主の命令
「おい、イソカを呼べ!」
私に向かって主がそういう。
「かしこまりました。」
私はすぐにそのイソカと呼ばれている女のもとへ。
私はあの女が大嫌いだ。見た目も醜悪だが、それよりも性格が悪すぎる。死体をもてあそぶ気持ち悪い女。解体したり、改造したり、食ったり、犯したり・・・。とても正常な神経を持っているとは思えない。
私はその気持ち悪い女の研究室の前に立つ。あの女と少しでも話をすると思うだけで憂鬱だ。
コンコン
私は律儀にノックをする。以前、いきなり開けて入ったら死体と性交に耽っていた。そんな不快なモノをもう二度と見たくはない。
コンコン
返事がないのでもう一度ノックする。
・・・
何の反応もない・・・。いないのか?
いやいや、そんなわけはない。この女がこの部屋から出るのは、主に呼び出された時か、飯や風呂の時、それと獲物を狩りに行く時だけだ。狩りにでかけるときは必ず主に許可を得るはず。主が呼ぶということはそれは流石にないとなる。
「入るぞ。」
また、イケメンの男を殺して操って性交していて返事できないという可能性もないとは言えない。
いくつもある研究用のベッドにはいくつかの実験体が寝そべっている。
気色の悪い部屋だ・・・。
「イソカ・・・いないのか?」
いないわけがないんだが・・・。
研究室を歩いて探すがどこにもいない。
「こんな時間に風呂か?飯か??」
私はひとりごとを呟きながら研究室を出る。
食堂と風呂を見て回るがこんな時間だ・・・いるわけがないのだ。
仕方なく主のもとに
「イソカはいません。主様・・・どこかに行ったのでは?」
「なに?どこにいくんだ??あのひきこもりの変態娘が・・・」
なんだ・・・知っているのか・・・。
「最近、勝手に出歩くバカが多い。一度全員に連絡して勝手に出歩くなと行っておけ。」
「はっ」
主はまた何かの書物に目を通している。
全員にか・・・。面倒だが一人ずつ声をかけて行くしかない。
この人数に一人ずつ声をかけていけとは・・・酷な仕事だな・・・。
歩いていろんな奴に声をかける。
結構な数の部屋を回るが留守のところが多い。
「アホども・・・主に黙ってどこに行ったのか・・・。」
地獄から開放されて好き勝手できるようになって、主の作ったルールも守れないアホども。
見つかって折檻されればいいんだ。
私は一人回廊を歩く。
「ぱっと全員に連絡できる手段をさっさと作って欲しいもんだな・・・。」
そう心で思いながらも主には言えない。あの人はそういうことを言うとものすごく・・・
私はいきなり訳のわからない所に飛ぶ。
真っ白な目の前にあっけにとられていると・・・
いきなり現れた魔族の女が私の腹に手を当てている。
バシュッ!!
体が爆発して・・・私の意識どこかに・・・。