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願いで手に入れた伴侶が最強  作者: うぉすれや
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後悔

「あぁ、どうしよう・・。私・・・ものすごい思い違いをしていたわ。」


私は今・・・ものすごく落ち込んでいる。

自分が強くなって周りが見えなかったんだろう。

お母様はよく殺気をダダ漏れにして強者であることを示してくれる。

お父様は・・・魔王の座を下りてからの豹変ぶりが許せなかった。

いつもヘラヘラ笑って、女の子のお尻を追い回して、私に抱きつこうとしたり、過度のスキンシップを求めてきたり。お母様に怒られたら涙目になって謝っていたり・・・。

どう見ても強そうに感じない。今日の今日まで。


「あれはヤバイわ・・・。」


私はお父様の姿を思い出して顔を赤くしてしまう。

お母様を一瞬で焼き払う魔力。瞬時に元に戻る超回復。機微無く発動させる無限の魔法。

あんなことされたらあの空間以外なら消滅まちがいなし。

それにあんなにカッコ良かったなんて。

今までとの温度差がやばいくらい。お父様はかっこいい。

お母様が夢中だった理由が今わかったわ。

クルクがお父様の味方をして強いと言い続けた理由もよくわかったわ。


「やばい、やばい、あれはやばいって・・・。」


もうそればかり。頭をグルグル回っているのはそればかり。

さっきお母様を倒すことが出来た。私の念願だった夢がかなったの!!でもそんなことより・・・お父様のことが頭から離れない。


お母様の全力を目の前にしても集中できなかった。あの化物を目の前にしても、戦わなくてはいけない状況にもかかわらず気持ちはそこにない。


「あぁなんて言えばいいんだろう・・・。」


そう思っているとマッキーと思われる獣がお母様を襲う。


「ヒィィィぃぃ!!」


お母様がマッキーの姿を見て怯え始める。そんな姿・・・初めて見る。

そのままマッキーに食われて暴れまわるお母様。そんなに恐れるものがいきなり出来るなんてどういう感じなのかな?攻撃しようとしても食われてしまう。早々に諦めたのかのたうち回るだけになっている。





そのうちにお母様は封印される。そしてその瞬間にやっちゃんとメイリーンの2人にあっという間に退治されるマッキー。


あぁ、そんなことどうでもいいのよ。

誰か私のこの気持ちをどうにかして!!


そして戦闘が終わる。



「ねぇメグミ・・・お父様は?」


「え?帰ったよ。なんで?」


「へ??私に黙って??」


「うん。屋敷に帰してくれって泣いてたよ。」


何で泣いてるの??お母様と何かあったの?それよりも・・・

おかしい・・・いつものお父様だわ・・。夢でも見ていたのかな?


「メグミ・・・。お父様に謝りに行ってくる。」


ーーーーーーーーーーーーーーー



「別にいいんじゃない?お父様はレイとの関係性をどうにかしたいと思っていないよ。自分の印象を変えるチャンスを普通に投げ出していたでしょ?」


レイが驚いた顔で俺を見ている。君は人の話を聞いていないのか?目の前で言ってたと思うんだけど・・・。


「お父様は私ラブなんでしょ?」


「それとこれとは別みたいだよ。お父様は君への印象よりも愛するものを傷つけないことのほうが重要だと言っていたけど?」


真っ赤な顔になってうつむくレイ。


「お父様・・・かっこいい。」


「ああ。かっこいいね。あんなに自分の考えをしっかり持っている人がかっこ悪いわけないよ。あんな男になりたいそう思うね。」


俺がずっと思っていたことをレイに伝える。


「レイ・・・お父様の凄さは凄いところを一切見せないところだよ。あんな強かったら誰かに見せない?それを妻であったミシュラにすら見せていないんだよ?かっこいいよね〜。」


「メグミ・・・。私・・・それでも・・・謝ってくる。」


レイが走って行こうとするので俺が一緒に瞬間移動する。


「レイ・・・ほら・・・目の前だよ。」


「う・・・うん。一緒に来てくれてありがとう。」


俺達は屋敷に向かって歩く。例は何故か顔を赤くしっぱなしだ。



「これは・・・レイ様・・・。今、ギルフォード様はお留守ですが・・・。」


「いえ、居るはずです。中に入れてください。」


「・・・かしこまりました。」


門番は俺達をそのまま通す。門番としてはここは一度連絡を入れるべきだよね?

俺達は美しい装飾の施された廊下を歩く。


「ゾルミス様・・・ふふふふふ。」


「リノンちゃん・・・可愛いね〜。ははははは」


「ゾルミス様・・・イヤン!」


「あぁゴメンゴメン。手が勝手に・・・ははははは」


「・・・」


俺達は見てはいけないものを見てしまっているのかも・・・。

レイは今までのお父様への態度を改めるために謝りに来たはずなのに拳を握って震えている。

下を向いて表情は全く見えない。けどね・・・じわじわ変なオーラが漏れでている。


「お父様・・・」


「え?あれ?フィナちゃん??え??」


召使の胸に両手を当ててスケベな顔のお父様。

俺は顔を手で押さえて天を仰ぐ。


「ゾルミス様?何を??」


お父様に跨がる召使が俺達の方を見る。


「え??レイ様??え??え??あ!失礼します・・・ほほほほほ・・・。」


召使がそそくさと部屋から撤退する。あなたの判断は正解だと思う。早くこの場から離れたほうがいい。


「メグミ・・・こんな男になったらダメだよ・・・」


下を向いたままポツリと呟くレイ。


「メグミ・・・。お願いがあるの・・・。お父様と私を訓練部屋に連れて行ってくれるかな?」


「あ・・・」


涙目のお父様。ごめんなさい。そんな目で見られても・・・。俺を見ないでください。


目の前から消えるレイとお父様。

俺はご飯まだだったな。帰って食べよう・・・。


あんなにカッコ良かったお父様。

あんなにいいことを言っていたお父様。

娘に見直され始めたお父様。

それを一発で崩すその手腕。


あなたの体を張ったオチに乾杯・・・。


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