似非の幽閉
「デュラン見つけた?」
『ああ。今送る。』
俺はある空間でじっと座って待っている。
すると俺の前に現れる男女。
容姿の美しい、絶大な力を持つ神々と名乗る男と女が目の前で怒り狂っている。
「こんばんは!」
俺は座って彼らに挨拶をする。
すると俺の存在に気づいて俺の方を睨む男女。
「なんだ?貴様・・・。ここはどこだ??」
冷静に俺に言葉を返す男。さすがに神々はこの程度で慌てたりしないか?
「ここは俺の作った空間で、君たちを始末する場所だよ。お前ら無茶苦茶なんだよね。だから1匹ずつ確実に殺しているところ。」
「はぁ??1匹だぁ?神々に向かって虫けらみたいに言いやがって。じゃぁ何で私達は2人もいるんだ??お前は私達を相手にして勝てるつもりなのか??覆面野郎。」
「ははは。マスクマンと言われたり、覆面野郎と言われたり。見せないんじゃなくて、無いんだよ。ステータスがね。わかってくれるかな??似非神々くんと似非神々ちゃん。」
俺の似非発言にぎょっとした顔をするがすぐに平静を取り戻す。
「はぁ??ステータスがない?ははははは。じゃぁお前は虫けらですら無いんだな。お前はその辺の石ころと変わらないんだな〜。」
「まぁ長々話をしても平行線だし。分かり合えることもないからさ・・・。」
「まずは相棒にお別れを言ってあげなよ?」
俺は男の似非神々の頭を女に投げ渡す。それを受け取った女はすぐに横に立っている男の顔を見るがそこにはない。今あんたが腕に抱いて持っているのがそれなのだから。
男の首は千切られたことも気づかずにパクパク口をさせているがすぐに絶命するだろう。
「あんたら自身に対する恨みとか怒りとかは全くない。まぁこの先感じるであろう怒りはあるんだけどね。今の君たちには全くない。無いからこそ、今のうちに始末しているんだから。さて、綺麗な女性を苦しめて殺す趣味はないこともないけど、今あんたにする必要性を感じない。俺が喜びそうなことを話して楽になればいい。あ〜、それと、地獄での暮らしから抜けて少しは楽しんだ??強大な力を手に入れて調子に乗っていたんだから楽しんだととっていいよね?」
まぁ素直に話すわけがない。
俺の言葉に耳を貸さず戦闘態勢を取る。
「貴様!!不意をついてバイルンを殺したからっていい気になるなよ!!この男より私のほうが強いんだ!!選択ミスだな!!」
「男が泣き叫ぶ姿に虫唾が疾走るだけだからあんたを残したんだけどね。あんたの戦闘能力の高さは知っているつもりだよ。だから俺が相手にするんじゃなくて・・・。」
女の横で倒れること無く突っ立っていた似非神々の男の遺骸が女の首を絞め始める。
「な!!??グッ!!離せ!!なにを!!」
そのまま押し倒される女。馬乗りになる似非神々の男の遺骸。首からぼたぼたと血を流しながら女を組み敷いて動きを止める。
「俺は話しのわからない方ではないんだけど、馬鹿な話し方をする女の人には少し、ちょっとだけ・・・う〜〜ん、結構嫌悪感を感じてしまうんだよね。綺麗なんだからもっとそれなりの話し方をしてくれたらいいのにって。だから・・・。」
バキ
「ギャ!」
ゴッ
「ガッ!!」
グシャ!
「あぁぁぁ!!!」
女の顔が崩れる。首のない男の頭突き、というより首付きといえばいいのだろうか?それを何度も食らって顔が血まみれになっている。
男の血なのか、女の血なのか・・・それはわからないが、結構な力であたっているので半々くらいだろうか?まぁどっちでもいいか?
「これで顔は見えなくなったね。甚振り開始しようか?俺の喜ぶことを言ってくれさえすれば傷めつけるなんてことはしない。解放はしないけどね。」
「何が知りたい?それを聞かせてくれ。」
女が息を切らせながら聞いてくる。
「えぇ?そんなこと言っちゃったらそれしか話さないだろう?地の神々の話なんか聞きたいけどこの前それをしたら胸が爆発した子がいたんだよね。だからそれは聞かない。他のこと聞かせてよ。」
「だから何を??」
「聞き分けのない頭の悪い子だな。だからそれは言わないって。知ってることを話しなさい。一から十まで言わないとわからない子はこうしよう。」
俺が剣を取り出す。そしてそれに炎をまとわせる。
「そんなにランクが高くない魔法剣士の技でね。炎属性をもたせるだけなんだけど。最近魔力が高いのかすぐに・・・」
剣が溶けてオレンジ色の液体がボトボトっと女の腕にかかる。遺骸の腕諸共。
「ギァァァァァ!!」
ブスブスと音を立てて女の腕にオレンジ色の溶けたものが湯気なのか煙なのかわからないものを発しながら入っていく。
「臭いよね〜。焼き肉ってあんなにいい匂いがするのに何でこんなにこれは臭いんだろう?何が違うのかな?」
俺はまたアイテム袋からもう1本剣を取り出す。そしてまた・・・
「まってくれ!!まってください!わかりました!!話をします。だから・・・。」
「だから何?」
「生きるチャンスを下さい。」
「ダメ。あんたの周りに立つ人々がそれを望んでいない。」
「え?」
「あんたさ・・・命乞いする人々を殺しまくってるでしょう?その殺された人が今・・・あんたの周りにいっぱい来ているよ。あんたが苦しんで死にゆく様を嬉しそうに見ている。」
『デュラン。見えるようにしてやってよ。』
ものすごい数の人々がこの場に現れる。
「命乞いをしたのに笑いながら殺されたと俺に話してくれているよ。だから俺もあんたを笑いながら甚振るだけ甚振ってこの場にいる人を満足させてあげようかと思っている。」
ふふふふ
はははは
いい気味だ
俺の家族を返せ
子供の無念・・・
殺せ
俺にも剣を貸してくれ・・・
殺せ
もっとやれ、もっと・・・
周りからものすごいどす黒い怒りがこの女に向けられる。
「あんたはコレを見ても自分に生きるチャンスがあると思う?あんたは他人の生きるチャンスを奪うだけ奪ってきたんだから。」
「ああああ・・・」
似非神々の所業。中途半端な力を持ったがために利用され、大きすぎる力をいきなり持ったせいで人の痛みがわからなくなって邪悪な行いをし続ける。
今まで始末してきた似非神々のほとんどが自分の国で悪行を繰り返している。こいつらに残酷な殺され方をした人もたくさんいただろう。力がなく恨むしか出来なかった者達。その者達に俺はやり返すチャンスを与えて回っている。
「俺に何も言えないならここにいる人たちにあんたのことを任せるよ。あんたはやり返せない。逃げることも出来ない。ずっとここで死ぬことも敵わず苦しめられ続ける。未来永劫ね。そういう部屋が今で・・・そうだな・・・万はあるのか?仲間に会えるわけじゃないからどうでもいいか?あんたの戦闘力の2倍の強さを与えているから絶対に勝てないよ。というよりあんたが弱くなっているんだけどね。今まであんたがやっていたことをやり返すには丁度いい差かな?」
「みんな・・・好きにすればいい。武器もここにおいておくよ。もし、万が一・・・君たちがこの女を許すというならその時はこの空間は解除されて女は解放される。だから気の住むまで苦しめてあげるといい。君たちは本来、そんな悪しき色に染まっている存在ではないと思うから。」
怨念にとらわれて動けない無残な死を与えられた人々。
女を斬り刻み始める。
「やっぱり何も聞けないね。」
『そうだな。まぁそうなるだろうな・・・。』