ミシュラの暴走
「数値は覚えておいてね。上がっていないなら意味がないから。元に戻すつもりだから。」
俺達は今、俺の屋敷の訓練部屋にいる。実はそこにはレイ達がいる。ミシュラも、そして女性陣のほとんどが。
「メグミがいなくなったけどどうする?探す??置き手紙に探さないでって書いてるけどさ・・・。」
レイが全員の意見を求めている。
ミシュラも落ち込んでいるのか下を向いて動かない。
「じゃぁ、マッキー・・・今からこの空間の壁を取っ払って広く使えるようにする。といっても、その広くなった部分は俺達しか入れない。話し合いの邪魔をしてはダメだからね。」
「私は恵を殺しにかかればいいんだよな?」
「そういうこと。ここでは誰も死なないから真剣に、本気で殺す気でかかってきてね。もし、俺を殺すことができたら・・・」
「できたら??」
「子作りどう?」
「ヤル気出た!!強くなって恵を殺して犯してやる!!」
「マッキーはもう少し言葉を慎みなさい。」
俺達の厳しい訓練が始まる。
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「ちょっと!!お母様??いつまでそうしてるの??シャロンも!!そろそろ生き返ったら?」
私はシャロンの頬をペチペチ叩きながら言うけど、全く反応しない。お母様も目が死んだままだ。
ちなみにジュディ老師はただいま出産中。産んでもお父さんが居ないと嘆きながら産気づいていた。
「レイ・・・どうする??向こうで会えると思うけど、その時どう話をするの??」
「そうだね〜。私達は向こうにさえいけば家があるから会えると思うけど。お母様やシャロンはどうにもならないものね。」
私の言葉に
「じゃぁ、レイリーに頼みます。レイリーの力があれば向こうに扉をつなげることが出来ますから。」
眼を輝かせて無茶苦茶力技に出る気満々になってる。
「私はそもそも向こうに自由にいけますからね。どうとでも出来ます。いざとなれば権限を使ってあの通路に恵様を閉じ込めます。」
シャロンが恐ろしいことを言い始めている。言うこと聞かないなら拉致監禁するらしい。フフフフと笑って本当に怖い。
「ちょっと!!あなたたちのせいでしょ??恵様がいなくなったの。それなのにその無茶苦茶な考え、行動起こした瞬間に願いで潰されるわよ?」
「恵さんはそこまでしませんわ。私を愛してくださっていますから〜。」
「恵様が私達に仇なすわけないじゃないですか!!あの方の宝を私達は預かっているんですよ!!」
聞き方によっては人質がいるから大丈夫と言っているように聞こえる。シャロンがちょっとサイコさんになり始めている。
「二人共!!その言い方はやめたほうがいいわよ。どう聞いても子供を人質に使っているように取られるわ。」
「そんなふうに取るのは僻みからかしら??」
何故かお母様が今までにない嫌な言い方をする。
「ちょっと!!ミシュラ!!聞き捨てならないわね!!表出なさい!!」
「やっちゃん!!ここでいいと思うよ。」
外でやりあえば死ぬでしょ。だから小さい声で忠告する。
「イライラしているからって当たり散らさない!!そういうの一番嫌われるわよ!!恵様に!!」
ハウンの一言で全員が黙る。
ものすごい険悪なムードがこの場を支配する。とても重苦しいし、数名は恐ろしさにガクブルしている。
「なんか女だけだとこの環の維持は無理ね。殺し合いになりかねないわ。」
立ち上がって訓練部屋を出るやっちゃん。それに続いて出て行くハウン。この場が怖いものもそのまま逃げるようにやっちゃんに付いて行く。
「お母様、やっちゃんに謝ってください。さっきの言い方はさすがにダメだと思います。」
ふてくされて床に寝転がるお母様。もう大人の態度ではないな・・・。そんなお母様・・・見たこと無い。
シャロンも立ち上がって部屋を出る。
「あ!大きな力のぶつかりを感じますわ・・・。」
いきなり起き上がって遠くを見るお母様。
でもこの空間は壁があって遠くにいけないはず。それでも壁を撫でながら向こうを気にし続けるお母様。
「向こうに誰か居るわ・・・。戦ってるみたい・・・。でも向こうなんてないわ・・・。どういうこと?ねぇ、レイ・・・デュランに頼んでくれる?この空間の壁を取り払うように・・・。」
お母様は壁を撫でながら何かを探しているが壁が邪魔をしてどうにもならないようだ。
『デュラン・・・』
いきなり壁が消えてお母様が思いっきりぶっ倒れている。ビッタ〜〜〜ンという音が空間に響く。それを聞いてダリアが笑いをこらえて頑張り始める。
「いった〜」
鼻を押さえて立ち上がるお母様。自分でコケると痛いんだ・・・。
「ここに居るわよ・・・誰か居るわ・・・。でも・・・認識できない。なんででしょう?」
体を大きくし始めるお母様・・・。今までに見たことないくらい大きな体。あまりの恐ろしい力に空間がビリビリ震え始める。体から青白いラインが切れてパラパラ床に落ちていく。コレって封印の模様なんじゃ?
「おぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・」
「ちょっと!!何事??」
異常に気づいたやっちゃんたちが走って戻ってくる。
「なにそれ??ミシュラ?こんなになるの??」
やっちゃんはお母様の大きさにびっくりしている。大きさは・・・向こうの世界にある高層ビル並み・・・。その大きさの人型の化物は恐ろしいほど禍々しい力を垂れ流し続ける。そして・・・溜めるの??力を溜めるの??ものすごい力が拳だけに収束していく。
大きく振りかぶって拳を振る・
その瞬間に壁がないはずの空間が歪む。
ズズン・・・
ものすごい遠くで何か音がする。その後、少しの時間をおいて嵐が起きる。そしてものすごい大きな地震がやってくる。
「これは・・・」
「デュラン!!衝撃が外に漏れないようにして!!」
『もう遅い!!かなりの犠牲が出ている。この国の大半の国が・・・後で戻す願いをしたほうが手っ取り早いぞ!!空間を維持するのに努める。何でこんなことをしたんだ?』
大地震が続く。こんな時間揺れ続けば・・・。