ギルドにて
登場人物おさらい
メグミ、恵くん、主・・・それぞれレイ、田村さん、デュランの俺を呼ぶときの名称。ちなみに本名は吉永恵(16歳)
レイ・・・魔王を弟に持つ魔族の超絶美人。非常に強い。物理攻撃特化。賢いが抜けていて危険と弟に言われている。
デュラン・・・俺のスキルから生まれた何でも願いを叶えるランプの魔人。見た目とは裏腹に非常に人の気持ちを汲めるいい男。顔は怖いけどね。
田村さん・・・俺の幼なじみで昔憧れていた存在。異世界では最強の職業勇者をやっている。レイとは犬猿の仲。最近俺に気があるのかと思ってはいるが気のせいだということにしている。
ギルドのデッカイおっさん・・・俺がこの世界に降り立った最初の日に俺に蹴りを食らわせてギルドから放り出したおっさん。その後、レイにボコられてそれ以来『姐さん』と言って慕っている。ファンクラブ運営の中心人物と思われる。以前レイにアイアンクローされて天に召されそうになる。
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和気藹々と話しながら歩いているとあっという間に街に着いた。
「ノート拝見〜」
ダルそうに門番が連呼している。
まぁ毎日これやってればそうなるわね。
俺達のノートを見ていく門番、レイに気づいて
「レイ様ですか??ご本人様ですよね!!いや〜〜写真も美しかったがまさかご本人様に出会えるなんて!!すみません!!この鎧にサインください!!おねがいします。あと、握手してください!!」
興奮気味に話す門番を見て、眉を漢字のハの字にするレイ。相当困っているようだ。
ゴソゴソサインペンらしきものを出す門番に渋々胸のところに『レイ』と書くレイ。
「サインしたことありませんが、こんな感じでよかったですか?」
門番を見つめているレイ。
「最初のサインですか??本当ですか!??俺これを家宝にします。やった〜〜〜〜〜!!」
飛び跳ねながら向こうに走っていった。
あまりの嬉しさに握手の事忘れてやがる。
『初めてのサイン』の一言を聞いた他の門番たちがそのサインをもらった門番を全力疾走で追いかける。
あ、追い剥ぎ状態になっているがここは見なかったことにしよう。
うわ!!あいつら剣まで抜きやがった!!
こんなことで犯罪者になるなんて、アホでしょ?
さて、気を取り直したいんだけどレイに気づいて人だかりができてしまって動けない。
これはマジでサングラスとマスク、大きな帽子がいるね。
そうこうして困り果てていると人だかりの外から
「こら!!レイ様にご迷惑をかけるんじゃない!!それがファンクラブの掟なのだ!!さっさと解散しろ!!さもないと実力行使するぞ!!」
大男たちが威圧しながら民衆を追い立てていく。
それはそれでかわいそうなんだけどね。
レイは顔色が悪い。もう、疲れ果てているようだ。すごく気の毒だ。
「レイ様、申し訳ございません。どこに行かれるのですか??我々が護衛して必ずその場所に連れて行きます。」
自信たっぷりの男たちは胸をドンッと叩く。
胸にナンバリングされているんだけどその番号何?
そう思って俺が大男の胸を見ていると
「このナンバーが気になるのか??これはファンクラブ会員証のナンバーと同じモノが刻まれている。言わば、我々の誇りだ!!数字は若ければ若いほど階級が上!!というわけではないがファンの間では尊敬されるバロメーターにもなっている。どうだ!!?お前も欲しかろう??今ならギルド受付でファンを募集しているぞ!!今いけば5万代くらいには入れるんじゃないか??」
はい??5万??さっきレイリーは1万って言ってたよね。なんでそんな勢いで増えてるの??どこにそんな敏腕マネージャーがいるの??
そう思っているとレイがよろめいた。慌てて支える俺。それを見て大男たちが
「貴様ずるいな!!なぜそこに立っている??レイ様が倒れる方に貴様ではなく我々がいれば我々が・・・」
涙を流しながら歯を食いしばる大男たち。拳を握って震えている。
ただ、そこまで悔しがらなくても・・・。
なんかごめんね。でも俺の伴侶なんだよ。
なんか熱狂的すぎてマジ怖いな。
ヤバイ宗教の始まりはこんな感じなのか?
「ギルド行かなくちゃ、はやく・・・。」
レイがつぶやくと
「かしこまりました!!レイ様を必ずやギルドにお連れします!!」
いや、見えてるよギルドの建物。
そう思いながらも大男に囲まれてギルド入り口まで行く俺達。
「レイ様が来てくださったぞ!!」
バ〜〜〜ンと勢い良く扉を開きながら言葉にする大男たち、皆がこちらを向いて大歓声を上げる。
「「「「うわぁぁ〜〜〜〜!!!!!!」」」」
「「「「うぉぉぉぉ〜〜〜〜〜!!」」」」
壁がビリビリ音を立てている。それほどの大音響。
失礼しました。と言って踵を返して帰りたい気持ちでいっぱいだ。
そんな感じでオロオロしていると奥から見覚えある大男が
「これは姐さん、どうですか??ファンクラブの運営、すごく順調です。この調子でいけば1年後には念願の世界征服もできますよ。」
恐ろしい計画になっているではないか??レイの願いは世界征服したいことになっているらしい。
宗教ではないなもう、征服とか言ってる時点でテロだ、テロ。もしくは革命だ。
「ア、アノ・・・マコトニモウシワケナイノデスガ・・・コレヤメテモラエマセンカ(あ、あの・・・誠に申し訳ないのですが・・・これ止めてもらえませんか)??」
なんか力なさすぎて、か細い声過ぎてレイらしくない。
こんな事態になるなんて思っても見なかったんだろう。
ふらふらと前に出るレイ。
「気分悪いのですか??それなら、お前たち!!」
「「「はっ」」」
何人かの男がどこからともなくベッドを運んできた。
ここに寝転べと??恥ずかしすぎるだろ。乙女心のわからん奴らの集団か??
そんなところにレイが入るわけあるか!と思っていると
「シツレイシマス(失礼します)。」
ってレイがベッドに入っていった。
ヤバイくらい病んでいるな。
『ちょっと時間止めて、デュラン。』
うるさかった世界が静かになる。
「止めてやったぞ??動けるのはレイと主とそこの田村さんだけだ。」
忖度最高ですよ!!
ゆっくり布団をめくると、レイが泣いていた。
「レイ??宿にいこうか??」
涙目で俺を見てコクコクと頷くレイ。
俺はお姫様抱っこしてゆっくりギルドを出た。
田村さんが何故かこっちを凝視し続けている。そんなに見なくてもいいのでは?
そのまま、キープしてあった宿に連れて行き、レイを部屋のダブルベッドに寝かしつけた。
ショックだったんだな。涙の跡を付けて眠るレイ。
「ちょっと、あなた達、ダブルベッドで2人で寝てるの??それって・・・」
田村さんが横目で睨んでいる。俺達夫婦なんだからいいじゃない。
とは言えないから、俺はソファーで寝ています。と嘘をついておいた。
「時間動かしても大丈夫か??多分、レイがいなくなって騒ぎになるぞ。」
面倒臭いがなり得る危惧を口にするデュラン。それもそうだな。
『探さないでください。 byレイ』
レイの文字ではないが、そう書いたメモをギルドに戻りそこにあるベッドに入れておいた。
これでアホなファンは何とかなるでしょ?
後はこれからレイをどうやって外を歩かせるかだな。
やはりサングラスにマスクか?
下らない思案をしながら肝心なことを忘れていることに気づかない俺達だった。
登場人物おさらいは基本的に出てくる人の分しかありません。
もし忘れていて思い出せないなどありましたら言ってください。
編集しておさらい出来るように足しておきます。