休日の過ごし方
お泊り会の終わる朝がきました。
憧れの人の家に泊まっていくとなったのに
帰りたい帰りたいと思っていた俺。
やっとおうちに帰れる。
「ふぁ〜〜〜〜〜!!」
よく寝たような気もするがやはり活動していたのでしっかり眠りにつけた感覚はない。
だからといって辛いとか頭が痛いとか眠たいとかは全くない。
寝ていても色々経験できるからすごいお得に感じる。
「おはよう。レイ」
「おはよ!メグミ」
2人で顔を赤くする。向こうでの出来事が俺達にとって大きな進歩だと感じる。
「昨日の晩何かあったのか?やったのか?あんなこととかこんなこととか・・・。」
俺達2人を見下ろし睨む田村さん。
「健全ですよ!!なんで聞くの??」
「気になるじゃない?やっぱり。」
あぁもう!田村さんは何を考えているのやら?
そんなことより今日は何する??
そう思いを馳せていると
「ねぇメグミ、この世界をしっかり見ておきたいの。どんな世界なの?」
確かにレイにとってはすべてが珍しいものだろう。
まぁ、まずは家に帰ろうよ!
そこからじゃないかな?
ずっと願ってたのに、叶わなかった願いだもん。
「ということで田村さん、お邪魔しました!!じゃぁ!!」
すばやく手を振って一目散に部屋を出ようとすると、田村さんが後ろから右腕を回し首を絞めて止めにかかる。
「ちょっと、なになに??この世界では私は放って行かれるの??まさかね。そんなわけないよね。」
じわじわ・・・ギリギリ腕で締め上げていく。
ちょっとマジで死んでしまいます。
あなたと俺の間にはそれはそれは大きな、そうまるで街を覆う壁より高い大きな壁があるほどの力の差があるのです。
やめてください。
あなたはハイオーク5匹よりも圧倒的に強いのです。
死にますって!!
田村さんの腕にタップする俺。
「ゴホゴホ!!ガハ!わかった。わかりました。ゼェゼェ、一緒に行きましょう。ゴホゴホ。」
後数秒で死ぬところだった。
この人何考えているかわからない。あの以前の憧れは何からくるものだったのか?
勝手に想像していた理想をこの人に重ねていたのかな?
全く違う。断じて違う。この人は俺の理想とは程遠い。
座り込んで涙目になる俺にレイは
「大丈夫??ほんと無茶だよね。力で物を言わせて従わせるなんて。」
優しく背中を擦ってくれた。
それを見て慌てて田村さんも
「あ!ごめんなさい、大丈夫。最近私どうしたのかしら?」
謝りながら背中を擦ってきた。
「あのさ、田村さんはどうして欲しいわけ?俺全くわからないんだけど。」
俺には彼女の考えていることが全くわからない。田村さんは目を泳がせている。
何やら相当困っているようだ。
「・・・」
何もいわないか・・・。
目を泳がせてたり困ったりする姿を見ても心動かない。なんでだろ?容姿は悪くないしスタイルも悪いわけではない。
ほんの数日まで俺にとって全てだった彼女。
彼氏も誤解だったわけだし、本来ならなびかない訳がないのだ。
両手に華
今の状態は本来ならまさにそれなのだが全くそう感じない。
そりゃぁ、ここに裸で立っていれば良からぬことも考えるだろうがそこまでいかないと全く心動かない。
もうこれを口にしたら失礼千万だろう。
もし今彼女に思うものがあるとしたら
恐怖?
なんか怖いんだよね。俺を見ている目とか、俺に対する接し方とか。
そう、距離感が怖い。
腕を掴まれたり、先ほどみたいに首を絞められたり、小さい時から一緒だから何度もされてきたであろう行為も今されると命に関わる感じがしてとても怖い。
距離を取りたいのに取らせてくれない。そんな接し方でたった1日ちょっとでこうなったのか?
嫌いではない。でも好きか?ときかれると別に?という感じだ。
好きの感情はもうレイに向ききっている。そのせいか?俺は純情なのか??
二股出来ないタイプなのか?
そんなことを思いながら今、家に帰る準備をしている。
こんなこと誰にも相談できない。できるわけがない。
さて、どうしたらいいのか?
「メグミ、大丈夫??上の空だよ。絞められて頭おかしくなった??」
レイがナデナデしてくる。心配そうにしている顔がとても愛おしい。
彼女の場合はこの距離感でもすごく居心地がいい。
「ふふふ、レイさんと恵くんは仲がいいのね。弥生も兄弟がいればそんな感じになったのかな?」
その姿を見て田村のおばさんが笑いながらそういった。
もしかしたらマインドコントロールの効いていない田村さんにとっていきなり兄弟を取られた感じで居るのか?
ははは、そんなわけないか?
「恵くんもレイさんも朝ご飯食べてから帰りなさい。やっぱりご飯は賑やかな方が美味しいから。」
そう言ってくれるおばさん。昔から優しい二人目のお母さんなんだよね。ありがたくいただきます。
おばさんも含んで4人で食べる朝ごはん。
いつもと違うちょっと幸せな気分になった。
「「ただいま〜」」
「おじゃまします!!」
俺の家に辿り着いた。帰りにかかった時間、1分弱。
やはり昨日はかえって寝ても良かったのでは??
そう思っていると
「明日も休みだし、今日は私が恵くんちに泊まる!!」
そんなことわけのわからないことを言いはじめる田村さん。
「へ?なんでそこまでして一緒にいようとするの??」
「レイとふたりきりにしたらヤバイでしょ??あれでしょあれ!!やっちゃうでしょ?皆は兄妹扱いしてるけどあなた達出来てるでしょ??そんなの放置できない!!何が夫婦よ!!何が伴侶よ!!いきなり湧いてきたくせに!!」
涙目で俺達を交互に睨む。
玄関で喚いている田村さんの声にびっくりしてうちの両親と美久が出てきた。
「デュラン!!ごめん、時間止めて。」
「その願い叶えてやろう。」
荷物を2階に置いてレイと田村さんを連れて外に出る。
田村さんはヒックヒック泣いている。
レイはなぜかオロオロしている。
オロオロするのは俺の役なんだけど・・・。
この状態どう打破するの??
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