マンドラゴラを手に入れろ!!
俺、溶かされてしまいました。
復活待ちです。
「貴様、メグミに信用しろと言ったのに!!」
レイが激高している。その状態で太ももの上で目覚める。
マンドラゴラの女王は俺が生き返っていることに気づいていない。
「ほんの少し遊んだだけだ。貴様らが迷いこんできたのが悪い。弱者は強者に翻弄され続けるのが世の常なんだ。弱い、それだけで大罪なんだよ!!ははははははははは」
高笑いとはこのことなんだろう。
レイは俺の顔を撫でながら言う。俺が復活しているのに気づいているようだ。
「さて、妾を楽しませてくれる余興はもうないのか?それならば貴様たちもその男の後を追うがいい。」
「よっこいしょ!」
俺が起き上がるとびっくりした様子を見せるマンドラゴラの女王、ルツ。
「何??貴様溶けて死んだのではないのか??なぜだ??」
「お前なんかにいちいち説明しなくていいんだよ。俺が優しくお前の言う事聞いてるうちに1体くれればよかったのにな。もうお前、バラバラにされて殺されるよ?お前とレイ、どっちが強いの?ここにいるマンドラゴラ全部とレイとやっちゃんのコンビ、どっちが強いの?」
「マンドラゴラ全部??ここには妾しかおらぬぞ??お前まさかここにいる1体1体をマンドラゴラだと思っていたのか?あはははははははは」
物凄く俺を馬鹿にした顔で笑い出すルツ。
「愚かなるゴミはモノが見えんということか。妾は最大のマンドラゴラ。今その姿を見せてやるわ。」
近くにあった椅子を蹴り飛ばすルツ。
すごい地震と共に森の木々が倒れ始める。
そこには今まで見えていなかったルツの本体と思われる芋の部分が出てきた。
で、デカイ!!なにこれ??やっちゃんの魔法で明るくなっている範囲よりでかい。
直径にして300mくらいある。そしてマンドラゴラと思っていた裸体たちは蔓から生えている裸体だった。蔓の先全てに女性の裸体が付いている。そしてそれが奇声を発し始める。
「この声を聞いて動けなくなる程度では妾には勝てぬぞ!さぁ、絶望して死ぬがい・・・。」
そう言いおわらぬうちにすべての裸体は切り落とされる。
「戦闘でいいのですか?あなたは私達の強さを読み違えていますが本当にこのまま戦闘を開始するんですね・・・。」
淡々とした丁寧で冷たいセリフ。レイを見ると・・・人化を解いていつもの美しい魔族の姿になって触手を6本展開している。
すべての触手が禍々しいオーラを放ち、レイの顔が笑っているのか怒っているのかわからない顔をしている。
「高々数百年生きた程度の雑草風情が私のメグミを傷つけるなど、5億年早いわ!!」
俺には見えないスピードで刃物と化した触手を腕を組んだまま振るい続ける。
300mはあろうかという巨体がどんどん削れていく。
芋の部分にドリルで穴を開けていくかのようにどんどん削れて中へ中へとレイが入っていく。
「ぎゃああああああああ!!やめてくれ〜!いたいいだい〜〜〜!!」
芋にくっついた人型はひとつだけ。その人型が泣け叫びながらのた打ち回る。
緑色の涙を大量に流しながら首や胸、腹を掻き毟りながら泣き、喚き、のた打ち回る。
内部から食い散らかされたらそれは激痛だろう。
大地震となって大地が揺れる。俺は立ってることができなくなって斜めになった大木に摑まっている。
その木ももう倒れるかという瞬間にやっちゃんが俺の脇を抱え戦線から離脱する。
「やめてくれ〜〜!!いだいいだい〜〜!!ぎゃぁぁぁぁ」
遠く離れても聞こえる大絶叫。
絶望に満ちた声が森の中に響き続ける。その余波で魔物たちがパニックになり逃げ惑っている。
マンドラゴラの声は他の生物に混乱や恐慌状態にするようだ。
どれくらいの時間叫び続けたのだろう、1体の女性が俯せて倒れている。
周りにはグチャグチャになった芋であった部分が散乱している。
その近くにレイが立っている。
俺はその場所までゆっくり近づいた。
「レイ?」
「メグミ、ゴメン。薬のこと忘れてた。」
ここに来た理由思い出したのだろう。涙目になるレイ。
「まだその辺にいるだろ1体くらい。」
頭をなでなでしておく。最悪そこにも転がってるのもあるし。
「た、助けて、わ、妾、いや、私が悪かった。だからもうやめてくれ・・・。」
綺麗だった緑色の髪を模していた葉っぱが茶色になり目が落ち窪んでさっきまであった美しさは見る影もない。美女から痩せたおばさんのような姿が変わっている。そんな状態のルツを見下ろしてレイが
「貴様のことなんかどうでもいいんだよ。で、薬はどうする。貴様のせいで手に入らなかったではないか。」
腕を組んでルツの頭に足をのせて踏みつける。ゲシゲシ踏みつけている。
「や、やめてください。もうこれ以上やると死んでしまいます。ですからもうやめてください。反省していますから。彼に手出ししたことは謝ります。どうかどうか・・・。」
だんだんシワシワになり老婆のようになるルツ。
「薬が手に入らないんだよ。貴様は薬になるのか??弱者は強者に翻弄され続けるのが世の常で、弱いだけで大罪らしいし。」
レイはルツの髪の毛を掴み、持ち上げる。
「やめてください。薬にしないでください。他のもう少し若い個体で十分薬になります。どうか勘弁してください。」
手を合わせて謝りながら涙を流すルツ。汚いものがつくのが嫌と言わんばかりにルツを投げるレイ。
「恵くんどうする?コイツ。」
歩いてくるやっちゃん。
「その辺見たけど、全部レイが殺していなかったわよ、マンドラゴラ。もうそいつ薬にするしかないんじゃない?弱者は強者に翻弄され続けるのが世の常で弱いだけで大罪らしいし。」
自分の言ったセリフにルツが『ひぃぃぃぃぃぃぃ』と情けない声をあげる。
まぁ自業自得だね。俺は知らん。レイとやっちゃんを怒らせるから悪い。
「薬無いでは困るからこいつにするか。弱者は強者に翻弄され続けるのが世の常で、弱いだけで大罪らしいし」
俺がしつこくこいつが言ったことを付け加えて言うとルツは土下座をして
「調子に乗っていました申し訳ございません。必ず1体用意します。待ってください。私を薬にするのはやめてください。」
おでこを何度も地面に付けながら泣き喚く。
「おまえ、薬になりたくないんだよね。そのマンドラゴラもきっとなりたくないと思うんだよ。だって、死ぬんでしょ?それならこうなった責任をとってお前が薬になるべきでは??」
俺が正論をぶちかましてやる。
「いえいえ、私の状態では死んでしまいますが傷のないマンドラゴラなら死にません。すぐに再生してまたいつも通り生活できます。だから大丈夫です。」
俺に聞いてもない説明をしてヘラヘラするルツ。
「うん?どういうこと。どこを薬に使うの?」
やっちゃんはそこの知識は持っていないようだ。そういや、本にも書いてなかったな。
薬になるのは女性の裸体の部分らしい。傷つけず、消化液が逆流しないように切り取ると数カ月で元に戻るらしい。
消化液の逆流させない方法は芋とつながる足首の部分を何かで縛って切り落とし頭の上も縛るんだとか。
順序間違うと失敗するらしい。
ルツは今、芋の部分がないから体を使われると死ぬんだとか。
どうでもいい話だがある程度歳を取ると人型を土に挿しても芋ができるらしい。
植物の挿し木だな。
ということなのでルツに1体呼んでもらう。
そうすると土の中から1体出てきた。
危険を察知して全員土に潜ったんだとか。女王見捨てて潜って逃げる・・・。
こいつ本当に女王なの??