置土産
「恵さん・・・。色々なものを・・・ええ???」
シャムが自室から出てきて俺達の所にやってきた。
そしてデュランの前にいる4人の女を見てものすごいおどろいた顔をしている。
ものすごい速さで詰め寄ってくる。
「キャム!!リオ!!テア!マール!!」
「「「「シャム???」」」」
手を取り合って喜ぶ5人。キャァキャァ言って飛び回っている。
しかしすぐに4人が落ち込んで話し始める。
「ごめんなさい・・・ディアを・・・」
すすり泣く4人。
「ディア?」
俺がデュランに小声で聞くと
「ディアはシャムの弟だ・・・。」
「マッキー!!」
俺が大声でマッキーを呼ぶ。
大きな声にびっくりした5人は俺の方をポカーンとした顔で見ている。
「でかい声で呼ぶなよ。私はそんなに耳が遠いわけじゃないんだから・・・。」
「ゴメン。マッキーにお願いがるんだけど・・・。魔人のディアという男の人を探してほしい。」
「はぁ??魔人??ディア??デュランのお友達か?ってこの人たち誰?」
マッキーが4人をマジマジ見ている。
「いいガタイしてんな・・・乳もデカイし・・・背もデカイ・・・。美人だが・・・全部デカイな・・・。」
「それは褒めてるのか??貶しているのか?」
俺が呆れて聞くと
「貶しているわけ無いだろ!!かっこいいだろう?ってそんな話はどうでもいいんだよ!!この人たち誰?」
4人が自己紹介をしている。俺にはしなかったのにね・・・。
「デュランが呼んでこなかったんだろ?死んでるだろ?」
マッキーの何気ない一言に4人とシャムがショックを受けている。マッキーはオブラートとかそういうのを持ち合わせていないからね・・・。ほんとすみません・・・。
きついこと言いながらもスキルを使って探しはじめるマッキー。
「で・・・いたけどどうする?」
「「「「「「え??」」」」」
5人がマッキーのもとに駆け寄る。
「あっちの方向に5000キロほどの所に居るみたいだぞ?」
北東を指すマッキー。
そっちはシュフラ帝国の方角だね・・・。
「ジュエルに捕まっているのかもな・・・。」
「なんで願いでここにこないの?」
俺がデュランに目をやると
「我の願いは今、主殿の言うラスボスに気づかれるような願いは叶わぬようにしている。目の前に居るような状況では呼び出せない。」
悔しそうな顔をするデュラン。そして落ち込む5人。
「どうにか出来ない??あ!!いいこと思いついた!!」
「デュラン・・・」
俺はデュランにお願いをする。それと同時に足元に光の輪が出てくる。
そこから一人の・・・いや違う一つのものが現れる。
「コレは・・・ひどい・・・。」
俺達は絶句する。ジュエルは・・・極悪非道だと聞いていたが・・・コレほどとは・・・。
十字に削られた大木に四肢を切り落として縫いつけているのだ。しかも・・・目が見えないようにハウンに施していたような呪いを用いて瞼を縫い合わせているのだ。
「誰か!!助けてあげて!!」
シャムが抱き上げて泣き出す。その横で膝をついて泣くデュランの姉妹たち・・・。
「デュラン!!すぐに元の体に戻してくれ!!」
「その願い叶えてやろう!!」
光り輝く男の体。そして全ての傷がなくなり裸でシャムの腕に抱かれている。
「ありがとうございます!!ありがとうございます!!」
何度も何度も御礼を言うシャム。
デュランは義理の弟を抱き上げてシャムの部屋に連れて行く。
「で。恵よ・・・。向こうには何を残してきたんだ?」
「とっておき・・・。ふふふふふ・・・。」
俺は今、きっとものすごい邪悪な笑みを浮かべているだろう。
人を呪うような奴にはいいお土産だと思う。
「あの・・・ありがとうございます。残り少ない願いを私達の失敗のために・・・。」
「え?残り少ない?」
俺がびっくりした顔をすると
「え?3回しかないんですよね?」
「最初はそうだったけど・・・。今は違いますよ。」
「「「「え?」」」」
4人はものすごく間抜けな顔をしている。自分の持っている常識と違うことを言われればそうなるか?