地獄行きという名の極刑
俺は今、俺が作った世界に来ている。
俺が作っただけに理不尽しか無い世界。
そこに閉じ込めた奴に会いに来ている。
この理不尽・・・今の俺なら受け入れることが出来ないものである。
それは・・・
努力が全く繁栄されない世界。
こんなところにずっと居ればきっと頭がおかしくなるだろう。
しかもこの世界・・・俺達の世界より数千万倍ほど時の流れが早い。
こうしている間にも俺達が普段居る世界は・・・全く進んでいない。
要するに、ここで何年過ごそうとも、俺達の世界に戻ればそんなに時が進んでいないのだ。
そしてここには俺が独断で罪を犯したと思う塵をどんどん送り込んでいる。
最近で言えば、似非神々共はラスボスのゴタゴタ後、全てここに収容している。
それと同時に凶悪な魔物も数体ずつこまめに送り込んでいる。
こちらの世界では何年かに一度、厄災のような魔物が降ってくるのだ。
魔物のレベルは1万から3万くらい。結構凶悪なものばかりだ。
それをこまめに送るために贄から捕獲隊を結成してしっかりと働いてもらっている。
贄から捕獲隊に昇格したものはとても喜んでこの任務に付いているので真面目にどんどん送ってくれている。
さて、俺の会いたかった人物を探す。
『デュラン・・・これだよね??』
『ああ、それだ。』
俺は今、巨大な魔物の糞の前に立っている。
「くっさ・・・」
俺は鼻を抓んでそいつが現れるのを待つ。
「ごはっ!!ごほごほ!!ぺっぺっ!!」
柔らか目の糞から状態を起こして咳き込みながら口の中の糞を吐き出す女。
「クソ!!また生き返ったのか・・・。何だこの地獄・・・いつになったら終わるんだ??」
女は俺に気づかず悪態をついている。
「よ〜、久しぶりだろう??俺のこと覚えてる??」
俺が声を掛けると顔にべっとりと付いている糞を手で拭って、顔を見せる女。
「貴様!!恵!!どうしてここに!?まさか・・・はは〜〜ん、お前もここに送られたんだな!!ザマァ無いな!!ははははは」
「いやいや、俺が作った世界だぞ?なんで俺が放り込まれるんだ??俺はお前に話をしに来たんだよ。」
「はぁ??俺をこんな目に合わせて??俺には話することなんて無い!!さっさと帰れ!!」
「あっそう、じゃぁ帰るよ。別に絶対に話をしなくちゃいけないってことでもないからね。」
俺が後ろを向くと
「ちょっと待て!!うそ!!話したいこともあるしお願いもある!!だからそんなにすぐに帰ろうとしないでくれよ!!」
「いや、やっぱりいいわ。ここは罪人ばかりだからな。まぁ俺基準で裁いているわけだけど。死刑よりきつい刑がここなんだからね。話の内容や反省の態度によっては初めての釈放者になるはずだったけど・・・じゃぁ。」
俺が手を振るとものすごい勢いで俺の前に走ってくて両手をひろげて俺の行く手を阻む。
「いや!!行かせないぞ!!俺はなぜここにいる??お前が聞きたかったことを話しただけだぞ??それなのにマッキー様に嫌われるわ、全員から軽蔑の目で見られるわ、絶対おかしい!!」
息を切らせながら俺に怒っている。
「だって、あんたは自分のやってきた行いを悪だと思っていないだろう??」
俺の言葉に
「当たり前だ!!俺は神だぞ!!なら、俺の行いは全て善だ!!誰がなんと言おうと善なんだよ!!お前がお前の持つ善で俺を裁いたように、俺は絶対の正義であり善なんだよ!だから俺の行いはすべて、全て許されるんだ!!」
糞まみれで威張り散らすケイ。こいつにはどれだけ言ってもわからないか。
「善っていうのはね。皆が思うほうが善なんだと思うよ。あんたが思っている善は自己中な善だ。」
「フン!!善や正義はすべて自己中だろう?勝者は強者が決めるんだからな。なら俺の言っていることややっていることはすべて・・・善であり正義だ!!」
肩で息をしながらものすごい勢いで話をするケイ。
「あんたと話をしてもいい方向には進みそうにないな。マッキーに頼まれたんだよ。だからここに居るんだ。マッキーがあんたが反省しているなら連れて帰ってきてくれって言うからここに来たのに・・・。」
俺が悲しそうに話をすると
「え??マッキー様が??うそ!!?え??え??」
糞まみれのまま目を輝かせるケイ。
「どうでもいいけど、汚いからその辺の池で体を綺麗にしてから話をしない??臭くて嫌なんだけど・・・。」
「クッ・・・わかった・・・」
ケイがフラフラとどこかに歩いて行く。それについて歩く俺。
そして大きな美しい池にたどり着く。
バシャバシャ
体を清めるケイ。そして美しい姿に戻る。
「一度目の消化で服を失ってからかれこれ長い間、裸なんだよ。服をくれ。それにこの姿だとすぐに襲われる。」
俺は昔魔物との戦闘で手に入れた装備品をいくつかケイに渡す。
「恵、この世界は理不尽すぎるぞ。戦っても全くレベルが上がらない。技術の向上もない。知識の蓄積も出来ない。どうなっているんだ??」
この世界の理不尽に文句を言い始めるケイ。
「そりゃぁそうだろう?この世界で強くなったら、進歩があったら意味がないだろう??ここは全く進歩がない地獄なんだから。俺が一番怖いと思う世界だな。どうだ?住心地が悪いだろう?」
ものすごい嫌な顔をするケイ。
「ああ、性格が悪いのがよくわかるよ。さすが創造主だ。最悪の男だな。」
俺に向かって性悪と罵るケイ。まぁ合っているから気にもしないけど。
「あんたに話しというのは、マッキーのことだ。マッキーはあんたが好きなんだとよ。と言っても、友達程度だぞ?あの性格を知って相当幻滅している。だからそこが改善されていたら戻ってきて欲しいんだって。どうする??自分を善と言って反省無くこの地獄を永遠にさまよい続けるか、ちゃんと反省して考えなおしてこれからの皆との生活を考えるのか・・・今すぐ選べ。」
「出られるなら考えくらい改めるぞ!」
ものすごい嬉しそうな顔をするケイ。
「本当だな??」
「もちろんだ!!マッキー様と暮らせるなら俺は神の身分を捨ててもいいとさえ思っている。こんな身分、マッキー様の価値に比べたら塵だ塵!!誰かに譲るよ!!」
「誰もそんな身分いらんと思うぞ。」
「え??」
俺の言葉にかなり落ち込むケイ。