うるさい奴ら
メグミ邸・・・。
「ただいま。」
俺の声にものすっごいスピードで膝を付いて謝る姿勢になる2人の人物。
シャロンとジュディ老師。
2人がそれぞれ声を出して何か言っているみたいけど、二人共主張が強すぎて両方共聞き取れない。
俺が聞き取れていないと気づくとお互いの声が邪魔だと気づいて喧嘩をし始める。
「ちょっと!!私が話をしているんだから黙ってなさいよ!!」
「はぁ??私が恵様と話をしているんだろう??お前が黙ってろ。私のほうが先にここに来ただろ??順番くらい守れ。アホの神々!」
「はぁぁぁ??私のほうが早かったでしょ?どこを見ているのよ?ほんと物事が見えないっていうのは困ったもんね。まぁ、ヴァヴァぁで老眼だから仕方ないかしら?」
「何〜??ババァはお前だろ??どう考えても私より年上だろう?神々なんだから計算くらい出来てほしいわ!!」
「年下なら年上の言うこと聞きなさいよ!!老師老師言われて偉ぶってるからババア扱いされるのよ!!」
ものすごい口喧嘩に発展しているけど・・・。俺は部屋に帰っていいかな?
「話し合い終わったら俺のところに来てね。」
「ちょっと!!まってくださいよ!!恵様は私の話をしっかり聞いてくださればいいんです!」
「いえいえ、私の話を聞いてください!!そうすれば怒りが収まるはずです。」
俺は2人の話を聞いて
「大丈夫。二人共ゆるさないから。」
笑顔でそう言っておいた。
ものすごい暗い顔をして自室に帰っていく2人。
「話くらい聞いてあげればいいのに。」
レイが後ろから歩いてくる。マッキーとケイがその後ろに連なって歩いてくる。
「恵はイケズだからな。人が悲しい顔をするのが嬉しいんだよ。」
「うわ!人としてどうよ?」
「ケイとマッキーは追放で。」
俺が瞬間移動で自室に入る。遠くから
「まって〜〜〜!!」
という声が聞こえるが俺は全く待つつもりはない。マッキーの荷物を全て部屋の外に放り出して俺はベッドに寝転ぶ。
「はぁしんど。」
「ちょ!!恵!!冗談だぞ!!荷物出すなんてことやめて部屋に入れてくれ!!なぁ!!頼むよ!!一番だろ?」
一番か・・・。女性は一番になると相手への配慮をなくす生き物なのか?
俺はドアを少しだけ開けてマッキーを見る。そうするとマッキーと目が合う。
「こんな状態で1番なわけないよね。短い天下でしたねマッキー。」
笑顔でマッキに伝えると
「まって!!待てって!!なぁ、恵!!お前に突っ込んで欲しかったんだよ!!辛辣なことを言うと必ず何かしら言ってくれるだろ?それだよそれ!!きっとレイちんややっちゃんもそれなんだよ!!な??」
「ならレイを一番に戻すから同じ結果じゃない?」
「グッ!!」
マッキーの後ろから笑い声が聞こえる。
「マッキー!!転落人生を味わった感想は??」
「本当に短い天下だったわね。」
レイとやっちゃんが嬉しそうにマッキーと肩を組む。
その腕を払って
「一緒にするな!!私は一番なんだ!!なぁ!!恵!!もし私が一番じゃないとすれば誰が一番なんだ??一番愛している、大事な存在を出してみろ?異性だぞ!!わかってるよな!!」
「美久」
そう言ってすぐドアを締める。
「それはないわ!」
「ちょっと!!妹はないわ!!」
「美久ちゃんのバカ〜〜!!」
バン!!
「美久はバカじゃない!!君たちがバカなの!!」
バン!
扉を力いっぱい開けて大声でそう言ってドアをもう一度締める。
何で美久をバカっていうんだよ!!ムカつくわ〜〜〜!!
『あれは主殿も悪いと思うぞ。』
『お!デュラン・・・言うね〜。』
『いいもするだろう?異性で誰が一番かと聞いて本物の妹の名前を出せばああなるだろう。』
『美久が一番っていうのは嘘じゃないよ。あの子には幸せになってほしい。』
『そうだな。』
結構な時間一人で過ごすことが出来た。俺は一人の時間がなかなか無いので最近じゃこういう時間が好きで好きでたまらない。何もすることがなくても幸せを感じる。
「恵様・・・。お食事の時間です。」
クロエが呼びに来てくれる。食事か・・・。食堂にいくとまた誰かにからまれるんだろうな・・・。
そうだ!!一人でぶらり旅に出かけよう。神々を見つけるのはデュランに任せて。誰かと行くから面倒に巻き込まれる。そうだ!!そうしよう。
『やめておけ。向こうのメガネのチビも主殿とばれている。捕まってしまうのがオチだ。』
あぁ〜〜!!ネタバレしたのを後悔する。
仕方なく俺は食堂に向かう。
扉をあけて3歩と歩く間もなく
「恵様!!お話が!!」
シャロンが姿を表す。おチビ達を連れて。
「そうきたか・・・。」
「いやいや、そんな邪推はやめてください。2人を放って食事にはいけないじゃないですか?連れて行くのが普通ですよね?」
「そうだね。で?なに??」
「悪ふざけが過ぎました!!許してください。ミシュラがやっているからいいものだと思ってしまいました。」
「じゃぁミシュラも無視しないといけないね。」
どこで聞いていたのかわからないが、ミシュラがものすごいスピードで飛んできてシャロンに突きを食らわす。
慌てて回避するシャロン。床に手刀が刺さる。
「危ないですね!!ここで食らったら死ぬでしょ??」
「ほほほほほ。シャロン・・・。死にたいんじゃなかったの??」
「ミシュラは追放でいいかな??仲間殺そうとしたもんね。」
「いやぁぁぁ!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
俺のズボンを掴んで泣きまくるミシュラ。
「もうさ・・・なんて言ったらいいんだろう?皆好き勝手しすぎ。好き勝手するなら俺も好き勝手させて欲しいんだけどね。」
「一人旅はさせないわよ。」
やっちゃんがどこからとも無く現れる。気配を断つのが異常に旨い。
「ミシュラが追放ですか・・・。面白いことになってますね。」
光学迷彩を解いて俺の前に現れるハウン。ミシュラがあなたをものすごい睨んでますよ!!
「お母様は阿呆なんですね・・・。最近知ってびっくりです。」
レイがダリアと歩いてやってくる。
「戦闘狂に賢いやつなんかいないだろう?」
ダリアがまさに正論を言う。戦闘でどうにかしようと考える奴に賢さは必要ない。
「レイ・・・フェブはどうなったの?」
「あぁ、送ってきたよ。医療班に任せたから死にはしないとおもいたいけど・・・。」
「え??そんなにやばいの?」
「やばいも何も・・・HP1だったわよ。しかも点滅・・・。」
「点滅って何?」
俺が小声でやっちゃんとハウンに聞く。
「HPってね1がやばいってわけじゃないのよ。それが点滅している時がやばいの。そうなると回復もしないし、もう死にかけてるってやつ。放置すればそのまま死ぬわけだし。」
「1は死なないの?」
「1はずっと1のまま。次のダメージがあるまではね。回復すれば数も増えるし、寝れば元に戻れるわ。でも点滅はそういうんじゃないの。もう死ぬってやつ。回復させたければ特殊なことをしないといけないのよ。」
俺達の世界で言う重篤な状態か?
「ミシュラ!!」
「ハイ!!」
涙目のミシュラ。
「手加減してね。死なれたら大変だよ。」
「・・・はい。」
俯いて動かなくなる。
「追放はしないけど・・・。次はないよ。あと・・・手加減覚えてね。」
「はい」
「さて食事に行きますか。」
「ちょっと!!話を聞いてくださいよ!!ミシュラのせいで無視されるところじゃないですか!!」
シャロンがミシュラに食って掛かる。
「恵さん、シャロンの言うことなんか聞く必要ないですよ。だって、事の発端はこの子ですからね。時短したり時短したり訓練したり・・・。」
グサグサグサッ!!と何かが刺さるような動きをするシャロン。
面白い特技を持っているな。