A国制裁へ
「か、痒い・・・痒い・・・」
ボリボリと体をかきむしるサミュエル。
そうしているうちに体を覆っていた異形の姿がボロボロととれて人の姿になり始める。
最初は顔、そして腕、上半身・・・
「こ・・・これは・・・」
「宿に行って体中掻き毟ってくれば??綺麗に取れると思うよ。それまでここで俺達は待っているからさ。綺麗になってから話をしようよ。」
サミュエルは頷いてどこかに走っていった。
「あの・・・、あなたが日本の恵という人ですか??サミュエルから話は聞いています。サミュエルへの憎悪や嫌悪があると聞いていたんですけど。なぜそんな人を助けたんですか??」
女が俺の前に来て不思議そうな顔をして聞いてくる。
「別に憎悪ってほどのことはないよ。ただ、自国のプライドを振りかざして人を上から見下ろす感じで話をする態度が気に入らないだけで。そこさえ直して、人との付き合い方を変えれば別に・・・なんて言えばいいんだろうね?」
俺が悩んでいると
「要するに恵は話のわからないバカが嫌いなだけだ。」
マッキーが簡素にまとめてくれる。
「はぁ・・・」
わかっていない顔だな。
俺達は女を混ぜて普通に飲み物を飲んだり、料理を口にしたりして、どうでも言い話をし続けている。
床に膝を着いて全く動かない周りの人を気にしている女をよそに普通に談笑する俺達。
ガチャン
カランカラン
サミュエルが綺麗な人の姿で現れる。
「感謝します。助かりました・・・。ありがとうございます。」
「そんなに涙を流して御礼言われてもね。まぁ座ってください。話を聞きますよ。」
俺の態度に驚く顔をしながら
「あなたは私が大嫌いで、会えば殺されると思っていました。それなのに・・・。」
「まぁ一度殺してるもんね。まぁあれは今回のことでチャラとうことで。で、何があったんですか??」
サミュエルが話をしてくれる。A国はどんどんダメな方向に舵を切り始めていることを。
そして、妻子に危険が迫っていて、一刻も早くどうにかして解決しないといけないと思っていることなど。
そのために無茶をしてレベルをあげていたら、暴走してあんな姿になってしまったとか。
「じゃぁ、うちにくる??うちの訓練部屋なら容易にレベルが上がるよ。」
「あぁ、それなんですけど、うちの者も何人か送っていいですか??」
レイリーが訓練部屋での特訓に魔族領の軍人を送りたいと言い出す。
「いいけど、どれくらいの人数??」
「ざっと、500ほどです。」
「そういや、レイリーってレベルいくつなの??これって男同士ならいける話でしょ?」
「ええ、俺達が女性に聞くのはマナー違反ですけどね。俺のレベルは・・・ありませんよ。」
「え〜、そうなんだ。結構いるんだね。いつ無くなったの?」
「厳密なところはわかりませんね。ただ、魔王になってからですよ。」
「じゃぁ、今度、全員で誰が強いかまたやろうぜぃ!」
レイリーの肩に手を回してマッキーが笑顔で怖ろしいことを言う。
「え・・・いや・・・マッキーさんって・・・お母様を食い殺すんですよね・・・。」
「お父様も殺されるところだったよ・・・。」
俺がチキンを口にしながら言うと
「マジですか??怖ろしいですね。オヤジを殺ることなんて考えるだけで怖ろしい。あの化物をどうやって??」
レイリーがお父様に向かって化物という。
「レイリーってお父様の強いの知ってたの??」
「知ってるも何も、魔法の特訓中に何度殺されそうになったか・・・。お母様も怖いですけど、オヤジも相当ですよ。ただ・・・お母様ほど無茶苦茶じゃないだけです。」
「ミシュラは無茶苦茶か・・・。」
「ええ、無茶苦茶です・・・。」
「私は魔法が全く効かないんだな。すぐに食ってしまうから。高火力であればあるほどうまいんだな。何なら撃ってみるか??」
マッキーが手招きをしている。
「レイリー、やめといたほうがいいよ。お父様のすべての魔法を余すこと無く食って強くなるお転婆さんだから。」
「うわ・・・なんですか??その化物ぶり・・・。そんな人に俺は話をしていたんですか??ちょっと離れてください。怖いです。」
マッキーをグイグイ押して離れようとするレイリー。マッキーはそういうことをすると燃えるタイプだよ?
レイリーの手が胸に当たると
「イヤン!!エッチ!!恵!!乳触られたんだけど!!」
「俺に言われてもね。乳触られるような位置に体を持って行くからだろ??ユクの顔を見てみろ??怒ってるぞ??」
マッキーがユクの方を振り向くとユクが真っ赤な顔で震えている。
「あれ??怒ってる??じゃぁ仕方ない!!ほれレイリー!!ユクの乳を揉め!!揉みまくれ!!にゃはははは」
ユクを羽交い締めにしてレイリーの前に連れて行く。
ユクがジタバタするが全く振りほどけそうにもない。
「グッ!!なんなんですか・・・この怪力・・・。まるで・・・ミシュラ様に抑えられているみたいな・・・。」
レイリーがため息をついてユクの乳房を両手で揉み始める。
モミモミしまくって
「マッキーさん、離してやってください。」
ユクが真っ赤になって胸を押さえて床に座り込む。
「にゃはははは。良かったな!!ユク!!」
「じゃぁ、A国にいる妻子を浅田さんたちに保護してもらいますか。」
「いや・・・それダメだろう。日本の立場もある。そんなことをすればどうなることか・・・。」
「じゃぁ、こっちで生活してもらう??多分だけどシャロンに頼めば大丈夫だと思うよ。」
「え?シャロン??誰ですか、それ??あそこの管理者はさすがにそんな許可を出さないと思いますよ?」
サミュエルが首をひねって眉間にシワを寄せている。
「シャロンは時空の神々だよ。あそこの管理者のトップの神々なんだけど、うちにいるから話ししてみようよ。」
『デュラン、シャロンをここに呼んでくれる?』
その願いと同時に俺達の前に現れるシャロン。
「恵様、なんですか??デュランに呼ばれてここに来たんですけど。あ!レイリー、それと・・・誰??」
サミュエルと女を見て首を傾げているシャロン。
「紹介するよ、こちらはサミュエル。そして・・・ええっと・・・名前聞いていないよね??」
女の名前を聞いていないことに今気づく。
「あ!!私はメリッサと言います。サミュエルと一緒に旅をしているものです。それと向こうではサミュエルの奥さんと子どもたちの保護をしています。」