召使とシュフラの情報
「こんなの育ててどうするの?ハーレム勧誘?そんなに顔は良くないよ?」
俺が女性を助けるとそうなると考えるのをそろそろやめてほしい。
俺は下半身で生きているわけではないんだけど〜?
「真の勇者には色々やってもらわないといけないんだよ。平和に向けてね。」
「今もすごく平和でしょ?」
「シュフラみたいなバカがある以上、平和ではないよ。いつ爆発してもおかしくない。レイはそのへんあまり理解してくれないよね?」
「あんなところ、レイリーに任せておけばいいのよ。」
「ああ、それだけど、どうなってるの?」
「神々を名乗る奴らが何度も攻めてくるらしいよ。人にしては強いけど、神々というほどでは?という微妙な奴らが。軍は拠点を作りながらじわじわ侵攻しているとか。街の人々を見つけたら保護するようにと言ってあるけどまだ見つかってないみたい。港の近くにはいないのかな?」
「最近マッキーや俺が捕まえた奴に聞けばいいじゃない?」
「あの娘たちね・・・。クロエにくっついて色々仕事しているわよ。」
「え?召使になってんの?」
俺があまりのことにびっくりする。戦闘要員じゃないの?
「うん。メグミの命令じゃないの?」
「いや、そんなこと言った覚えはないけど?ちょっと呼んでもらおうか?クロエ!!」
「は〜〜〜〜い!!」
俺の声にすぐ反応してものすごい速さで返事をしながら走ってくる。
走らせていつも悪いね。
「クロエ、マッキーが捕まえてきた捕虜は?俺の捕まえた捕虜は?」
「メイシャンさんとモアさんですか?」
「メイシャン?」
俺とレイが頭を傾げる。
「え?もしかして、名前も知らないでここにおいているんですか?ええ〜〜〜。」
クロエが俺に冷たい目を向ける。
「マッキーが名前を言ってなかったからね。奴隷としか聞いていないんだよ。」
「それはとってもひどいですね。ちょっとそれはひどいすぎです。やっぱり皇帝になると人の権利を軽く見るようになるんですか?」
「う〜〜〜ん、そのへんは反省するよ。ゴメン。」
俺が頭を下げるとレイが不貞腐れて怒り始める。
「ちょっと!クロエに頭下げるの??なんで??私達には頭下げないじゃない?」
「俺がレイに頭下げなきゃいけないことしないでしょ?それにクロエは俺と対等に話をするよ。いいことはいいと言ってくれるし、ダメなところはダメと言ってくれる。召使というより、もう友達だよ?いい相談相手だよ?」
「頭下げなきゃダメなことあるでしょ?向こうのちんちくりんとか!!こっちのちんちくりんとか!!あのメガネクソチビを何とかしてよ!!」
メガネクソチビは君から出た悪口か・・・。
スイカ頭は誰だ?
「うわ〜〜。話が戻ってこれないからその話し終わっていい?」
「だめ〜〜〜!!」
腕で×とやって舌を出して怒っているレイ。放置しておこう。
「で、クロエ、彼女たちを呼んでくれない?」
ギャァギャァ言っているレイはマジで放置しておこう。
「はい、すぐに。」
走っていくクロエ。
「走らなくていいよ〜〜!!」
と大きな声で言っても疾走ることを止めずそのまま俺の前から消える。
そして数分後、目の前に2人の女の人がメイドの格好で俺の前に立つ。
「連れてきました。恵様!!」
「ありがとう。クロエ、そこにいてくれ。」
一礼して少しさがるクロエ。
「君たち・・・何で召使になってるの?」
ストレートに聞いてみる。君らは戦闘力が一般の女性より高い。何でそこから離れているのかとても気になる。
「えっと・・・」
「まず名乗れよ!」
レイが腕を組んでものすごい機嫌の悪い顔で2人を睨んでいる。
それを見て2人共萎縮しているみたいだ。
「レイちゃん・・・。少し席を外してくれるかな?」
「はいはい・・・。」
凄い怒っている。それでもどこか違う部屋に行ってくれる。が、すぐにハウンが入ってくる。
「恵様、護衛がいないのもどうかと・・・。」
気を利かせてくれているんだね。ありがたいことだ。
「さて、もう一度聞くね。何で君たちはメイド服を来て召使になってるの?」
小さく手を上げて話をしたそうな顔をしている。確かこの子がモアだったはず。
「モアです。あの・・・皆さんの強さは異常です。それに向き合って私は悟りました。次元が違う。血なまぐさい世界から身を引くいい機会だな。と。」
同じように小さく手を上げて
「メイシャンです。私も・・・マッキー様と一緒にいて恐怖を感じました。あの人は私のようなものを性の対象か、道具程度にしか思っていません。ここで召使としてクロエさんの下で働くほうが幸せです。」
「あれ〜?聞き覚えのある声が聞こえると思ったらどこで遊んでるんだ?奴隷1号ちゃ〜ん。」
マッキーが許可無く部屋に入ってくる。その瞬間に顔色を悪くして下を向いてしまうメイシャン。
「マッキー。俺の前でそういうの許さないよ。向こう行っててくれる?」
「うっそよ〜〜〜ん!!恵よ〜〜〜!!怒るなよ〜〜〜。なぁなぁ私も話を聞かせてくれよ。私も心配してたんだよな〜。どこ行ったんだろうって。」
そう言ってメイシャンのもとに移動して抱きつく。
その嬉しそうな顔を見ると、嘘ではないようだ。
「要するに、ここのバケモノじみた者に触れて、自信を失ったってことでいい?」
「「はい・・・」」
目を擦りながら泣き出す2人。
「で、どう??自分より遥かに劣る戦闘力の者の下ではたらく気分は?」
「あの・・・自分がいかに力に飲まれてひどいことをしていたか・・・。クロエさんはとても優しく私達に接してくれます。仕事も丁寧に教えてくれます。私達がひどいことをしてきた人の中にもそのような素晴らしい人がいたと思います。それを思うと・・・。」
「クロエはここの召使の長だからね。ここにいる人中では結構な身分だよ。それは俺が人物を買ってそうしてもらっている。俺は彼女を召使というより友人の位置くらいに思っている。」
クロエは頭を掻きならがら真っ赤な顔をしてうつむく。
「君たちはもう、こっちの世界に戻ってくる気はないの?」
「はい。クロエさんのように・・・仕事で、人柄で・・・いつか恵様の友人と言ってもらえるように頑張ります。」
「そうか・・・ありがとう。それじゃ、この話はおしまい!!聞きたいことっていうのは・・・。」
俺はシュフラのことを聞く。そこでわかったことはすべてレイリーに伝えることになるだろう。
シュフラの国民の労働力になる男は山脈の方にいること。
容姿の美しい女は性的な奴隷として飼われていること。
子どもたちは悪趣味なものに売られたり、労働力として売られたりしていること。
何かあるとすぐに移動するので厳密な場所はわからないと言っている。
「主導は?」
俺の言葉に
「皇帝です。そしてそれを操っているのは・・・。」
「ジュエルなんだね。」
「「・・・はい・・・。」」
まぁ、そのまんまだな。俺の今まで歩んできたものと全く変わりない。
「クロエ・・・レイを呼んで・・・。」
レイがやってきて俺はその話をレイリーに伝えるように言う。
それを聞いたレイリーは
「わかったよ。内陸側で労働力として奴隷にしているんだね。すぐにとは無理だけど・・・1年もしないうちに何とかなると思うよ。それか兄さんの能力ですぐ助ける?」
「あぁ、それもいいかもね・・・。」
レイが安易に返事するが
「それはしないよ。さすがにそれは出来ない。」
冷たく聞こえるがそれは出来ないのだ。必ずそれで俺のスキルがバレる。そうなると色々対策を立てられかねない。
「何でよ!!人助けだよ!」
「そうだぞ!!人を助けるのにそんなこと言うなよ!!1年後までにどれだけの人が死ぬと思ってるんだ?重労働の奴隷はどんどん死ぬぞ?」
「恵さんには考えがあって言っているんだから、そういう言い方しないでください!!恵さんだって辛いんですから!!!」
シャロンがチビ2人を連れて俺のところにやってくる。
「なんだ??シャロンはなにか知ってるのか??なぁ??」
なんか面倒な展開だな・・・。