レベル上げときます。チョチョイのちょいとは行きませんが・・・。
対人はないに越したことはない。でも弱小俺はきっと誰が相手でも殺られちゃう。だから特訓なのだ。
この手の異世界物の御話は主人公はいきなり強いっていうのが定番のはずなんだけどね。
まぁ俺が読んだ奴はだけど・・・。
俺、すごく弱いんだけど。
今のライバルはスライム。
スライムって雑魚中の雑魚でしょ?
それに一度殺された?(レイ談)ことのある俺にとって戦闘はトラウマだ。
痛いし、疲れるし、そんでもって痛いし・・・。
もう痛いのが嫌なんだよね。まぁもうやられて死ぬことはなくなったはずだからいいんだけど。
ごめん、嘘です良くないです。痛いのには変わりない。
「なぁ主よ、モンスターこの辺にあまりいないから呼び出すか?『降魔の壺』くらい出せるぞ?」
デュランが言う。
「何この人、急に出てきて、降魔の壺くらい?それって激レアアイテムでしょ?」
田村さんが驚く。そうか、まだその辺の話してなかったな。説明が面倒なんだよね。
その前に降魔の壺って何??
「降魔の壺はね、蓋にレベルを書いて側面の顔みたいな部分を3回叩くの。コンコンコンってね。それで蓋を開けるとレベルに応じたモンスターが1匹から5匹出てくるの。ここが肝心なの。5匹も出てくることがあるってところが重要なの。ぎりぎりのレベルでそれをやって5匹出てきたら悲惨でしょ?しかも倒せないと周りの環境に影響も出るから気をつけて使用しないといけないの。この辺りでレベル50のモンスターなんか取り逃がした日にはギルドで討伐隊を結成しないといけなくなるから。」
簡単にわかりやすく説明してくれるレイ。ちょっと怖いアイテムだな。
「使い捨て??」
俺が聞き返すとレイが横に首を降る。
「じゃぁお願いしようかな?やばくなったら助けてね、レイ。」
目を輝かせて頷いている。可愛いやつだ。
「その願い叶えてやろう!!」
やっぱりあるんだその件。
そう思っていると何もない空間から1つのツボが落ちてきた。
「本物の降魔の壺??初めて見たからわからないわ。これ300万Gくらいするって噂だよ。」
マジか!!?そんなに高いのか??そりゃそうか、レベル上げるのが格段にやりやすくなる。
のんきな考えを巡らせていると
「兵器になるんだよ。ヤバイレベルのモンスターを呼んで空から落とせばどうなるかわかるでしょ?」
レイが恐ろしいことを俺に言う。
た、確かに!!この辺でレベル50でヤバイんだからレベル90のモンスターなんか呼んだ日には国が滅びるなんてこともありうる。恐ろしいアイテムじゃないか!!しかも回数が何度も・・・。究極に近い兵器だな!
でも、扱い方さえ間違わなければ大丈夫!!道具は使い様なのだ!!
そしてレイが言う、
「レベルいくらがいい??30くらい??」
この人は反省というものを知らないのか??この前、スライムで死にかけたんだぞ?あれ?死んだんだっけ?まぁどっちでもいいや!!そんなレベル無理です。そう思っていると
「それでいけばいいんじゃない??」
なに同意してんだよ!!田村さんは鬼なのか??挙手して俺が意見を言う。
「レベル2くらいでお・・・」
レイのやつ、俺の意見聞かずにアイテム使い出した。
壺の顔の目が光って蓋が取れる。
ドン!!ドン!!ドン!!
ドン!! ドン!!
これヤバイやつじゃん!!
「お〜〜ハイオーク5匹か!!運がいいね」
嬉しそうな声を上げるレイ。
いきなり5匹のハイオーク参上、俺惨状『オーイェー』じゃねえよ!!
韻踏んでいる場合じゃないだろ!どうするんだよこれ!!?それに全然運良くないだろ?
ピギュー、ブギャー、プビー
フゴフゴ、ガギューガヒュー、ビフビフビブ。
ハイオークが何かを話している。会話しているみたいに見えるし指さして指示しているようにも感じる。
そう思っていると5匹が全員俺を見て、ニヤリと笑ったように口角を上げる。
それ・・・ターゲットロックオン!!俺なんだね・・・。
そして5匹が全部オレ向かって突進してくる。
さよなら俺。
天を仰ぎ、そう思った瞬間、田村さんがハイオークを1匹右肩から腹に向けて切り下ろした。
ハイオーク1匹絶命・・・。
後の4匹が田村さんを見て驚いている。少し硬直している間にレイが3匹を触手で一瞬にして叩き潰す。
残るは1匹。もしかして俺担当??
「あなたその触手そんなに出るの?」
触手を出しているレイを見ている田村さん。
今その話している場合じゃないんじゃない?
俺死ぬよ。これ相手にしたら。
絶望の淵に脚をかけているとレイの触手がハイオークの足を掴み地面に叩きつける。
口や頭から血を流して悲鳴みたいなものを上げ続けるハイオーク。
手足も変な方向に曲がっている・・・。これはかなりキツイ。
「メグミ、頭刺しちゃえ!!」
そんな恐ろしいことを俺にさせるつもりだったのか??
スライムはいいよ。見た目が地球にいない生命体だから。切りつけてもそんなに罪悪感がない。
でもこれは、ハイオークは顔は豚だけど体はデッカイ人間と変わらんでしょ?
俺・・・哺乳類殺したことないんだけど・・・。
足をガクガクさせていると
「恵くんにはまだ無理みたいね。どうしよう??」
そんな感じの軽いセリフを横に来てため息混じりで言う田村さん。
触手でハイオークを抑えたまま俺の横まで歩いてくるレイ。
「メグミ、これは魔物よ。意思の疎通も慣れ合うこともできない魔物。殺らないと殺られるのよ。それがこの世界なの。だから今は無理でもいつかできるようになってね。じゃぁ目をつぶって・・・。」
そっと俺の剣を抜くレイ。そして俺の左手に持たせ、それにレイの手を添える。
そのまま・・・
ズブっ!!
手に嫌な感触が伝わってきた・・・。今まで感じたことのない感触。これに慣れていかないといけないんだ。目を開けるとすごい血だまりが俺の足元にある。これはちょっと・・・。そう思っていると吐いてしまった。
背中をさすってくれるレイ。
「ごめん」
俺が謝ると、レイは首を横に振る。
「そんな優しいメグミがいいの。」
優しい顔で俺にそう言ってくれる。ハッとして顔を赤らめる。可愛いんだけどオレ今それどころじゃない。
「いっつも汚いな、メグミは・・・清掃魔法」
いつの間にか出てきてたミドラが魔法で体を綺麗にしてくれた。
木陰で休み、俺はノートを手に取る。
あれでレベルが上がるのか?大半というより99%他人任せだったけど。
俺のやったことは剣を握っているだけ。しかも震えていたと思う。
なんか情けない。なんか涙出てきた。
そうして涙を拭って俺はノートを広げるのだった。
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