山の神々の元へ
「おらぁ!!旅の準備は出来たか??」
レイがえらいテンションで全員に声をかける。
「「「「「おぉ〜〜〜!!」」」」」
「・・・」
山の神々のためにここにやってきたディーシャ。一緒に行くことになりそうな人数を見て絶句している。
「レイ・・・こんな人数で行くつもりなの??さすがにこの人数での移動は無理でしょ?」
やっちゃんが呆れている。そりゃぁそうだろう・・・。この人数は・・・ない。
「行きたい人を募ったらこの人数になったんで〜す。私のせいではありませ〜〜〜ん。」
遊びに行きたいかと聞かれて行きたくないというやつは居ないだろう。
集まり人数は勧誘の仕方によるだろう?
「レイちん・・・さすがに多いぞ。恵に誰が行くか決めてもらったほうがいいと思うんだな〜。」
「じゃぁメグミ・・・選んでよ。私抜きってことはないよね。」
「まぁ俺だけでいいんだけど。」
俺の一言にこの場にいる皆からものすごいブーイングが起きる。ブウブウうるさい。
「じゃぁレベルのナシのものから選ぶけど・・・理由はわかる?」
俺の質問に全員が下を向く。こいつら・・・マジで遊ぶことしか考えていないのか?
「は〜〜〜〜い!!」
メイリーンが手を上げる。
「はい!メイリーン!!」
「危険だからです。」
「正解!!というわけでメイリーンは連れて行きます。」
ガッツポーズのメイリーンに横にいたレイがヘッドロックする。
タップしているメイリーン・・・。可哀相に・・・。
「危険な理由は、ジュエルが一度来たってことから。何しに来たのかまでは聞いていないからわからないけど、呪いをかけて殺さずに帰ったってことは何かしら理由があるはず。だからレベルのある者は危ないから連れていけない。」
「じゃぁ私は大丈夫でしょう?ねぇ、恵さん・・・。」
俺に抱きついて頭の上に乳を置くミシュラ。こんな方法で俺を懐柔しにきたか・・・。
「そうだね。ミシュラは連れて行っても危険はないよね。」
「なんだ?乳乗せればいいのか??恵の頭に乳を乗せたもん勝ちか?あぁぁ!!ないよ!!そんなもん!」
一度俺の頭に自分の乳を乗せようとして無理だと気づき、ブチ切れてミシュラに蹴りを食らわすマッキー。ミシュラ相手にそんなことできるのはあんただけです。
「きゃ!!」
とだけ言って飛んで逃げるミシュラ。なんか可愛いな・・・。
「じゃぁ、レベル無し同士でジャンケンして。目をつぶってだよ。開けてたら決着つかないから。あと3名連れて行くから。」
レイ
やっちゃん
ハウン
マッキー
シャロン
ジュディ老師
この中で3人だけが行くことができる確率は50%。
「ジャンケンなんてまどろっこしい。訓練部屋に行って最後まで寝転ばなかったやつを連れて行けばいいじゃない?」
「はいはい、戦闘狂がああ申しています。行ってきますね〜」
マッキーが訓練部屋に向かおうとすると
「レイ!!あんたバカなの??マッキーが残るに決まってるじゃない?あの子、死なないのよ?首が飛んでも死なないのよ!!」
「と言っても、アレになりさえすれば私が勝つんだけどね〜。それまで私はフフフフフ・・・。」
最後のセリフがものすごい小声・・・。
邪悪な顔になって最後まで言い切らずに訓練部屋に向かうやっちゃん。自分にも勝機があると踏んだようだ。その後を着いて歩くジュディ老師とシャロン。
「そうかな・・・?訓練部屋はダメだよね・・・。ヘタすると誰も帰ってこないなんて言うこともあり得るから・・・。」
俺の一言に首を傾げるレイ達。
「あれ??考えつかないの?やっちゃんがやられる。それと同時にマッキー獣化。死んだやっちゃんのスキルが発動せずに食われる。真の勇者不在でマッキーに対処できずに全員食われる。食われるとシャロンの二の舞いで復活できない。絶滅。そのパターンもあるよ?」
全員が青ざめる。
「訓練部屋はなしね・・・。はははははは。」
ジュディ老師が震えながら戻ってくる。どうやらその状況を想像したみたいだ。
「はぁぁ。わかったよ。レベル無しを連れて行くよ。レベル有りはここで待機してて。訓練して強くなるもよし、休暇と思ってゆっくりするもよし。でも、俺がいないからってどこかに行くのはダメだよ。」
それを聞いて訓練部屋に行かないものがいないのが絆の深さを感じさせる。
ここにいる皆は強くなりたいんだな。
「で、この人数。どう移動する?私はさすがに自分しか移動する手段を持っていないぞ?」
ふわりと浮き上がるディーシャ。神々って飛べるの?
「神々は自力で飛べるとして、地べたを這う生物たちはどうするんだ?」
マッキーの言葉に
「ふふふ、私達が今まで何をしていたと思ってんの?バカみたいに金を使ってるだけじゃないのよ〜〜!!」
口笛を吹くレイ。いつの間に音を出せるように??大きく高い音を響かせると
「きゃみぃぃぃぃぃぃ!!」
赤いまん丸のドラゴンが俺達の前に舞い降りる。
「さぁ!!皆乗るよ〜!!」
「「「どこに?」」」
全員がそう思うだろう。なんせ・・・ドラゴンと言っても小さいんだよ!!5mくらいしかない。
5mの羽根の生えたトカゲにどうやってこの人数を乗せるんだ?
「あぁぁ!!何その疑いの眼差し!!?こうすれば・・・」
ドラゴンの尾を掴んで魔力を注ぐ。そうすると・・・みるみるでかくなる。
そしてボディが鳥かごのような形状に変形して格子と格子の間に透明な窓ができている。
「おぉぉぉ!!」
やっちゃんとハウン、レイがとても得意げな顔をしている。
「コレがあの大金をかけて生み出されたモンスター?すごいな・・・。ちょっと感心した。」
「「「ちょっとかよ・・・」」」
「乗り込むのは簡単。あそこにある大きめの窓にゆっくり突っ込んで。」
レイが手本を見せてくれる。まるでシャボン玉に入るかのように窓が割れることなく、人が通り抜ける。
「大したものね〜。こんなものを作るなんて・・・。さすが・・・誰を褒めればいいのかしら?」
ミシュラが俺も思っていたことを言いながら感心している。
「全員乗った??」
レイがドラゴンに命令する。大きな声で一声鳴き、飛び上がる。
「で、どこに向かえばいいの?」
レイの問にディーシャが指を指す。その方向へ飛ぶドラゴン。飛竜よりもかなり早い・・・。
「どう??メグミ!!ちょっとは驚いた?」
レイとやっちゃん、そしてハウンのドヤ顔に・・・
「1500Pか・・・」
その一言で轟沈する3人。ゴメン、言っちゃダメだったね・・・。