3日目 薬草と化物と変な病気と
あいつらなんなんだよ。
問題抱えていて手伝って欲しいならもっとやりようがあると思うんだけど。
異世界3日目です。
まだ・・・。
「?」
俺達、確かレイのお父さんのところで寝てたよね。
なんでいつもの宿屋なの?
確かにキープしていたがここで寝てはいなかったはず。
と、ベッドを見るとレイもやっちゃんもいる。
やっちゃんも
「あれ?」
と言ってキョロキョロしている。
装備品も、アイテム袋もこの宿に来ている。
おかしいことのオンパレードだ。
「うむ、無理やり許可を出させたからか、あそこを通るとこの街に来るのか?まぁ、検証しようがないからな・・・。」
デュランが思案しながら顎鬚を弄んでいる。
確かに俺はこの街始まりだった。
やっちゃんは?聞いてみるとやはりこの街だったらしい。
まぁいいや、もう二度とあそこに行くことないし。
「デュラン、もう二度と俺達があそこ通らなくてもこちらに来れるようにしといて。やっちゃんが嫌がるからさ。」
やっちゃんが飛びついてきた。
嬉しかったのかな?ギューッとされてちょっと死にそうになる。
「ちょっと!!メグミ死にそうよ!」
「キャ〜!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
青い顔でかつ白目の俺をブンブン揺するやっちゃん。
目を覚ます俺。危なくレイの膝で目覚めるところだった。
「その願い叶えてやろう。」
心強い行だね!と最近デュラン上げ。
「今日何する〜??」
ミドラに会うの久しぶりのように感じる。
ミドラって地球じゃ全く出てこれないからね。
人の2倍活動しているからか片方だけしか会わないとすごく久しぶりに感じる。
まぁ今日も俺のレベルアップが中心だと思いたい。
「メグミのレベルアップ以外ないよ。もう一択。それ以外したいなら別行動。」
レイが微笑みながらそう言うとやっちゃんも
「それ以外ないわね。早く強くなってもらわないと殺しちゃうから。」
同意して言ってくれるがちょっとそれ怖い。
ちょっと脆いおもちゃみたいに言わないでください。
そういや、昔、近所の男友達がカマキリが嫌いな理由にそれを挙げていたっけ。
体が細くて緩く掴むと鎌で挟まれて痛い。強くつかむと潰れて壊れる。だから嫌いって。
俺もこのまま弱いままだとそんなこと言われるのかな??悲しくなってきた。
「今日もよろしくお願いします!!先生方!!」
俺はレイとやっちゃんに頭を下げる。
「もちろん!!」
「うむ、苦しゅうない!!」
いい返事聞けてうれしい俺!!うん!頑張ろう!
強い人に囲まれていれば不測の事故も減るってもんだ。
まぁ無茶させられたんだけどね。
レベル2でハイオークはないよ、マジで。そんなの多分俺だけ。
「では!!いざ征かん!!」
みんなで急いで装備を整えてレッツゴー!
「ちょっとお待ち!!一人増えてるじゃない??料金が足らないよ?」
俺たちが出かけるのを見て俺達を慌てて止めるおばあちゃん。あ!そうだ!!
「ごめんなさい、不足分と今日の分。と料金を支払う。」
「あんたも隅に置けないね〜。こんなべっぴんさん2人も・・・。いや〜、見た目に似合わずあっちが強いのかい??ひひひひひ」
このばあさん、結構下品だ。
いつか聞き耳立てていそうで怖い。
そんな話を聞いてレイとやっちゃんは顔も耳も真っ赤になっている。
君たちはこのばあさんから見ればもうヤられているらしい。
気を取り直して移動移動!!
朝飯食べていないや!
「ご飯どうする??」
「「食べる!!お腹すいてた!!」」
声が揃う2人。
「カツ丼!!」
後ろから声が聞こえる。ミドラだ。
「前行った店に行こうよ!」
歩き出して先頭に立つミドラ。食べることとなると非常に行動的だな。
雑談しながら歩いているとすぐに着いた。
『定食屋 緑』
へ〜そんな名前だったんだ。そういやあの時は看板見ずに入ったな。
「あれ?恵くんここ来たことあるの?」
「あれ?やっぱりやっちゃんここ来たことある?店主さんが日本人見たって言ってたから。あ、厳密には『いただきます、ごちそうさま』と挨拶する旅人を見ただけど。」
やっちゃんがウンウンと頷いている。
カラカラ・・・戸を開けると
「いらっしゃい!」
店主の元気な声が聞こえる。
「お!あんたか!!うまく冒険家してるか?って、そのお嬢さん、知り合いかい?前言ってた子、その子だよ!いや〜縁ってすごいな〜。」
嬉しそうに言っていた。
「お久しぶりです!奥さんも元気ですか?」
やっちゃんが店主に聞くと、店主の顔が曇る。
あれ??何かあったのか?
「何かあったんですか?」
俺が不安そうに聞くと、
「ううん、お客さんに言うことじゃないし、いうと変な噂にもなりかねないんだけど、昨日から嫁さんの体調が優れなくてな、医者に見せたら、どうやら特殊な薬草がいるらしく、それを手に入れないと薬が作れないらしいんだ。今は代用品でごまかしているんだけど治りはしないらしい。だから困っているんだよ。一応ギルドで採取依頼は出したんだが取れる所が特殊で、その薬草自体も厄介なものらしい。だからあまりお金がだせないから、受けてくれるかどうかもわからないんだよ。」
手に入るかわからない不安があるのだろう。店主は落ち込んでしまった。
奥さんの元気な対応がこのお店のもうひとつのいい味なのにな。俺も美味しさ半減は悲しい。
そう思っていると
「レイちゃん、恵くん、それ、私達で取りに行かない?」
俺もやっちゃんと同じこと言おうと思っていたんだよね!!
「うん!!俺もそう思っていたんだ!!だって、奥さんと店主がいるからこのお店の美味しさが増すんだもん!」
俺が笑顔で言うと
「いやいや、ありがてーんだが、その特殊っていうのがすごく難儀なんだよ。そいつは人を襲って食うらしいんだ。しかもすごく強いんだよ。」
肩を落とす。
確かに駆け出しの俺だもんな。心配されるのも仕方ない。
「デュランで片付ける?」
小さい声で耳元で言うレイ。
それはダメでしょ??俺のレベルアップもあるから行こうと思っていたんだから。
俺は首を横に振る。
「店主さん、その薬草なんなの??」
レイが聞くと
「マンドラゴラっている草なんだが、年齢が若いものはダメらしい。老齢のデカイ奴じゃないといけないんだとか。若いのは危険がないんだけど、老齢のものはすごく危険らしい。」
マンドラゴラ??よく聞くあの魔法の薬を作るやつ?
地球にも生えているナス科の植物だよね?
俺は気になって何年か毎年種を蒔いて育てたぞ?
ただ、大きくなると根っこが腐っていなくなるんだよね。
あれがここでは人を食うの?
恐ろしいな。しかもでっかくなるんだ。
「じゃぁ行きますか!!」
「飯まだだぞ?」
いつの間にか席について、そう言うミドラ。
「「「確かにね・・・。」」」
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