皆の禍々しい称号
「まぁまぁ、大勢で私を訪ねて来るなんて・・・。訓練以外ではありえませんね〜。うれしいわ〜。」
ミシュラが嬉しそうにお茶を作っている。皆にお菓子を出してピョンピョン飛び回っている。
そんなに嬉しいのか?
「集まってもらったのは俺の称号に新たな発見があったからなんだけど・・・」
「「「「新たな発見?」」」」
「称号にですか?」
「明かり落としてもらえるかな?部屋を真っ暗にして・・・。」
ミシュラが明かりを消す。
俺がノートを開くとじわじわと漆黒の炎が字を形成し始める。
「うわ・・・なにこれ?」
「え?うそ・・・」
「こんな仕掛けが?」
「まぁ!!新たな発見ね!!」
「禍々しい雰囲気だな・・・」
「ね?」
「ね?じゃないわよ・・・。これ・・・なんでついたの?」
「この称号・・・。真の勇者を殺すとつくらしいよ。」
全員が黙ってしまう。
ミシュラが明かりをつけてノートを見るとその文字は消えて普通の称号が読めるようになる。
「面白いわね〜。真の勇者・・・へ〜〜〜。」
明かりを落とす。そしてミシュラはなにかゴソゴソやっている。
「あらあらあら・・・ほら・・・」
俺になにか見せてくる。それ・・・
『真の闇の最古の神々』
「ははは・・・」
俺はなぜか声に出して笑ってしまう。
そしてすぐ明かりを着けるミシュラ。
「まさか・・・真の勇者を殺すくらいでこんな禍々しい称号が着くなんてね〜。ふふふ、笑えるわ〜。」
「え??なんでお母様は笑ってるの??それ・・・なんか雰囲気やばくない??」
レイが心配してミシュラのノートを見ているがミシュラはいつもの笑顔と変わらない顔をしている。
「何言ってるの??あなたも、ハウンも、弥生さんも、メイリーンも、多分付いているはずよ。きっとここには居ないけど・・・マッキーさんも・・・。」
「え??なんで??」
「ほら・・・訓練部屋では殺してもすぐに復活するじゃない?それって、殺したことに変わりはないでしょう?シャロンも私を一度殺して称号を得たでしょ?それと一緒よ。」
ものすごい笑いながらお茶を飲むミシュラ。
あれ?俺・・・、一人で心配しすぎてた?
ミシュラが明かりを落とす。そうするとレベルのないものはすぐに自分のノートを確認する。
「うわ!!有るわ。『暗黒魔族』だって。はははは、なんじゃそれ?」
「私も・・・『暗黒の光の神々』だって・・・どっちなのよ?ふふふ」
「私なんか・・・『真の勇者を屠りし暗黒に堕ちた真の勇者』って読みにくい称号がついてるわよ。フッ。」
「私も・・・弥生様と同じですね・・・。長ったらしい称号が・・・誰が考えてるんですかね??アホでしょう?」
全員が称号を盛大にディスり始める。
「恵様・・・どうですか?少しは気持ちが軽くなりましたか?」
「メグミ・・・気にし過ぎだよ!!称号で変わることって何が有るの?」
「そうよ!!こんなの皆に見せて面白がるネタと思えばいいのよ!ははははは」
「まぁでも、誰が作っているのか気になりますね・・・。称号を見る限り誰かがずっと見ていると思いますもん。そうしないとこれだけすぐ何かしら称号が着くなんておかしいです。誰が作っているのか気になりますね〜。」
話がなんかものすごい違う方へ飛んでいってしまう。たしかに俺の気持ちは軽くなった。でも新たな謎が・・・。
誰がどうやってこの称号をつけているのか?
システム的なものなのか?監視しているのか?
かなり気になる。
ほぼその称号がつくであろう行動を起こすと追加される当たりが、ある意味気持ち悪い。
「称号の神々とかいるんじゃない?」
やっちゃんが軽く言う。
「さすがに聞かないわね。その神々は・・・。」
「デュランで捕まえてみようよ!!」
レイの一言に皆が頷く。
『デュラン・・・』
だが現れない。俺の願いは
『称号を造っているものをこの場に連れてきてくれ。』
だが誰も現れない。誰かがやっているわけではないようだ。
謎が謎のまま終わる。
とても気持ちが悪い。この禍々しい称号はどうなるのか?
真の勇者を殺すことがそんなにダメなことなのか?
作っている奴が居たなら聞けたのに・・・。