着る。スパッと首が飛んだのである。
そうしてこのフロアにいるドラゴンの大半がレイとやっちゃんの手にかかり半殺しにされ俺とジルに始末された。
もう、一方的な惨殺である。ドラゴン数十体がその辺に屍を晒している。
「魔石掘り出して降りますか!!」
そう言って魔石を取り出す触手達。レイ自らやるより早いらしくいつも任せている。
しかし俺達はこのフロアで今晩過ごすことにした。
魔物の再出現をリポップと言うらしくソレは魔物のレベルで時間が違うらしい。
レベルが低いほど早く、ドラゴンほどになると1日やそこらではリポップしないらしい。
このフロアは広すぎて端は見えないがこの大立ち回りを感じた魔物はこのへんには近づかないだろうって。
まぁコレだけの惨状を目の当たりにして近づくのは相当な馬鹿だわね。
とはいえ、ジッパは使うらしい。万が一のことを考えて。
中に入ると外からは開かないらしいし、攻撃されても大丈夫だとか。さすが使い捨てのくせに1Gもするはずだ。
そんなこんなで俺達は飯を食い寝ることにした。部屋がいくつかあってジルは俺達に気をつかって違う部屋で寝るそうだ。
「おやすみメグミ!」
「おやすみ恵くん!!」
2人にハグされる。しあわせ!!とおもったら何故か2人とも目をつぶって何かを待っている。
「え??何してるの?」
俺が聞き返すと
「「指何本??でしょ!!」」
あぁ、あのゲームね・・・。
やっちゃんが勝ってガッツポーズしている。レイは横で項垂れている。
やっちゃんが俺にキスをして布団に入る。
レイは後からなので落ち込んでいると思ったら『ムチュ〜、レロ〜』と舌を入れてきた。
すごいディープで長いキスをした。レイの目がうるんで真っ赤だった。そんな顔しないで、俺も恥ずかしいから・・・。
「それ、ひどくない??」
ちょっと怒っているやっちゃん。
「おやすみなさ〜ぃ」
裏返った声で挨拶し布団に入るレイ。
布団に入ったレイをやっちゃんがバシバシ布団の上からしばきまわしていた。
布団の中から篭った声でごめんなさいを連呼していた。可愛いね二人共。
明日は学校か・・・。平穏がやってくる。