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願いで手に入れた伴侶が最強  作者: うぉすれや
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この旅の結末と地獄

俺をものすごい悲しい顔で見つめるミシュラ。いつもの笑顔はない。


「ミシュラ・・・。」


俺は全く気づいていなかった。ミシュラがあのことに気づいていることに・・・。


「ミシュラ・・・もしかして気づいていたんですか?」


シャロンが驚いている。


「ええ。気づいています。もちろんクルクもね。」


「どうやって??」


シャロンが俺も聞きたかったことを聞いてくれる。


「それは秘密です。それを言えば・・・私達の国の存在が危うくなりますからね?」


「恵さん。あなたの口から聞きたいのです。さぁ。」


ミシュラが俺の前に立って俺の目を見つめ続ける。


「・・・」


「言ってくれないのですか??」


ミシュラがものすごく悲しい顔をする。シャロンが固唾を呑んでいる。

俺は・・・


「そうだよ。ミシュラ。俺は何度もこの世界をやり直している。俺はずっと、みんなが思っている以上に長くこの世界をさまよっている。それを知っているのはごく一部。いつか皆には話そうと思っている。俺のしっているこの世界と俺達の世界の結末を。最悪の結果は回避したこともある。でも・・・俺の大切な人が死んでしまっていたり、消えていたり。それではダメなんだ。だから・・・何度も何度もやり直して今に至っている。」


「だから強さにこだわっているんですね・・・。始めはそんなことなかったのに・・・。」


ミシュラが涙を流し始める。


「あぁ、こだわっている。誰も死んでほしくない。だから・・・。」


「神々を救っているのもそのためですか?」


「そうだよ。ただ、最近会った神の存在は今までにないケースなんだ。もしかしたら彼が何かの鍵なのかも・・・。違うかもしれないし、もっと最悪のパターンなのかもしれないけど・・・。それが全然わからない。だから今もずっと困っている。」


「なぜ今までそれを黙り続けていたんですか?」


「言えば不安が伝播するし、漏れれば対策を立てられる可能性もある。そうならないように願いを何重にも張り巡らせてはいるけどそれが絶対とは言えない。だからわかってほしい。まだ・・・誰にも言わないでと。」


俺を抱きしめるミシュラ。


「何度もつらい思いをし続けたんですね・・・。私もわからない地獄をずっと歩き続けたんですね・・・。」


ミシュラの言葉にシャロンが泣き始める。


「ごめんなさい・・・。それなのにやり直しを責めたりして・・・。」


「地獄か・・・そうだね・・・。地獄だね。愛する人を何度も失って、そのたびに絶望して・・・。」


俺は泣き崩れてしまう。


「最初合った時にあなたのことをなんて脆そうな人族だろうと思ってしまいました。2度めにあった時にはその感じをいきなり受けなくなった。そして会うたびに雰囲気が変わっていく。どれほどの時をやり直せばそうなってしまうのか・・・。支えることが出来ず・・・ごめんなさい・・・。」


ミシュラが泣きながらずっと謝っている。


「謝らなくてもいいよ。好きでやり直しているんだから。地獄でも・・・諦めて誰かを犠牲にしたらもっと凄い地獄が待っている。それだけは避けたい。その誰かのためにも、そして自分のためにも。」


「それなら私も強くなります!!必ずミシュラと肩を並べるくらい。そうすれば道が開けるんですね?」


シャロンが涙を拭いながら俺にくっついてくる。


「正解が全くわからない。やり直してこれでいいと思っていたらもっと大きな絶望を感じてしまったり、ダメだと思ってたらそうでもなかったり。正解が全くわからない。シャロンが強くなっていい結果になるかもしれない。でも・・・悪い結果になるかもしれない。ただ、言えることは今の俺はまだまだ弱い。アイツを始末するには今のままでは・・・。」


「あいつとは??」


ミシュラが名前を聞きたそうにする。きっと言えばソイツを殺しに行くだろう。だがそれは一度やっているのだ。その結果、ミシュラが死んで、もっと悲惨な結果になった。それだけではない。ラスボスが変わるのだ。ソイツを倒せてしまった場合でもソイツがいないまま進んでいき、ラスボスが身内になったりして取り返しのつかないことになるのだ。それを何度も失敗しているのでソイツの話は今出来ない。


「ミシュラ・・・名前は出せないんだ。出したせいで君が死んで最悪の結果になったこともある。」


「最悪の??」


「ああ。最悪の結果だ。あれは二度とゴメンなんだ。あれはもう一歩間違えば、やり直しすら出気ない結果になるところだった。だから名前は出してはダメなんだ。」


「ミシュラが殺されるってことですか?」


「そんな・・・生易しいものじゃ・・・」


これ以上言えない。言えば・・・ミシュラやシャロンは誰だかわかるだろう。


「もうこの話は終わりでいいかな?これ以上聞かれるとボロが出てしまいそうだ。」


俺は宴会の会場に戻る。おチビ2人も眠っている。この二人の歩む世界にこの場にいるものが誰もかけることなく進むことは無理だろう。それでも・・・俺の守りたいものだけでも全員生存してくれさえすれば・・・。俺はきっとそのままハッピーエンドと割り切って進める。エゴなのはわかる。死んだものからしたらたまったものではないだろう。

俺は自分の守れる範囲のものしか守れない。欲張れば必ず・・・後悔する。すべて生かし誰も犠牲を出さないという結果が一番だけど・・・そんな虫の良い話はない。それが俺がやり直しの地獄の中で感じた事実。


何でも願いが適うのだから願いで済ませようとしたこともある。それすらいい結果が出なかった。


「俺が自分の力で必ず・・・。」

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