真の勇者と多尾獣族の関係
「ねぇ、ハウン。話し変わって悪いけど・・・レイは?」
ハウンが言うには飛べずに癇癪を起こしてメイリーンにヘッドロックしているらしい。
それを放置して飛んで登ってきたとか。それってひどいね・・・。
マッキーは走って登ってきているそうだ。なんか一人だけ頑張ってるよね・・・。
「ぷはぁ〜〜〜。さすがにこの距離は走ると・・・効くな〜。」
変質者のような顔をして顔を赤らめる。
そういや、マッキーってディーシャに抱きついて登ったはずじゃ??
「マッキー、お疲れさま。何で走ってんの??あと、今からケイを呼び出すところなんだけど。いいかな?」
「あぁ、ディーシャが飛びづらそうだったから飛び降りた。で、アイツを呼ぶのか?いいんじゃないか??でも帰りは知らないぞ。アイツを連れてこの山は降りれんと思うぞ。弱小だしな。」
俺がデュランに頼んでケイをここに呼び出す。出てきた瞬間にマッキーを見つけて飛びつく。ものすごい嗅覚というかなんというか・・・。
「マッキー様!!マッキー様〜〜!!もう心配していたんですよ〜。」
マッキーにキスをしまくるケイ。それを見てハウンがケイを蹴り上げる。その辺りに全くの容赦がない。
「ハウンさんはひどい人です。」
めそめそしているケイを覗きこむ山の神々。
「これ・・・神・・・か?」
ケイを指さす山の神々に向かって頷くミシュラとハウン。
「はぁ。俺は何かの夢を見ているのか?・・・まぁ、どうでもいいけどな。」
山の神々は早々に気にするのをやめてケイから離れる。
「で、神はなんでこんなことになっているんだ?」
「これは恵がな・・・女にした。飲んだくれのおっさんでは見苦しいからな。人のケツを勝手に触る変態おやじだったんだよ。だからこうなった。」
「おやじとかおっさんとかいやいや〜。もう!!マッキー様ったら〜〜。」
「はぁぁぁ・・・かなりの重症だな・・・。俺達のあの気持ちは何だったんだ?」
頭を抱えて落ち込む山の神々。
「俺もこの一団に加わるのか?かなりキツイな・・・。」
「加わる必要はないですよ。ただ、一緒にいれば強くなれますから。」
俺の言葉にピクッとなる山の神々。
「強くだ??俺よりあんたは強いのか?」
「話にならんだろう?デカイだけのおっさんよ。あんた程度なら私でも殺せるぞ?」
ケイとイチャイチャしながら山の神々を挑発するマッキー。それを聞いて血管がピクピク浮き出てくる山の神々。
「マッキーさんは私より強いんだからこの男くらい瞬殺でしょう?」
ミシュラの一言に
「はぁぁ???お前より強いだ??そんなものがこの世に存在するわけなかろうが!!バカも休み休み言え!!」
「ミシュラはマッキーに泣かされっぱなしだもんね。ってか、マッキーに勝てるのって真の勇者のみでしょ?」
「ちょっと待て!!真の勇者のみ?ということはこの女・・・アレか?」
鳥肌になりながら聞き返す山の神々。
「アレ?」
とぼけてみる。
「おまえら・・・アレの存在を知らないのか?多尾獣族を・・・。」
「・・・」
「それってどういうものなの?」
ハウンが山の神々に聞く。
山の神々の話は俺達の守護神になったデュオーンの言っていたことと変わりない。だが、もうひとつわかったことがある。
真の勇者の数と多尾獣族の数は一致しているというところ。ということは今、あの化物がまだいるということか。
うちの帝国に3人の弱小の真の勇者がいる。
それに
やっちゃん、メイリーンがいる。
ということはまだ・・・3人いるということか・・・。
「デルサさん、今現在、真の勇者は5人いる。ということは5人その化物が居るってことなのか?」
「私もいるけど?」
レイがドヤ顔で変な格好で止まってキメている。
そうだった・・・。もしかして面倒事を増やしたのでは?真の勇者を増やせば漆黒の霧の獣も増えるのか?
「あんたはおかしなことを言うな。今、5人と言った。なぜ人なのだ?アレは紛れもない化物・・・。それを匹ではなく、人と・・・。」
「俺の仲間に匹はないな。マッキーは人だ。」
「ははははは。熱い男だな。そんな目で仲間を思うやつに悪い奴は居ない。俺もあんたについていくとするか・・・。」
山の神々は立ち上がる。そして・・・
「ディーシャ!!」
「は!!」
「俺は山を降りる。お前がここの管理者となれ!!そして結界を強化しろ!お前なら俺を超えて必ず素晴らしい神々になれる。そう信じて精進し続けろ。」
「は!!」
「引き継ぎはすんだ〜?さぁ帰りますわよ〜。恵さん・・・。」
「はいはい・・・」
レイがディーシャに通信機器を渡している。あれこれ使い方を教えながら談笑している。
気が合う子が出来てよかったね。
そして俺は瞬間移動で自分の屋敷に帰る。山の神々を連れて。
俺の気配に気づいて漆黒の霧が舞い降りる。
「恵様・・・。お帰りなさいませ・・・。幾人かのゴミを始末いたしました。」
霧の中からゴミと呼ばれている者達の頭を転がす。。
「ご苦労様。屋敷にいる家族といるといいよ。また明日お願いするね。」
「は。ありがとうございます。」
デュオーンは一礼して俺の屋敷に入る。
「・・・あれ・・・多尾獣族だろ・・・。なんであんたの言うことを聞いている?言うこと聞くような存在ではないはずだぞ・・・。」
デュオーンを見て山の神々が震えている。
「厄介な存在は仲間になればそれほど心強い仲間はいないだろ?」
俺の一言に
「この男は阿呆なのか?寛大なのか??もうよくわからないな・・・。」
「「「間違いなくアホね」」」
全員が俺をアホという。
「ふははははははは!!慕われておるな!!ふはははははは!!」
山の神々が大声で笑う。