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願いで手に入れた伴侶が最強  作者: うぉすれや
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クロエの依頼

俺は今、自分の屋敷のある街、俺の名前がついた街をうろついている。


「説明によればこの辺りのはずなんだけどね・・・。」


渡された紙をみながら、うろつくこと2時間・・・。俺は完全なる・・・迷子だな。


「恵様・・・この街・・・結構広いですね。」


メイリーンがキョロキョロしながら俺の横にいる。


子供がいっぱいいそうなと所には、やはり真の勇者が人気があるだろう。

そして子供あたりの良さそうなメイリーンがうってつけの役だろう。

そう思って連れてきたのだが・・・俺の格好悪いところを見せる羽目になるとは・・・。


「あの・・・すみません・・・。この辺りにメルギス子ども園という施設があると聞いたんですけど・・・。」


俺は近くを歩く女性に声を掛ける。

その女性は俺達にというより、俺に警戒しながら


「あぁ、孤児院ですね・・・。それならここから4ブロックほど進んだ先にありますよ。」


女性は身構えながら道を指さす。


「ありがとうございます。メイリーン行こうか。」


「ハイ!」


メイリーンと俺はその女性に頭を下げて指さしてくれた方に走っていく。

そして走ること数分・・・。ボロい建物を見つける。


「メルギス・・・こ・・・も院?ここかな?」


立てかけられている看板すら読めないほどボロく朽ち果てている。


「これで人が住んでいるんですか?ちょっと触れたら壊れそうですよ・・・。」


俺もそう思う。俺が一歩階段を踏むと


ギシ


一歩踏み出すと


ギギ


そして


バキ!!


案の定、階段を踏み抜いてしまう。


「・・・後で直しましょうか・・・。」


「うん・・・そうだね。」


俺はかなり傷んだ扉をそっとノックする。


コン・・・コン


すると


「は〜ぃ!!」


中から声が聞こえて扉が開く。


そこにはまだ12,3歳くらいの女の子が立っている。


「あの・・・どちらさまで??何か用ですか?」


女の子はきょとんとした顔をして俺達を見ている。


「あぁ、こんにちは。俺は恵と言います。そしてこっちは」


「メイリーンです。よろしく。」


笑顔で手を出すメイリーン。だが握手には応じてくれない。


「あの・・・何か御用ですか??もし・・・取り立てとかなら・・・お金はありませんよ?」


猜疑心いっぱいの目で俺達を見る女の子。


「あ、そう言うんじゃなくて、ここにメルギスさんという方がいると聞きまして。」


俺の話に身構える女の子。


「あの・・・そんな人はいませんけど??ですので帰っていただけませんか??」


ものすごい警戒している。


「こちら出身のクロエさんから依頼を受けまして、お話をしに来ました。メルギスさんは??」


メイリーンが笑顔のままクロエの名前を出す。


「え?クロエ姉ちゃんの??」


女の子が少し警戒を緩めるが、すぐに身構える。


「そんな名前を出しても騙されませんよ!!メルギスなんて人いま・・・」


女の子が大きな声で俺達を追いだそうとした瞬間に


「待ちなさい!あなた・・・もしかして・・・真の勇者ですか?」


女の子の後ろから覗く女。

メイリーンを見て真の勇者だとわかったようだ。


「メルギス様!!出てきてはダメです!!この人たちは悪い人ですから!!」


女の子が俺達に姿を見せた女を後ろに押し込んでいく。


「ルミ・・・待ちなさい!!この人は悪い人ではありませんから!!」


押し込まれながらも抵抗して俺達のところに出てこようとする女。

歳は・・・いくつくらいなのだろうか?わからない。

なぜなら彼女はどう見ても・・・エルフだ。


「あなたがメルギスさんですか??クロエさんから言伝が会ってここに来ました。お話したいのですが今、よろしいですか?」


メイリーンが可愛笑顔を見せたまま、扉を押さえてメルギスらしい女に断りを入れる。

メイリーンを連れてきていて正解だな。これがやっちゃんやレイだときっと面倒なことになっている。

メイリーンの丁寧な接し方なら変な誤解が生じにくいはず。そう思って連れてきたから。


「クロエの知り合いの方なんですね?ええ、どうぞ。こんな汚いところですが・・・」


女の子も観念したのか俺達を横目に立っている。だがどう見ても警戒しまくりだな。


「あの・・・ここにいは子どもたちが沢山いると聞いています。言い難いですがこのいつ倒れてもおかしくなさそうな建物の中で子どもたちが生活しているんですか?」


俺の問に少しニヤける女の子。


「メルギス様は凄い魔術師なんだぞ!!汚いのは外だけ!!中はほら!!」


何故か自慢気に次の扉に走って行き開け放つ。

その先には・・・


「へぇぇ、こんな空間が・・・。しかも綺麗で広い・・・。凄いな・・・。」


俺は大きな部屋を見て驚く。そこにはかなりの数の子どもたちが学び、遊んでいる。


「ははは・・・私の能力でなんとかこうやっています。まだ見せるには早かったと思うんですけどね・・・。ルミが先走ってしまって・・・。」


頭をポリポリと掻きながら照れるメルギス。


「子どもたちが活き活きしていますね。素晴らしいと思いますよ。それでは・・・」


俺はクロエに渡されていたお菓子を子どもたちに持っていく。

すると・・・


「知らない人から物をもらっちゃダメって言われています。ごめんなさい。」


みんなが頭を下げてどこかに逃げていく。

まだ警戒されているようだ。


「で、話というのは???」


メルギスがテーブルと椅子を出して俺達に座るようにと言ってくれる。


「はい・・・」


俺はクロエの話をする。そして・・・


「申し遅れました。俺はこの国の皇帝をやっている吉永恵です。」


頭を下げて言うと


「この国の皇帝??極悪人じゃない!出て行ってよ!!」


女の子に箒を向けられる目がマジで怒っている。俺はなにかしでかしたのか?


「ルミ!!失礼でしょ!!お話があるのは私ですからあなたは向こうで子どもたちのことをしていてください!!」


慌てて女の子を制止して仕事を支持するメルギス。


「あの・・・恵様は何をして極悪人と??」


メイリーンの質問にメルギスは困った顔をして


「はぁ・・・この国にいた貴族の子どもたちがここに何人かいます。その親たちは・・・その・・・」


「奴隷として売られたやつだね。」


俺の言葉に顔を俯けて少しだけ頷くメルギス。


「それで新しい皇帝に対してものすごい嫌悪を持っている子がいます。その子たちはあなたを極悪人と・・・。」


そりゃそうだろう。親を奴隷にされて、自分は孤児院に放り込まれたのだから・・・。恨むのも当然だ。


「まぁバカやったのはその貴族だからね。俺はその落とし前をつけさせただけ。自分の尻は自分で拭いてもらわないとね。」


俺は平然とそういうと


「恵様、それでも子供は関係ありませんよ。そのせいで嫌な思いをしているのであれば何かしらの・・・」


メイリーンの言葉を遮って俺は反論する。


「親が人々から搾取して産んだ金でノウノウと生きてきたんだから、子供は関係なくても親がそうなればそれに巻き込まれるのは仕方ないでしょ?奴隷にならずに済んだだけ儲けモンと思わないと。身分の低い子どもたちはいい思いを全くしないままそうなることも普通にあるんだし。」


俺は冷たくそう言うと


「ですが・・・子供にそれを解かれというのは酷ですよ。」


メイリーンが俺に反論するとメルギスも頷く。


「ん〜〜〜〜〜。じゃぁどうしたらよかったの??あいつらが勝手に俺を殺そうとして没落したんだよ?禍根を残さないために始末する??」


俺のまさかの言葉にメイリーンが激怒する。


「恵様!!それはひどいと思いますよ!!子供を殺すなんて!!まさかそんな言葉を恵様が吐くなんて!!」


ものすごい剣幕で涙を流しながら俺を睨む。

その雰囲気に震えるメルギス。

そして扉をあけて覗きこむ子どもたち。

もしかしたら自分が殺されるのでは?とオドオドした目をして俺を見ている。

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