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願いで手に入れた伴侶が最強  作者: うぉすれや
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朝日の照らす公園で

祝50話。

レイと田村さんこと、やっちゃんが衝突します。

ベンチに座り泣きじゃくる田村さん。


「なんで田村さん呼びなのよ〜。なんでレイなのよ〜。なんで怖がるのよ〜。」


怖がってるのうすうす気づいていたんだね。

ごめんね。田村さん。


「あのさ、田村さん、」


「田村さんは嫌。」


「じゃぁやっちゃん!」


「え??なになに??お泊り許可してくれるの??」


「そんなこと言っていません。」


「なんでよ〜〜!!なんでよ〜〜!!」


ビービー泣くやっちゃん、こんなに感情出すんだね。初めて見た。

そんなにお泊りしたいのか??俺とレイをふたりきりにできないのか?


「聞かせて欲しいんだ。やっちゃんはどうしてそんなにレイを嫌うの??」


目をグシグシ擦りながら話し始めた。


「小さい時さ、約束したの覚えてる?恵くんは私が守ってあげるって。あのとき恵くんすごく弱かったじゃない。運動音痴だし、変に気を使うしさ。それで周りの男の子にいじめられたりしてさ。優しいから皆つけあがって小突いたりしてたじゃない。だからこの子は私が守るんだって思ったの。」


ヒックヒックなりながら話を続ける。昔の俺は情けないやつだったな。懐かしい話だ。


「で、私は運動も勉強も頑張って一緒にいてさ、もう可愛い弟が出来た気分ですごく嬉しかったの。でも、中学に行ってあなたは急に大きくなった。そして周りの女の子もあなたのことを見始めたわ。それを見ていて私は焦ったの。この子は私の弟なの??それとも好きな子なの??てね。」


俺を見つめ始める。俺は姉だなんて思ったことはないな・・・。ずっと憧れの女の子だった。


「私は恵くんが好き!!でもその気持ちをずっと隠してきた。それでもあなたは私が行こうとしている高校を知って猛勉強をしてまで一緒の学校に来てくれた。それで私は慢心し始めたの。あの子は私がいないとダメだからって。私から離れることなんて無いって!!でもね、昨日から急に変わったの。レイが急に現れた!!」


涙を流しながら真っ赤な目でレイを睨む。


「あなたが急に現れた。私だけ気づいている。急なのよ急!!私の前だけに急に現れたのよ。私のお母さんすら兄妹だって言い切るのよ。おかしいでしょ?どう見ても愛し合っているのに。誰も警戒していない。あなたのご両親だってあなた達が好き合っているなんて気づきもしていない!!そんなのおかしいじゃない・・・。」


ボロボロ涙を流すやっちゃん。

そういうことか・・・。ずっと自分を見ていると思っていた俺が急に女の子を連れて歩き出した。

皆はいつも一緒にいたでしょ?みたいに言うのに自分だけ蚊帳の外で騙されることも出来ない。

苦しいのに誰にも言えない。それで急に距離感つかめなくなっていたのか・・・。

すごい焦ったんだろうな・・・。俺が彼女に彼氏が出来たと思って狼狽した時のように。


そう思うと悪いことをしたな。俺が距離感を保とうと突き放したのも彼女にとっては拒絶されたような気がしたんだろう。


「ごめんね。傷つけてたんだね。」


彼女の頭に手をやり撫でる。


「あぁこんなこともして欲しかった。私の願っていた瞬間が今あるのね。でも、私への愛じゃない。もっと早くあなたに気持ちを伝えていたらもっと違った形だったのかも。あなたの横で歩調を合わせて歩く登下校、あなたと机を並べて勉強したり、あなたの家族とお話したり、今と全く違う世界があったのかも。もしあなたの願いを叶える力があったら私はほんの少し時間を戻してレイと出会わないようにしていたと思うわ。」


目をつむり撫でる手をつかみ頬に当てる。

ため息を吐きその手を放した。

そしてレイを見つめて


「ごめんなさい。ずっとあなたを憎んでいた。ううん!!違う今も憎んでいる!あなたさえいなければ、あなたがもっと弱ければ、あなたの性格がもっと悪ければ、あなたがもっと綺麗な女性じゃなかったら、私にチャンスが生まれたかもしれない。でもあなたは完璧なのよ!魔族ではあるけれど完璧なのよ。人を見下しもしない、弱いものを卑下したりもしない。あなたを見ていると自分が嫌になる。あなたに対して嫉妬してしまうから周りにあたってしまうから。今、私は私が大嫌い!!」


立ち上がってレイの前に立ちボロボロ涙を流す。


「あなたなんか大嫌いよ。なんで完璧なのよ。なんでそんなに優しいのよ。なんでそんなに恵くんに愛されているのよ!!もう思い知ったから、だから恵くんを返してよ!!」


レイの襟を掴んで泣くやっちゃん。


「なんでよなんでよなんでよ・・・」


「でもまだ諦めない。ぜ〜〜〜〜〜ったいあきらめない。だから一緒に居るって決めたの。」


目をゴシゴシしすぎて目の周りまで真っ赤だ。


「あなたは私が嫌いでしょ?でもそれでいいの。仲良くなんか出来ないから。私はあなたの邪魔をする。私はもっと魅力的になってあなたの邪魔をし続ける。恵くんを好きな気持ちだけはきっと負けていない。あなたは彼の能力でここに居るだけ。私はそう思っている。そう思わないと心が折れてしまいそうだから。両想いなんて許さない。絶対認めない。」


レイはすごく困っている。

レイはどう思っているんだろ?

こんなことを言われてどう感じているんだろ?

俺は女の子の気持ちはわからない。

ここまで真っ向から向き合って衝突してどうするんだろ?


「わ、わたしは・・・」


レイが黙っちゃった。

きっとここまで言われるとは思ってもいなかったんだろう。

レイはきっとやっちゃんが俺に気があるのを気づいていた。

だから何かあるたびに反応していたんだろう。

いつか衝突はするだろうと思っていたかもしれないけどそれが思ったより早かったんだろう。


「やっちゃん、ありがとう。気持ちを伝えてくれて。」


俺はお礼を言った。


気持ちは嬉しい。ちょっと心が揺らぎ始めている。

今まで彼女に何も感じなかった心に少し炎が灯される。

俺はこれからどうすればいいんだ?わからなくなってきた。





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