マイルーンで遊ぼう
俺達は、魔族領にあるマイルーンという大都市で買い物をしている。
昨日はマッキーとケイがアホだったため、装備を買うということが出来なかった。
「今日はちゃんと戦うためのものを買うからね。わかった?」
俺の横でマッキーにべったりのケイ。目がハートになってマッキーの腕に抱きついたままずっとマッキーの顔を見ている。
「なぁ、マッキー・・・それ・・・鬱陶しくない?」
「ん?まぁ、ちょっとな・・・。」
「何があったの?」
「えっと・・・あれだあれ・・・。恵と同じ必殺技をな・・・。」
「俺は別にあの行為を必殺技にした覚えはないぞ。」
「マジか・・・。必殺技かと思ってたわ・・・。」
「・・・」
俺とマッキーが沈黙する。ケイはずっとマッキーの顔を目を輝かせてみている。
「おっさん感が抜けたのは・・・女の喜びを知ったからか?」
「・・・そうなのかな?」
さて、気を取り直してこの街のことを知りたい。だからギルドに行って、ちょっとお高い地図を手に入れよう。
歩いて、いろんな人に聞いてやっとギルドに到着。この町はめちゃくちゃ広くて近代的な高層の建物が多いので迷いまくる。街の住人もギルドになんか用事がないから場所を知らないというのがほとんど。
「まさか・・・半日迷うとは・・・。」
「武器屋っぽいところを何件も見たけど・・・。そこで買い物をしたらよかったんじゃないか??」
「ギルドにこだわって失敗したね。」
「恵も結構頑固だもんな。」
「マッキー様!あそこにも武器屋がありますわよ?」
「うわ!!」
ものすごい鳥肌が立つ。マッキーを様で呼ぶのはまだ我慢出来たが、『わよ』は大ダメージを受けた!!
元おっさんは完全な乙女になっていた!!
「何だ!!恵!!急にでかい声出して!!びっくりしたぞ?」
「あ、ごめんな。ものすごい悪寒が走ったんだ。」
「そう言ってやるなよ。恵のせいで女の姿になって、私のおかげで女の喜びを知って、今生まれ変わったんだからな!!」
「はいはい。」
俺達はくだらない話をしながらギルドに入る。
造りは人の世界と変わりない。ただ、広いし、とても清潔感がある。ムキムキの野郎が屯しているという感じではなく、どちらかというと、女性が多い?美しいスタイルの美女ばかりだ。
「ほえぇぇ。魔族の女性は綺麗なのが多いな。レイちんが群を抜いて綺麗だけど、それでもこの場には美女以外存在しないな・・・。」
「あなた達、人族よね?こんな所に来るくらいだから相当腕が立つんでしょう?どう??」
魔族の女性がテーブルで腕相撲を楽しんでいる。そこに俺達を招待してくれる。
フラフラと近づく俺に
「おい、恵・・・まさか参加しないよな?な??」
「え??招待されてるんだぞ?やらないと損じゃない?」
「ふふふ、僕がそう言ってるんだから彼女は黙っててね。」
俺のことを僕という。まぁ、魔族の方々は見た目に騙されるほど凄い年齢の人が居る。レイもそうだけどウン千歳とかザラだし。
「恵に勝てるわけ無いだろう?やめとけって!!」
マッキーは魔族の女性を止めようとする。
「あら??あなた・・・そんなに彼を他の女性に触れさせたくないの?まぁ〜。」
小馬鹿にしたような目と微笑み。ちょっと挑発が入ってるね。ギルドの中の女性の戦士たちが笑い出す。
「何もないのに腕相撲なんかやっても面白くないだろう?」
マッキーが魔族の戦士たちを嵌めるように挑発する。
「何もない?賭けなんかどう?もちろん自身に賭ければいいんじゃないかしら?」
「何を賭ける?お金??」
「私達は戦士よ。賭けるものは金と・・・命!!」
そんなことを言いながらテーブルに右肘を置き、手をこまねいている。
「命をかけるの?負けたら死ぬってことでいい?」
「いやいや、死んだら面白くないでしょう?私はあなたのような可愛い奴隷が欲しかったのよ〜。」
「奴隷か〜。いいね〜。お姉さんが負けたら俺の奴隷ってことだよね?」
「あはははは。この子、私に勝つつもりよ。」
周りの戦士たちがドッと笑い出す。そして金を賭け始める。
「エデュに3G!」
「エデュに1G!!」
「「「「「エデュに・・・」」」」」
どう聞いても賭けが成立しない。魔族の女戦士にばかりかけている。
「ほい。メグミに1P」
「な!??」
マッキーがテーブルの上に投げた白金貨。
全員が驚く。この世界でなかなか見ることがない1Pという大金。
「ほら!!これに私が勝ったらここに居る女達は全員私のものでいいよな?」
「アハハハは!!ハッタリかしら??どこからパクってきたか知らないけどこんな大金どうするの?賭けてしまったら引くことが出来ないわよ?」
「何で引くんだ?恵が勝つに決まってるだろう?こいつに勝ちたければミシュラを連れてこないといけないぞ。」
「み!!ミシュラ???」
全員が席を立って怒りの形相を見せる。
「マッキー。その名前出すときは注意って昨日言ったけどな。面倒に巻き込まれるから。」
「貴様!!この国の皇后に向かって呼び捨てとはどういうことだ!!」
「なんだ??いきなり喧嘩腰だな!!まずは恵とそれで戦って勝ってからほざけ。それまでお前らの言うことなんか聞いてやらん。さっさと腕を折られてしまえ!!」
「お前ら!!奴隷にした後で聞き出してやる!!」
俺の手をがっちり握って俺を睨んでくる女の戦士。
「俺は左利きだから。ハンデってことで。」
「あ??何だって??貴様・・・愚弄する気か?」
「愚弄はしていないよ。ただ、か弱い女性に本気出すのもね。だからほら、頑張って。」
「レディ!!」
「GO!!」
ガツンと俺の腕に力が加わる。だが全く動く気配はない。
「ぐぐぐぐ・・・」
真っ赤になり、顔中に血管が浮いている魔族の女戦士。
「何やってる!!」
「遊んでないでさっさとやれ!!」
「ポーズはいらんからな!!」
「さっさと仕留めろ!!」
など外野がうるさい。この女戦士は力自慢なんだろう。今まで負けたことがないほど自信があったはず。それをこんな弱そうな人族を相手にこんな思いをすることになろうとは・・・そう感じているはずだ。
「恵。いつまで遊んでいる?そろそろ腕を折ってやれ!!私が許す!!さぁさぁさぁ!!」
眼を輝かせて俺に女の人の腕を折れというマッキー。
ガチャ!
「ふふふ。こんな所にいたんですね・・・。」
後ろの扉が開き、俺に声をかけてくる女性が・・・。