光り輝く世界の中で
「デュオール・・・どこだ・・・デュオール・・・」
「お〜い!フレイ。夜盗共を逃したって??そういうのはやめておけよ。必ず後悔するからな。あいつらは恩を仇で返す名人だからな。ははははは」
女は今日もものすごいご機嫌だ。
「シマ!!リフ!!買い出しに行くよ!!フレイは留守番な。旦那が変な道具を開発しているからできたら手伝ってやってくれ。」
女が子どもたちを連れて街の中に入っていく。
この世界の中でもかなり大きな国の大きな街。どんなものでも揃う数少ないところだ。
「ジーニス・・・置いて行かれた者同士で面白アイテムをつくろうじゃないか?」
俺の言葉にニヤける女の伴侶。
「やっぱりこういうのは男同士が一番だな。それにお前のひらめきは・・・神がかりだ。」
男が俺の肩をバンバン叩きながら笑う。俺も一緒に笑う。気持ちのいい男だ。それはここに居るもの全てに言えること。全員が家族。少なくとも俺はそう思っている。
月日が流れる。俺は歳を取らない。
だが・・・子どもたちは大きくなり、俺を兄のようにしたい始める。
「フレイ兄さんは若いよな!!父や母と同じくらいには見えない。何かの奇術か??ははははは」
母親と同じ笑い声を上げる。
「フレイっちはなんでこの一団に加わったの??いつ加わったの??ねぇねぇ??」
「ちょっと!!フレイになんて口の聞き方をするの??あんたもさすがに怒っていいのよ??」
女が笑いながら子どもたちの頭に拳を落としていく。
「「いった〜〜」」
子どもたちは頭を押さえて笑いながら走っていく。
「フレイも優しいとなめられるわよ?それにしてもあなた・・・歳がわからないわね。羨ましい。若さの秘訣は何??まさか・・・機械ってことはないわよね?」
この世界にはどこから来たかわからない人形がたまに見つかる。
ほとんどは停止しているのだが、たまに動くものも居る。その中には何かを命令されたものが居て、ブツブツそれを繰り返しているだけの人形が見せ物として見ることができる。動かないしブツブツ言っているだけなのですぐ飽きられるのだが・・・。
「はははは、まぁ・・・その・・・はぁ・・・」
俺は返答に困ってしまう。
「え??なに??まさか・・・機械のなの??」
「いや・・・えっと・・・どうしようかな??」
正体を言うべきか・・・。そのままとぼけるべきか・・・。
「心配しないで。あなたがナニモノでも私達は今の接し方を変えたり、遠ざけたりしないわ。」
俺の肩を力強く抱きしめる女。
「俺は・・・実は・・・神々なんだ・・・。」
「え?・・・そ、そうなの??なんの??」
「知識の・・・」
「・・・それでか・・・。色々思いつくのは・・・。まぁ、何で私達の側にいるのかわからないけど、これは秘密の方がいいのよね?」
「ああ。できたらそうしてほしい。広まるとさすがにここに居続けることが出来ないからね。」
「わかったわ。絶対誰にも言わないから安心して。あの人にも言わないわ!!」
ウィンクをしながら俺の胸に拳を突き当てる。
この女特有の約束の仕方・・・。
そうだ・・・俺はこの女を信用しきっている。約束を破ったことがないのだ。
だから俺は彼女を信用しきっている。
「そのかわり、俺はデュオールを絶対守るから。神々はその辺の悪者なんかに負けないからね。」
「ええ、期待しているわ。人に負けたら・・・その時は笑ってあげるから。」
俺の肩をバンバン叩きながら笑う女。
本当に全く・・・俺の正体を知っても扱いが変わらない。俺は心の底から笑う。こんな愉快な気持ち・・・きっとここに居なかったら持つことはなかっただろう。