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願いで手に入れた伴侶が最強  作者: うぉすれや
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桃源郷

俺達は俺の帝国とミューアスとの間に大きくそびえる山脈に来ている。

普段ならこの山脈を通ってどこかに行こうなんて思いもしないほど過酷な世界。

魔物も強力だが、それ以上に自然が、気候が脅威なのだ。


「ドラゴン・・・なんで急に小さくなったんだ?」


俺達を乗せていたドラゴンという名を借りた乗り物が今・・・元のサイズより大幅に小さくなってレイの胸で寝ている。


「多分・・・魔力切れ・・・。でも小さくなっている理由はわからない。こんなに小さい状態は見たことないから・・・。」


レイが頭を掻きながら困っている。俺達は・・・コレでもかという位寒い世界に薄着で呆然としている。


「レイ・・・改良の余地ありね。これじゃぁ交通に使えないわ。」


「そうね。いい感じだったのに・・・。まさかエネルギー切れると縮むなんて・・・。」


アホ3人娘はこの状況にも関わらずモンスターファームの会議を開始している。


「あなた達・・・さすがにここではどうかと思うわ〜。」


ミシュラが肩に積もる雪を払いながら呆れている。


「ミシュラって寒いとか感じるの?」


「いえ。まったく・・・。」


俺の質問に即答する。


「寒さも、熱さも、全く・・・。ふふふ・・・。だから・・・痛みと快感には異常な興奮を覚えますわ〜。」


「はいはい、変態の話はいいとして、どうすんの!!ここどこ???」


マッキーは相当寒いのかガチガチ震えながらかなりキレている。


「マッキーこっちおいで。」


俺のもとに不機嫌そうに来るマッキー。それを抱きしめて温める。


「あぁぁ。私も凍えて死にそうだわ〜。」

「あぁぁ!!寒さで眠たくなってきた・・・。」

「脚が・・・指が・・・千切れそう・・・。」


アホ3人娘は会議を中断してまで俺に抱きしめてほしそうなことを言い始める。


「真の勇者様は状態異常にならないので凍えることはないです。光の神々であらせられるハウン様はミシュラ同様寒さを感じるはずがございません。レイ様に至っては炎をまとって自ら温まってみては?」


俺の言葉に落ち込む3人。真の勇者であるメイリーンは何故かかなりガチガチ震えている。


「メイリーン・・・フリはもうダメだって。」


「いえ、違います・・・。種族的にこの雰囲気がダメなんです・・・。寒いとか凍えるとかではなく・・・なんか本能的に無理です。」


「メイリーン、こっちおいで。」


俺が呼び寄せようとするとヘッドロックされるメイリーン。


「メイリーンは私達と温まりましょうね〜。」


レイとやっちゃんに捕まってジタバタしているメイリーン。人の幸せまでそうやって潰し始めるとどんどんダメなサイドに落ち込んでいくよ・・・。


「で、ディーシャ。どこに向かえばいいの?ここからでも行ける?」


「行けるけど・・・。その子大丈夫なの??」


マッキーに指差す。

マッキーは今・・・マジで凍死寸前だ。どうにかしないと死にかねない。


「マッキー、ちょっとここに入ってて。」


俺は通称虫かごにマッキーを収容する。この中なら寒さに晒されることもないはず。


「よし、行こうか。マッキーは俺が守っとくからディーシャはしっかり案内して。」


俺達は歩き出す。山の神々の元へ。















どれくらいの時間が経っただろう。

俺達は今・・・デカイ街の中にいる。この街は一体?


「ここは山の神々であるデルサ様の管理する幻の街ザンマーク。大きな結界で守られる街、人族が言う桃源郷というやつだよ。時の流れもなく、憎悪に支配されることもない。邪悪な存在も近づけない。もう少しでデルサ様の屋敷に着く。その前に・・・お前たちの格好をどうにかしてくれ。」


俺達の格好?どう見ても最高だろ?町人の服だぞ?誰もが買えて、丈夫で通気性抜群!!守備力が2もあるスグレモノ!!全員が自分の服を見て頭を傾げて困っている。なんでこれがダメなの??という顔をしている。


「お前たちな・・・。周りを見ろ!!お前たちと違って着物着てるだろ?服はこっちで用意するから着替えてくれ!!」


「「「はいはい。」」」


ものすごく機嫌悪そうな4人。そのままディーシャの住んでいる館に到着する。到着するまでの間、街の人々は俺達を奇異の目で見ていた。あまりここに来る人はいないんだろう。




俺は男なので外で待たされる。そして30分ほど。俺は・・・


「ほぉぉぉぉぉ・・・」


心の底から感動する。こんな美しい女性たちがいるのか?そう感じるほど着物を着た女性陣は・・・美しい。


「マッキーは?」


「治療中よ。すぐに復活すると思うわ。」


4人の後ろから現れたディーシャが答えてくれる。


「さて、全員出る準備ができたらデルサ様のいる館に向かうわ。あなたは着替えなくていいわ。そのままで館に向かうわよ。いい?」


「えぇぇ??俺の着物は??」


「正直言うわ・・・。無いのよ・・・男物・・・。」


「あっそ・・・」


俺の落胆を見てミシュラがよしよししてくる。ミシュラほどの長身の女性用のものがあって俺のものがないなんて・・・。おかしい・・・。


「落ち込んでないでいくわよ、恵くん。」


「ちょっとまってて。」


俺はマッキーを見に隣の部屋に移動する。そこには裸で寝かされたマッキーがいる。


「恵・・・私の裸を見て欲情したか?」


「そうだね。今すぐにでも犯したい気分だよ。」


「にゃはは。そうか・・・こんな体でもいいか・・・。」


マッキーの四肢は黒ずんでいる。回復魔法でも治らないのか?


「マッキー・・・アレになってみれば?」


「あ!そうだな。」


今頃思い出すのか?自分の特性はしっかり覚えておこうよ・・・。

マッキーの傷ついた体から漆黒の霧が発生する。すると・・・


「ここだ!!邪悪な存在を検知!!今すぐ討伐する!!」


ものすごい形相の仮面を被った兵士と思われる集団がマッキーと俺のいる部屋に雪崩れ込んでくる。

マッキーは今、漆黒の獣の姿をしている。


「禍々しい・・・すぐに討伐しろ!!」


マッキーは飛びかかる兵士を霧で捕縛してゆっくり立ち上がる。


「禍々しとか、邪悪な存在とかえらい言われようだな。私はこう見えて結構すぐ傷つくんだぞ?言葉に気をつけてくれ。」


かなりの数の兵士を捕縛して移動するマッキー。


「グァァァ!!なぜこれほどの化物がここに・・・。」


「あなた達!!やめなさい!!ここにいるのは山の神々に会いに来たお客様です!!」


慌ててマッキーの寝ていた部屋に入ってくるディーシャ。


「ディーシャ様・・・このような禍々しい魔物が・・・客とはどういうことですか??」


「だから・・・禍々しい言うな!!」


漆黒の霧を拭って顔を見せるマッキー。それを見た兵士の一人は


「う・・・うつくしい・・・。」


仮面の奥の目が輝いてる。マッキーはたしかに綺麗だけど・・・。そこまで態度が変わるか??

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