この世界のすべてが・・・
「デュオール!!デュオール!!どこにいる??どこだ??」
俺は世界中を飛び回り探しまわる。
デュオールは全く見つからない。
世界中の人々に顔の覚書を見せながら探すが全く情報が見つからない。
だが、ある日、面白いスキルを持った人族に出会う。
どんなもので、どんな人でも見つけ出すことができるという俺の探し求めていたスキルの持ち主だ。
「おぉ!!貴方様が神々ですか!!お目にかかれて光栄です。」
「挨拶はいい。あなたはどんな人でもすぐに見つけられるスキルを持っているんですよね?」
「ええ。名前指定していしまえば、どの方角にどれくらいの距離離れているかがわかります。ただ・・・」
この男は自分のスキルについて説明する。
私は説明がほしいわけではない。
「デュオールという女性だ!!黒髪の美しい素晴らしい女性だ!!探しだしてくれ!!」
「わかりました。神々とのコネができるんですからお安い御用です・・・。あれ??」
男の持つ羅針盤と呼ばれる板は何も示さない。
「う〜〜ん。これは・・・死亡していますね・・・。」
「そんなわけない!!あの力があるんだ!!死ぬわけがない!!」
俺は大声を上げて否定する。そう、彼女は死ぬはずがないのだ。
「では・・・名前を間違っているのでは??偽名とか・・・」
「そんなわけがない!!夫婦でもそう呼び合っていた!!偽名なわけがない!!」
俺は頭を抱えて床に伏せる。そんな馬鹿な・・・しんだ??なぜ??誰が殺したんだ??どうやって?
「じゃぁ、殺したものを探してくれ!!できるんだろう?」
男は頷く。そして板を覗きこむ。
「いませんね。ということは自決か・・・病死か・・・あとは・・・作り替えられたか・・・。」
「なに???作り替えられた??どういうことだ??」
男は説明する。
聞けばどうでもいい話だった。
俺は男に謝礼を私とぼとぼと街を歩く。
「デュオール・・・どこに行った・・・。お前を失って・・・この世界は醜くなってしまったぞ・・・。俺のもとに戻ってきてくれ・・・。ジーニスも・・・子どもたちもお前の帰りを待っているはずだぞ・・・。」
何年も探し求めるうちに俺の心には悪しきものが芽生え始めている。
ジーニスや子どもたちを生き返らせなければ、デュオールは俺のものになるのでは?
幸い、あの邪悪な存在と融合したのであれば永久に生きることも可能なはず。
そうなっていれば俺の傍らであの美しい、爽やかな、優しい女性が居続けてくれるのでは??
そう思い始めている。
デュオーンを見つけ出してもジーニスや子どもたちの話を出さなければいい。
俺のアイテム袋に隠しているのだから、未来永劫見つけることは不可能なのだ。
「デュオール!!どこに行った・・・。クソ!!あいつらがあんなことをしなければ・・・」
俺はあいつらを探しはしたが、全く見つけることが出来なかった。痕跡一つ見つけ出すことすらできなかった。
先ほどのスキルの持ち主を1000年ほど前に見つけていれば殺しに行っていたと思うが、自分の足で探すというのにはこの世界は広すぎる。数名の男を探しだすなんて不可能なのだ。
それからデュオールの情報を持っているという輩を何人にも会うがすべてガセ。それだけなら許せるが、あからさまに騙そうとする輩も多数いた。
「この世界の奴らはゴミだ・・・。ゴミばかりだ・・・。あいつらもそうだった。ゴミでクズで・・・そうだ・・・滅ぼしてリセットしよう・・・。こんな腐った世界・・・有るべきではない。俺の能力をフルに使えば・・・。」
俺はこの世界のすべてが許せなくなってくる。
全員死ねばいいのだ。人族も、亜人も、獣人も、そして神々も・・・。
滅びればリセットされる。それから善良な人々だけが生きていく世界を作ればいいのだ。
まずはこのゴミどもを・・・すべてを滅ぼすことに専念しよう・・・。俺の愛するデュオールは・・・もうこの世界にはいない・・・