マンドラゴラの森最深部で。
装備が変わりました。
おれの強さもどんどん上がっている!!はずなんだけどね。
剣が変わり、違和感がある。
軽すぎてつけてるかわからないくらい。
まぁ非力な俺向きの剣といえばそうなんだが・・・。
森の中をどんどん奥へ進んでいく俺達。
やっちゃんの魔法のおかげで見晴らしもいい。
見晴らし良すぎて大きな魔物はガンガンこっちに来る。
マンドラゴラは自分より弱いか強いか判断して攻撃するかしないか決めているみたいだけど、大型の魔物はそこまで賢くないようだ。
近づいてはやっちゃんに斬られ、近づいてはレイに潰されている。
「そういやレイはさ、なんで触手の先を刃物にしないの??」
ずっと気になっていた。以前はすぐ刃物にしていたのに最近全く変えない。
「叩き潰す快感に目覚めた?」
レイが笑いながら言う。そうだとすると怖いな。
「うそうそ、万が一メグミに当たったら大変だしね。」
その棍棒のような触手も当たれば大変なことになりますよ。
「あてない」「だいじょぶ」「よけれるよね」
ちょっと俺には理解できないのもあった。避けれないからね。
歩いては戦闘を繰り返していると
マンドラゴラが群生しているところに来た。
マンドラゴラは全く動かない。
レイがマンドラゴラに尋ねる。
「あんたたちのボスはこの奥にいるの?」
マンドラゴラは答えない。無視しているのか怖くて動かないのかはわからないが。
マンドラゴラ達はじっとこちらを見ている。
レイが触手を刃物に変えて1匹に向けて尋ねる。
「一番大きくて強いのはどこにいる?」
そうするとその脅されている1匹が森の奥を指す。
まだ奥があるようだ。
指す指がフルフル震えている。
「あっちだって。」
俺達は言われた方へどんどん進んでいった。
どれくらい歩いただろう。明るくなって見やすいのに弱そうな魔物が一切見られなくなった。
群生しているところまでは結構いたんだけどね。
気にはなるが進み続ける。少し離れた所から何やら歌が聞こえてきた。
美しい声が聞こえてくる。
そこにはたくさんの女性の裸体が刺さった奇妙な空間があった。
そのたくさんの裸体が同じ方を向いて歌っているのだ。
「ようこそ、私の支配するマンドラゴラの深森へ。妾の名はルツ。マンドラゴラの頂点でありこの森の女王!!人に会うのはどれくらい振りでしょう?ここまで来れる人がいるとは思いませんでした。いやいや、長生きしてみるものだ。ふふふふふ」
すごく流暢に話す。今まであった裸体とは見た目も違うが、話し方も姿勢も違う。
どこで手に入れたかわからないがすごく豪勢な作りの椅子に腰掛けている。
そして裸ではないのだ。
フワフワとしてワタのような白い豪華な服を着ているのだ。
椅子に座り足を組み、頬杖を付いている。まさに女王と言った雰囲気を醸し出している。
「そうだ!!会うことができたんだ、彼女たちの歌を聞いてやって欲しい。」
手を上げると周りの裸体が歌い始める。
この裸体達、立っている密度がおかしい。
普通ならこの裸体のしたにはデッカイ芋があるはずなのである。
それなのに学校の体育館の集会のような密集した状態で立っているのだ。
そして一斉に声を出して歌っている。
今まで聞いた奇声とは違いとても居心地のいい歌声・・・。
聞いているとフワフワしていい気持ちになってくる。
そんな俺を見てレイが
ブスッ
俺の耳に耳栓を入れた。
それで我に返る。俺はじわじわ、あのマンドラゴラの女王に近づいていたのだ。
「ふふふ、気が付きましたか・・・。まぁ、お馬鹿さんではないということか。人なんかもう食べたりしないよ。マンドラゴラの強いものは皆森の奥に来る理由がわかるか?小さいものは森の端、大きなものほど森の中央に。理由は??そこの男の子よ。」
理由?小さいのは弱いからだろ?大きいのは強いからだろ?でも強いものが奥にいくと餌である人が来なくる。先ほど女王は人を食べないと言っていた。ということは魔物を食っているのか?
そう考えていると
「ご明察!!馬鹿ではないようだ。そう、我々は人なんて効率の悪いものを口にしない。アレは小さいものが食べるのに丁度いい。消化にはエネルギーを使うんだよ。エネルギー使っているのに人ごときのエネルギーじゃ足が出る。より強い魔物でないと我々は満足しないんだよ。ここに来るまでにたくさん見ただろう?大型の魔物を。あれらは全て我々の餌。幸いここは魔素が濃い。いくらでも湧いてくるのだ。力をつけるには森の奥が一番いいんだよ。だから私はここにいる。わかったかい?」
椅子から立ち上がって笑い出す。
「人の病気を治すためにマンドラゴラの老成の個体が必要なのよ。あんたが一番古いんでしょ?悪いけど倒させてもらうわよ。」
やっちゃんが女王に剣を抜いて言う。その姿を見て女王は鼻で笑う。
「フッ、人ごときが妾を駆除すると?笑わせる。して、その人は何の病気だ?病気によってはその辺のものでも十分だと思うがな。というよりその辺のもので全て片がつくわ。と言っても妾の娘たちじゃ。そう簡単にやるとは言えん。」
「そこの男の子よ、妾を信用できるか??妾の横に立つことができれば娘を1つくれてやろう。どうじゃ?怖かろう。怖くて仕方ないならやめてもいいんだぞ?ははははははははは」
この挑発は何だ?俺が受けないと思っているのか??俺、死んでもすぐレイの膝枕で生き返るんだけど。
受けて立って騙されても別にどうってことない。
騙された場合、やっちゃんとレイがこいつらを駆逐するだけだ。
そう思いつつ近づこうとするとレイが止める。
「大丈夫?信用して?」
「・・・大丈夫。」
俺はレイの静止を振り切りゆっくりと女王の側に近づく。
「愚かな人の子よ!!愚かすぎる!!妾の側に寄ろうとするなど不快じゃ!」
俺に緑色の液を大量に吹きかけた。
だが他のマンドラゴラと違い不快な臭いがしない。
だが、ローブがブスブス溶けていく。
酸の耐性があったはず・・・。なんで?
「そのローブにある耐性なんぞ妾の前では無に等しい。苦しんで溶けて死ぬがいいわ。ふあはははははは」
機嫌良さそうに笑っている女王。
どんどん溶ける俺。すごい劇痛が体を走る。だがすぐに前が見えなくなった・・・。
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