獣に相談
「恵様・・・お話が・・・」
俺のもとに来て膝を床につけて頭を下げるデュオーン。
「そんなかしこまらなくていいよ。何??話って?ここに座って話をして。」
俺は椅子をデュオーンに向ける。デュオーンは頭を下げてから座る。
「私がここに来る前にいた世界の話です。」
「そこはどうなったの?」
「滅びました。」
「真の勇者は?」
「居ましたが・・・。非常に弱く、普通の、今のこの姿で撃退できました。」
あぁ、その世界でもなかなかなれない職だろうな。なって天狗になって遊んでいたんだな〜。
そこにこんな強いものが現れたらそりゃ死ぬか・・・。
「君はレベル無いよね。いつから?」
「わかりません。ここと違い、ノートという存在がありませんでしたから。」
「そうか・・・俺達の世界もないもんな・・・。」
「恵様の世界?ここでは??」
「いや、俺達はこの世界で言う旅人という存在なんだ。最初から住んでいる世界はもうひとつの方。」
「そこに私のような存在は?」
「居ないだろうね・・・。ものすごく弱い生物しかいないんだよ。」
「そんなに?じゃぁ、我々のような存在に目をつけられたら滅びますね・・・。」
「え?ちょっとまって。狙われる?どういうこと?」
「私達のような存在は心に闇を抱えれば抱えるほど強くなります。ですから人を殺し恨みを抱かせその魂ごと食う。それを繰り返して強くなるのです。ですから弱かろうと恨む気持ちに変わりはありません。真の勇者が居ないなら狙われる可能性もあります。」
「真の勇者ならやっちゃんがいるけどね・・・。それに・・・マッキーが向こうにいるから・・・。」
「マッキー?先ほどの女性ですか?それなら・・・。」
「え?どういうこと?」
「真の勇者の数と我々の数は一緒です。ですから・・・マッキー様がいらっしゃるなら来ることはないと思います。」
「マッキー!!」
「なんだ〜??大きな声で呼ぶなって!!」
そんなに大きな声で呼んでいないんだけどね・・・。
「ふふふっふ、恵様の声が大きく聞こえる理由は・・・あなたが恵様を心の底から慕っているからです。小声で呼んでも聞こえるはずですよ。私達は獣ですから。」
真っ赤な顔になるマッキー。
「で、なんだ??なぜ呼んだ?」
ちょっと逆ギレ気味に聞いてくる。
「君のあの獣の姿の先輩だ。色々聞きたくないの?」
「おお!!そんな存在ないからな!聞けるなら聞くぞ!!いや〜〜アドバイスが受けられるなんてな〜。幸運にもほどがあるだろ?」
椅子に座って色々聞き始まる。
マッキーが召使にケーキをバンバン頼む。
それをパクパク食べる2人。
「あぁ美味しいわね〜。この世界にはこんな美味しいものがあるのね〜。ふふふふふ。」
デュオーンが嬉しそうに微笑みながら口に頬張る。
俺はそれを見て席を立って移動する。女性の話が聞こえる場所で座っているのも変だしね・・・。
俺は自室に戻ってベッドに寝転ぶ。
「ふふふ・・・入ってきたわ・・・。」
声が聞こえる。この声は・・・。
光学迷彩を解くハウン、なぜかアホ3人娘が勢揃いしている。
「な・・・なに?」
俺の驚きにいきなり服を脱ぎ出す3人。
「ミシュラに聞いたわ・・・。レベルがない状態で恵くんの手に触れると光るって・・・。そうなってから行為をすると子供ができるって・・・。ねぇ、だから・・・おねがいしますわ・・・。」
3人で俺の手に触れる。そして・・・光らない。なんで?
「「「なんで??」」」
どうやらそうなるには条件があるようだ。そうだよね・・・街の散策中、手を繋いだマッキーも光らなかったもんね。
「まぁいいわ・・・。この姿のまま私達のいる部屋に入ってきたのは運の尽き・・・ふふふふふ」
やっちゃんが不敵な笑いを漏らす。レイとハウンは涎を拭いている。俺を喰う気か?
「ええ。そうよね・・・。やっとこの姿よ・・・。と、その前に・・・」
「魔法障壁なんて甘いことしないわ・・・。反射よ・・・。」
何故か俺に反射魔法をかける。なぜ??
「変身しないほうがいいわよ〜。恵くんでも自分の幼少時代の姿と交わりたくないでしょう・・・。ふふふふふ」
考えている・・・。滅茶苦茶考えこまれている・・・。俺が変身魔法を使えば反射してここにいる3人の誰か、もしくは全員が俺になる。さすがの俺も自分と性交するなんて嫌だ。もしやこの瞬間をこの3人はずっと待っていたのか?
「「「ふふふふふ」」」
目がやばい・・・。俺を見る目がやばい・・・。
「いくら恵様でも3人でかかればどうにも出来ませんわよね?」
ハウンが俺を後ろから羽交い締めする。そしてレイとやっちゃんが服を引きちぎり始める。
これは・・・ダメなやつだな。でも・・・そうするまで俺が我慢させていたのも悪いか・・・。
俺は甘んじてその行為を受ける。そして・・・
「お風呂に入ってから夕食においでよ。」
「「「・・・」」」
汗だくの3人。白目になって痙攣している。
俺は新しい町人の服を出して着替える。新品の服の肌触りが気持ち悪い・・・。
部屋を出て食堂へ。俺を見つけてクロエが俺と一緒に歩く。
クロエと話をしながら歩いていると
「恵さん、アホの3人見ませんでしたか?」
シャロンがアホ3人娘に向かって俺とほぼ同じ命名をしている。
それを横で聞いていたクロエが吹き出す。ものすごいむせているけど大丈夫?
「今、俺の部屋で寝てるけどどうしたの?」
俺はクロエの背中をさすりながら居場所を伝えると
「え?嘘・・・。いいな・・・。」
シャロンが少し顔を赤くしてつぶやく。
「じゃぁ、今夜どう?」
ものすごい速さで抱きしめてきた。それをどこかで察知したのかおチビ達までタックルのような形で俺に抱きついてくる。ものすごくかわいいな〜。
俺は3人を抱っこして食堂に向かう。
そこにはまだお話をしているマッキーとデュオーンが。
「なぁ、マッキー、デュオーン。この世界にはまだ結構な数、君たちと同じ種族がいるらしいんだけど・・・。会ってみたいとか思う?」
「え?同種ですか?会ってみたい気もしますが・・・。会いたくない気持ちもあります。わたしはただ、幸運にも恵様にお会いできたからこうですが、その前は心の底から闇にとらわれていましたから。」
「私は会いたいかな?どんな強者がいるのか気になる。」
「じゃぁ、多数決的には会いたいが多数ってことでいいかな?やっちゃんがダウンしているから、メイリーンを呼ぶか・・・。何かあった時に対処してもらうためにもね。」
「メイリーン?一人で大丈夫ですか?いっぱい来ますよ?」
「もしかしてメイリーンを舐めてるのか?あの子は凄いぞ。可愛いんだぞ??」
デュオーンの心配と君の主張に食い違いが出ているよ。可愛いとあの獣を開いて出来るとは全く関係ない。
「いっぱい??」
「ええ、私は何度か同種族にあったことがあります。もう、闇に囚われて話も出来ないほどのものもたくさん居ます。」
「たくさん??真の勇者と同じ数じゃないの?」
「ええ。この世界にだけでも結構な数が居ますが、他の世界にも居ます。多分、呼び寄せれば全て来てしまうでしょう。そうなると・・・真の勇者一人でどうにかできる数ではないと思います。」
危な!!指定せず呼び出してどえらいことになるところだった・・・。