大戦勃発
無事に魔族領とシュローデヒルム帝国が同盟を結び、俺の帝国と一直線に並ぶ巨大な国が手を結ぶことになった。そのニュースはまたたく間に世界に広がる。
それは俺達の世界にも広がり、管理者に無許可で人を送っていた国々が自粛し始める。
表向きはだけど。裏では変わらずやっているはずだ。最近じゃ神々の動きも鈍いみたいだし。
「サミュエル・・・。どう??強くなった??そろそろあっちのことをお願いしたいんだけど・・・。」
「ええ、おかげさまで。A国のゴミ共を始末してくればいいんですね?」
サミュエルは今現在、レベルが3万ほどまで上がっている。連れの女性のメリッサも変わらないくらいだ。
このレベルなら2人で国を転覆できるかも知れない。
「うん。お願いするね。大統領は生きたままの捕獲でお願いできる?あと・・・」
「それから先は私がどうにかすればいいんだね?」
浅田がサミュエルの前で笑顔で承諾してくれる。
「はい。どこかの国のせいにでもして大いに盛り上げてください。そういうのにうってつけの国が今現在あるでしょう?」
「ははははは・・・怖ろしい人だな。」
サミュエルと浅田さんが一緒に訓練部屋に移動する。談笑しながら笑っている。以前の揉めている時には想像もつかない、いい笑顔だ。多分、俺達の世界ではこれから大きな戦争になる可能性もあるだろう。それはすべての国の思惑なんかもあるから俺ごときがどうにかできるレベルの話ではない。所詮向こうでは平和ボケが蔓延している国の一未成年でしか無いんだから。
「恵様・・・以前お話に聞いていた時期でもないのに・・・。沢山のゴミが湧いてきました。どういたしましょう?」
デュオーンから急に連絡が入る。デュオーンは何故か俺に直接頭の中に話しかけてくる。どうやっているかはわからないし、教えてくれと言っても笑うだけだ。
「え?何で??まだ早いよ??」
「はい・・・ですが・・・かなりの数が遊びに来ています。数が多すぎるので、マッキーを呼んでいただけないでしょうか??このままでは取りこぼしてしまい、被害が拡大しかねません。」
「わかった・・・。」
「マッキー!!」
「もう!!でっかい声で呼ぶなって!!外にいけばいいんだろう??デュオーン姉が呼んでいるからな。」
霧散するマッキー。そんなことまで出来るようになっているんだ・・・。
「クロエ!!」
ハ〜〜イという声と共に俺の前に現れるクロエ。レベルが上がったせいでもう瞬間移動並みの早さだ。
「ここに居る戦力に通達お願いできるかな。どうやら始まったって。」
「かしこまりました。すぐに!!」
あっという間に消えるクロエ。そしてすぐに戦闘態勢になった仲間が揃う。
何回もやり直してきたがこれほど仲間が居たのは今回が初めてだろう。
人族、獣人、亜人、魔物、そして神々。
役に立たないが神も居る。
「みんな。決戦の日が来てしまったみたいなんだ。俺はもっと後だと思っていたんだけど・・・。今までにない早さでその時がきたみたい。準備はできてる??そして皆に言っておこうと思って・・・。」
「絶対に死なないで!!お願いだから。」
皆が頷く。
「じゃぁ、外に居る似非共は皆に任せるよ。俺はジュエルを・・・。いや・・・ラスボスを始末するよ。」
「ふふふふふ。その言い方だと、ラスボスはジュエルではないんですね・・・。恵さん。」
「・・・ああ。」
「なに??恵は皆を騙してたの??」
レイが不貞腐れている。
「どういうこと?ラスボスはジュエルと言い続けていたじゃない??」
やっちゃんも怒っている。
「恵様・・・じゃぁ誰なんですか??」
ハウンがラスボスの正体を聞く。
「・・・フレインだよ。」
俺の一言に神々である者達、そして神が驚く。
「フレインって誰??」
ものすごい小声でレイがやっちゃんに聞いている。
その言葉にやっちゃんも『さぁ?』みたいな顔をしている。
「馬鹿な!!フレインが??」
「マッキーが探したけどいなかったじゃない!!死んでいるはずよ??」
ハウンがものすごい勢いで俺に突っかかってくる。
「死んだんじゃないんだよ。もうひとつそれから抜ける方法があるでしょ?」
「・・・作り替えた??」
クルクが顔色を悪くして震えだす。
「そう、ジュエルを着ぐるみにしてどんどん自分を改造しまくっていたんだよ。」
「え??じゃぁ、ジュエルは??」
ミシュラですら顔色を悪くしている。
「もうとっくの昔に死んでいるよ。どれくらい前か聞くとびっくりするくらい・・・。」
「まさか・・・大戦前ってことはないですよね??」
ハウンは少し身に覚えがあるようだ。
俺はやり直しの過程で一部始終を見せてもらっている。
「そう、そのまさか・・・。ハウンを呪っていただろう?あれはジュエルのせいじゃない。アレも、山の神々に施した呪いもすべてフレインのものだよ。」
「なぜ??」
「フレインは人を呪っている。すべての人族の根絶を目指している。それは・・・ね?」
神であるケイに目を向ける。
「ええ。知っていたのね。最古の神々は・・・人族よ。」
「「「「え??」」」」
全員が驚きの顔を見せる。
「馬鹿な・・・」
「嘘・・・」
「なんてこった・・・」
「ありえない・・・」
全員がそれ以上何も言えなくなる。
「まぁその辺りは戦争が終わってから神に聞いてね。今はそれどころではないから。それが気になって戦闘に支障が出るというなら、今すぐさっき聞いたことは記憶から消すけど?」
「その必要はないわ。だって・・・薄々気づいていたから。」
シャロンが笑顔で言う。
「ええ、人族と交わったり、人族であった魔族と交わる時点で人族である証拠ですからね。」
クルクが悲しい顔をする。
「じゃぁ・・・クルクは?他の神々は??」
レイが泣きそうな顔をしている。
「残念だけど・・・シャロンを除く神々は・・・作り物だよ。でも・・・。この戦争が終われば、俺の願いで人族にするつもりだけどね。なりたければ。」
俺の発言にレイが襟を掴んで泣きながら言う。
「今すぐしてあげなよ!!ひどいよ!!ひどぃ・・・。」
「今しても意味ないだろう?負ければリセット・・・。もしくはやり直しなんだから。だから勝ってそれからのほうがいい。」
レイの震える手を握って俺が諭す。
「でも・・・でも・・・。」
「レイは優しいね。そういうところから愛しているよ。」
俺の言葉に耳まで赤くするレイ。
「全員いい??これからものすごい数の化物がこの帝国になだれ込んでくる。一人あたり始末する量はかなりいるから。・・・それと、魔物っ娘達・・・。君たちの仲間もそこに居る可能性がある。知った顔があっても助けようとか思わないでね!!もう・・・そういうのは無理な状態だから。」
そしてこの世界では3度めの大戦が始まる。