反省といきなりの絶望と
「そろそろ行ってやれよ。魔人たちも怒りが収まってるだろう?」
「怒っているのは魔人じゃないだろ?マッキーもおいでよ。ミシュラがいるから。」
「恵よ・・・。ミシュラに嫌われているんだぞ?私は結構傷ついているんだからな。」
「う〜ん・・・じゃぁ仲直りすればいいんじゃない?」
「そういうヤツじゃないだろ?ミシュラは私が怖いんだよ。仲直りとかそういうんじゃないと思うぞ。」
「じゃぁ怖くないところを見せてあげればいいんじゃない?」
「なるほどな。」
俺とマッキーは一緒に訓練部屋に行くことにする。
キィィィィィ
扉を開くと立っている人影と座っている人影が見える。
「お〜〜〜い、どうなってんの?」
マッキーが声をかけると、ものすごい速さで座っていた人が駆け寄ってくる。
マッキーに向かってではなく、俺に向かって・・・。
「主殿!我らが間違っていた!!主殿は悪くない!!我らを思って言ってくれたんだな!!」
「うん。そうだよ。消えるなんて嫌じゃない?だから俺がそうならないようにしてしまえばいいと思って。ミドラにやったみたいに。」
「流石・・・寛大な主殿だ・・・。」
ちょっと持ち上げられすぎて気持ち悪い・・・。
デュランは走って座っている人たちの所に戻る。俺は歩いてソッチの方へ向かってマッキーと一緒に歩く。
マッキーを見て何故かやっちゃんの後ろに隠れるミシュラ。
「ミシュラ・・・私はやっちゃんが苦手ってわけじゃないぞ。今なら負けないし。あの姿じゃないならミシュラも怖くないだろ?」
「はははははは・・・まさか・・・私が怖いなんて・・・あるわけ無いじゃないですか〜?」
声が裏返っている。目も泳いでいる。
「ミシュラ、マッキーはむやみに暴力を振るったりしないから怖がること無いよ。マッキーはこの中で一番冷静でおとなしくて、常識的だから。」
俺のマッキーの評価にブーイングをするレイ達アホ3人娘。君たちは少しマッキーを見習ってください。
「恵さんがそう言うなら・・・。マッキーさん・・・ハグを・・・。」
ミシュラが腕を広げるとマッキーが飛び込む。ちょっとビクッとなっていたけどゆっくり抱きしめてハグが成立したみたいだ。
「ミシュラ〜やわらけぇぇぇ〜〜〜」
マッキーがエロおやじみたいなことをエロおやじみたいな顔で言っている。
「さて、こっちの問題は片付いたことにして、魔人達はどうするの?」
座り込んでいる魔人7人。
「姉たちは主殿の屋敷に住もうと思っている。あそこなら神々の襲撃もないだろう?」
「たぶんね。最古の神々がこれだけ屯していたら近づいてこないでしょ?」
「そうでもないと思うわ。海の神々はまだ知り合っていないでしょ?彼女の部下なら来かねないわよ?あと・・・」
ハウンの口から最古の神々の名前が結構な数出てくる。
まだそんなに居たんだというのが俺の感想。
「それって数が減ってるの?」
俺の質問にミシュラが
「結構始末しましたからね〜。私とパパだけで数十人は殺しているわ〜。ねぇ?」
そう言いながら扉に目をやるミシュラ。皆がそれと同じ方向を見ると扉の影からこちらを伺う女が・・・。
「ケイ・・・何やってんだ?こっち来いよ。いじめたりしないからさ。」
マッキーがおいでおいでをしている。
「いつの間にかウロウロしていたから気になってたんだけど・・・あの女ナニモノなの?」
ハウンがミシュラに聞いている。
「ハウン・・・驚かないでね。あれ・・・神よ。」
「「え?」」
ハウンだけではなくアッシュも目をまんまるにして停止する。
「マッキー様〜いつの間にこんな所に〜?気配を辿ってやっと見つけましたよ〜。」
クネクネ女の子走りをしている神こと、ケイ。
それを見てマッキーにたどり着く寸前でケリを食らわすハウン。
吹っ飛んで前のめりに盛大に転ぶケイ。
「無い無い!!絶対ない!!ありえないありえない!!」
耳をふさいで首を振りまくっているハウン。
「ちょっと!!ハウン!!そんなカウンター気味に蹴れば、弱っちいケイは吹っ飛ぶだろ?大丈夫か〜??ケイ??」
「アイ・・・。鼻が痛いです・・・。ハウンさんはひどい人ですね・・・。」
「ヒィィィィィィィィ!!」
顔を青くして鳥肌になっているハウン。全く動かないアッシュ。もしかして死んでいるのでは??
「ちょっと!!アッシュが呼吸をしていないわよ!!」
あまりのショックに呼吸が止まってしまったのだろう。すぐに横にして人工呼吸をし始めるシャロン。
「ちょっと!!ショックなのはわかりますが、死にかけることないですよ!!もっと強い精神を持ってください!!」
ケイの登場で神々に絶望が訪れる。
最古の神々にとって生みの親であるケイ。
そのケイが女になって人族であるマッキーをマッキー様と呼び、ぶりっ子走をしながらマッキーのもとにやってきてアホそうな女の子の話し方をする・・・。それを見て今まで抱いていた幻想とのギャップに耐え切れず息をできなくなるもの、血の気が引いいて膝を突いて白目になっているもの。以前から飲んだくれの状態を知っているものですら、頭を抱えて小さい声で
「これはないわ・・・」
とだけ言って顔色が悪くなっている。
そんなことを気にもせずマッキーにジャレつくケイ。
ケイの頭をなでたり乳をもんだりして、いちゃついているマッキー。
多分この中で一番精神的にタフなのはこの二人だろう。
「最古の神々が来たらコレを見せれば倒せるんじゃない?」
いちゃつく2人を指さしてレイがそういう。
「ええ。ゾルミスの核魔法も霞んで見えるほどの破壊力ね・・・。」
やっちゃんがハウンの看病をしながらそう呟く。
それを聞いて震えながら笑いをこらえているミシュラ。
「なんであんなに尊敬していたのかしらね〜あはははははははははは!!」
床を叩きながら笑い転げるミシュラ。
いつもの姿に戻ってよかったよかった。