マッキーとケイ
「なぁ、めぐみ〜〜〜!!ど〜〜〜こ〜〜〜〜だ〜〜〜〜??」
ものすごい大きな声で呼ぶマッキー。君はあれだろ?モノを探すスキルを持っているだろ?
俺はマリスタンの家の窓から外を覗く。俺がマリスタンを捕まえた場所に約束通りいるみたいだ。
俺はマリスタン夫婦に別れを告げて、慌てて外に出てそこに向かう。
「こら〜〜!!恵〜〜!!私は認識できているけどな!!スキルが認識しないんだよ!!だからどこかに行かれると見つけられんのだ!!どう責任を取る?」
責任問題にまでなっている。ふと横を見ると綺麗な格好をしている元おっさん、ケイがいる。
「ほうほう、見た目キレイだから服も綺麗にすると見違えるな。元おっさんというのがなければ良かったんだけどな・・・。」
「元おっさん、元おっさん言うな!!勝手に女にしておいて!!」
『デュラン・・・』
「ぷ・・・はははははははは!!」
「く・・・ククク・・・あはははははは!!」
元おっさんからおっさんに戻してみる。綺麗な女性用の服を着たおっさん・・・。
「「あはははははははは!!」」
腹を抱えて笑い続ける俺達。ケイはフルフル震えている。道を歩く魔族の方々はその姿を見てヒソヒソ言いながら、笑いながら、指さしながら通り過ぎていく。
「おまえら〜〜〜!!」
ケイが怒りだした。
『デュラン・・・』
「お前らマジでふざけ過ぎだぞ?俺の身にもなってみろ?恥ずかしいだろ!!」
真っ赤になりながら怒るケイ。美女だとイラッとこないからいいよね。おっさんのままだったら殴っていただろう。
マッキーは綺麗に舗装された街道をバンバン叩きながらまだ笑っている。
「はぁあ・・・おもしろ・・・。お腹いたいわ。殺されるかと思った。」
マッキーがやっと笑いの地獄から帰ってくる。
「で、収穫は?」
ケイが真面目な顔で言う。
「ん?収穫??なんの?」
「はい??何でここに来たんだ?」
「え?あんたの装備を整えにだろ?ここなら相当いい武器もあるだろう?」
「へ?装備??」
マッキーがアホそうな声を上げる。
「え?何買ったの??」
マッキーが目でケイの姿を上から下まで見る。
「マッキー・・・まさか・・・服買っただけ?」
「ウッ・・・」
「服だけならどの街でもいいじゃない?装備のいいものを買うために来たんだろ?もしかして・・・」
「断じてアホじゃないからな!!レイちんと同じように扱うなよ!!」
「お前ら2人はアホだろう。私からすればアホだ。アホもアホアホ、大アホだ。」
「大馬鹿は聞くけど大アホは初耳だな。」
「ガキのくせに大人ぶりやがってムカつくな。」
「まぁ神と比べればガキだわね。歳も若いし!長く生きていても大半酒に溺れていれば進歩も何もあったもんじゃないけどな。」
マッキーが正論でケイを潰しにかかる。
「マッキーは凄いよな!!その返しをすぐに思いつくところが!!尊敬するわ!!」
あれ??ケイが怒らずにマッキーを絶賛しているぞ。なんで??
「もしかして・・・ケイってマッキー好きなの?」
「な!!」
真っ赤になるケイ。あれ??図星??
「本当か??私の事好きなのか??」
何故かうれしそうに聞き返す。
「もしかして・・・マッキーって・・・おっさん好きなの??」
「グッ」
君も図星か〜〜〜い!!
「おっさん好きなんだけど、それを崩した恵は最高なんだよ!!もうなんて言えばいいんだろうな〜〜。最高なんだよ!」
俺に向かって最高最高言っているマッキーを見てケイが涙目になっている。
「初体験のこのもやもやは何だ??こういう時どうするんだ??なぁ!!教えてくれよ!!」
ケイが俺を睨む。
「あんた・・・神だろ?人に物事を教わらんでもわかるんじゃないのか?」
「ハン!!そんなに出来た存在なら酒に溺れませんよ〜。」
こいつ・・・開き直りやがった・・・。
「ケイ・・・そのもやもやは・・・嫉妬と言うんだよ。」
マッキーが普通に教えている。なぜ嘘を教えない。真面目か?
「恵・・・嘘教えろって思っただろ?それは私には出来ない。女の子の相談に全力でぶつかる。それが私の仕事なんだな・・・。」
「これが嫉妬か・・・。そうか・・・。初めて知る感覚だ。もっと色々知りたい・・・。教えろ!!恵よ!!」
ケイが俺に向かって名前で呼んでいる。
「何で俺が?そういうのは他でやってくれ。自分で経験して自分で解決しろ。いい年したおっさんだろ?」
「おまえな〜〜〜!!おっさんおっさん言うなや!!女にしといて言うなや!!生まれたてだぞ??女として生まれてまだ1日も経っていないんだぞ??若いだろ!!?え??」
「なんか面倒だな・・・。マッキー・・・こいつの相手しといてくれる?」
「ん?食っていいのか?」
「女同士だよ?」
「綺麗なら気にしない。私はそういう存在だからな。」
マッキーはバイなのか・・・。俺もそういうの気にしないから・・・好きにすればいい。