無いもんはない
俺の仲間は贄のおかげでかなりレベルアップしている。
強くなりたいと思えば、そこでじっとしているだけでせっせと戦闘狂のミシュラとレイが贄を潰して糧にしてくれる。まるで水産市場のような感じかな?
俺の横にずっといるアミスタ。それにかなり不満を持っている以前からのメンバー。
「なぁ、恵よ〜。私はこいつを守ったぞ?あの時の約束はどうなってる?」
マッキーが俺の横でものすごい不貞腐れた顔で肩を揺すってくる。俺・・・それされるとちょっと酔うんだよね・・・。
「マッキーが守ってたの?あそこに居る全員で守ってなかった?」
「最後に襲ってきた狂戦士の恵を止めたのは私だぞ?ああしなかったらこいつはきっとミンチになっていたはずだ。きっと心に傷を負っただろうな〜。」
アミスタを指さして不敵に笑うマッキー。
「じゃぁ、約束は守るよ。」
「恵様、私は??」
ジュディ老師が赤ん坊を抱いて俺のそばに来る。そういや名前つけてないな・・・。
「ジュディ老師はダメでしょ。永久になし。これは決定。あと、ミシュラもレイも絶対ない。これも決定。まだ伝えてないけどね。」
すごい落ち込んだ顔を見せてとぼとぼと自室に帰っていくジュディ老師。
俺に変なこと云う時は気をつけてね。
「アミスタ、部屋に行こうか。」
「・・・ハイ」
真っ赤な顔をして俺に付いて来るアミスタ。
「私は〜〜??」
「着いてくれば??」
「イヤッホ〜〜〜〜〜!!」
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「ねぇ、お母様・・・これ・・・飽きません??」
私が転がったマグロのような魔物たちを見ながら聞いてみる。
「ええ、感じ的にはお料理の前の肉を叩いて柔らかくするのと一緒よね?お料理にならないし・・・飽きるわね〜。」
笑顔には違いないけど・・・なんか疲れた顔をしている。
「ねぇ、あなた達ももう少し抵抗しなさいよ。面白くないんだけど?」
4体の魔物に言っても何の反応もない。今じゃ、もう、寝転がっているだけの状態のこいつらを踏んだり斬ったりするだけ。本当に料理の下準備のような感じになりつつある。
「あなた達・・・そろそろ出ましょうか?」
お母様が部屋に居る真の勇者の3人に声をかけている。優しい声かけだな。
「あの・・・私達は??」
アミスタが抜けて魔物の中で紅一点となってしまった女が正座をして私に聞く。
「さぁ、メグミが決めることだから。私達に権限がないのよ。」
「お前たちはあの男の言いなりでいいのか?お前たちのほうが強いんだろ?」
何こいつ・・・何でそんなことを言い出すの??
「レイ・・・この子はきっと私達が恵さんに何かしらの反抗心を芽生えさせてどうにかするつもりなのよ。この子のスキルのようね〜?イライラしてくるわ・・・。」
お母様の顔に青筋が浮いている。こいつは馬鹿だな・・・。このままこの部屋に閉じ込められている方が幸せだったと思う。
「さぁレイ、出ましょう。そして謝りに行きましょう。ずっとあれがないっていうのは流石に・・・泣いてしまいますわ・・・。」
あれ??何もしない・・・。涙を拭いながら扉に向かって歩くお母様。
「あれ??メグミは??」
皇帝の間に来た私達はキョロキョロ周りを見渡すがメグミの姿がない。
「恵様ならマッキーたちとお楽しみ中だよ〜。」
もぐもぐ何かを食べながら悲しいことを知らせてくれるダリア。
お母様が泣きだしたじゃない!!
「ミシュラ様も食うか?」
スナック菓子の袋を泣いているお母様に差し出すダリア。あんたは誰に対しても裏表がないよね。
「メグミは何か言ってた?」
聞く相手がダリアでいいのかどうかわからないが一応聞いてみる。が、そのせいでものすごい悲しい気持ちにさせられてしまう。
「あぁ、レイ様とミシュラ様はジュディ老師と同じく永久になしだそうです。何の話ですか?」
ポリポリとスナック菓子を食べるダリアにゲンコツを落としてスナック菓子を奪うお母様。
痛そうに頭を押さえているダリア。
最近のお母様は大人じゃない態度をよく見せるけど・・・どうしたんだろう??