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願いで手に入れた伴侶が最強  作者: うぉすれや
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やっと・・・

「レイ・・・覚えてる?最初、俺は強さに関心もなく、戦闘を極端に避けたりしてたこと・・・。」


「ええ。覚えてる。最初はスライムにも殺されたもんね。痛いのは嫌だって言って・・・。その後・・・やっちゃんと知り合って特訓したけどその時もハイオークを殺すのにビビって剣を刺せずにいたもんね。」


「その後急にレベルを上げるようになったよね?」


「そうだね。無理矢理っぽく感じたけど・・・。あれは??」


「あの時もう、やり直しを踏んでいたんだ。普通に強くなろうともせずに生活をしていたら突然終わりを迎えた。あっけなく・・・。俺の目の前でやっちゃんとレイが殺されたんだ・・・。だからデュランに頼んで俺はやり直すことを願った。」


「それで?」


「俺の願いは『最良の分岐点の手前でやり直させてくれ!!』なんだ。俺がやり直したいと思ったらデュランの存在の有る無しにかかわらずに発動する。それは俺とデュランの繋がりを断たれる自体を想定してそうしている。その想定も何度もある。というよりよくある。それを断つスキルを持った奴が居るんだ。」


俺をじっと見る目の前の仲間たち。


「レイ・・・たまにさ・・・おれが変なこと口走ってたときなかった?」


「え?・・・『またか?』とか・・・??」


レイはちゃんと俺の独り言を聞いている。


「そうだね。たまに思いもよらないところまで戻されて・・・つい口走ってしまうことがあったんだけど・・・。」


「あと・・・皆を守れないとかも言っていたね。誰よりも弱いのに・・・。」


「ははは・・・それはいいっこなし。」


俺が少し笑うとこの場の雰囲気が和む。俺の気分で振り回されているのがよくわかる。嫌な関係かもしれないな・・・。


「俺は何度もやり直して、自らの手でレイを殺したことも、レイリーを殺したことも、そしてミシュラを殺したこともある。愛するものや大事な仲間を殺すというのは何度やっても馴れることはない。心を潰すような痛みがある。」


「どれだけその苦しみを?なんども??」


やっちゃんが俺に聞く。


「何度もだよ。仲間を自分の手で殺さなければならなくなるパターンはもう踏みまくってある程度法則が見えてきた。それはラスボスを早い段階で始末するとそうなる。だから俺は世界樹に居ると聞いてたジュエルの始末をせずに今この場にいる。それはそういう結末を何度もやってわかってきたから。私はジュエルが世界樹に居ると知って後ろから殺すっていう話をしたのを覚えてる?」


「ええ。たしか・・・神々が地球で襲ってきた時よね?」


「でもやらなかったよね。それがあるからなんだ。その時のジュエルのレベルならレイが始末できる強さだったんだよ。俺が注意を引きつけて後ろから殺す。それをやってハッピーエンド。そう思っていたらラスボスが変わってたんだ。だからラスボスはアイツ固定。そのためには時期を見誤ってはいけない。」


「恵様・・・。じゃぁ、今のジュエルは強すぎるってこと?」


ハウンが心配そうな顔で俺に聞く。


「ああ、そうだよ。今のジュエルは俺達と同じレベル無し。しかもとびっきりの化物・・・。それで俺が思いついたのがミシュラをぶつけるという他力本願な方法。」


「楽勝でしょ?お母様のあの特大なら・・・。」


「俺もそう思ってたというよりあれは最近知った新しい道みたいなんだけどね・・・。何故かミシュラが殺されて傀儡として俺達を襲ってくるんだ。それプラスジュエルの2大ラスボス・・・。もう最悪だったよ・・・。」


俺の変顔を見て全員が頷く。


「それを倒したの?」


レイがワクワクした顔で俺を見る。


「殺したよ。でも・・・皆も死んだ。デュランの願いも使えない・・・だからやり直した。」


「デュランとの繋がりはいつ切れるの?」


「それなんだけど・・・。もう対策済み。次は誰が死んでも生き返らせることができるようにしているつもりなんだけどね・・・。どんな失敗があるか・・・。デュランが死ぬとか・・・ミューが死ぬとかも想定しておかないと・・・。」


「不死にすればいいじゃない?少しの間・・・。」


「それももうやったんだよ・・・。そうすれば誰が死んでも元に戻せるってね・・・。そしたら・・・」


「「「「そしたら??」」」」


「奪われた・・・。」


「難儀だね・・・。」


「そこなんだよ・・・。それが今回の対策を立てられるっていうやつ。願いを叶える魔人を飼い慣らしているのがバレて奪われる・・・。だからバレないように秘密で頑張っていくしかないんだ。それを今・・・バカみたいに話しているわけ・・・。どんどん気分が滅入ってきているのもそのせい・・・。」


「ごめんなさい・・・。」


シャロンが謝ってくる。


「まず・・・俺はこの屋敷に住んでいるもの、関係を持ったもの、その者達の安全を第一に考えている。うまくいくように色々助けたり仲間にしてきた。そのせいで今・・・今までにないほどハッピーエンドの難易度が上がっている。それでもその者たちの死があればやり直す。何度か・・・これでいいのでは?とやり直さず数年過ごしたこともあったけど・・・俺の心はそこまで強くなかった。だから・・・みんな・・・死なないでほしい。」


俺は気づくと涙をぼろぼろ流していた。

何度も愛する人を失って、大事な人を失って心が壊れていたのかも・・・。それを皆の前で死なないでほしいと口にした瞬間・・・何かが戻ってきた。俺の中にずっといなかった本当の俺が・・・。


「シャロン・・・。話す機会をくれてありがとう。なんか・・・、思い出した。俺は皆に声を掛けたかったんだ。ずっといきなり戦闘になって何も言えないまま誰かを失って・・・。それを背負うたびに心が潰れて言ってたんだ・・・。今・・・やっと言えたよ。」


俺はシャロンに抱きつく。シャロンも泣きまくっていた。


何がなんだか俺にはわからない。何が正解なのか、何が失敗なのか。

周りを見ると皆何故か泣いていた。

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