かんぱ〜〜〜〜い!!
「さぁ!!皆さん!!今日は記念すべき私が殺された日でありますわ〜。」
風呂あがりの俺は両手を広げてベッドの上で宣言しているミシュラを見てしまう。
「ミシュラ・・・何その予行演習・・・。」
俺の唖然とした顔を見て顔を赤くするミシュラ。
「え、いえ・・・あの・・・宴会の最初の言葉を練習していまして・・・。」
俯いて耳まで真っ赤になるミシュラ。
「記念と殺されたの繋がりが見えないから辞めておいたほうがいいと思うよ。やっぱり記念って言うからにはハッピーな方がいいじゃない?」
「そうですね・・・語呂も悪いですし・・・。」
横にいるクロエの口元がピクピクして今にも笑い出しそうだ。それでも必死にこらえるクロエ。限界が来たのかフルフルして向こうに走って行ってしまう。
「ミシュラ・・・そろそろ準備が終わる頃だから一緒に行こうか。おチビ達も連れてさ。」
いつもの笑顔に戻っておチビ達の部屋に走っていく。
数分で2人を抱っこして俺の元にやってくる。
「準備出来ましたわ。行きましょう。」
「それでは!!シャロンの大金星を祝して宴会を始めま〜〜〜す!!」
レイが俺の椅子の上に立って音頭を取っている。
ミシュラのアレよりは断然に良い。
「かんぱ〜〜〜い!!」
皇帝の間にはものすごい数の人がいる。というより気づいたのだが・・・変に広くない??
いつもの10倍位の広さになっているように感じるんだけど・・・。
「ミシュラ・・・俺の勘違いならそう言ってね・・・。なんかこの部屋おかしくない?」
「ええ・・・いつもより・・・かなり広めですね・・・。」
その場には相当な数の人々が立食している。だれ??こんなに人を呼んだの・・・。
「メグミ!!皆招待しておいたよ!!ものすごい快挙だからね!!お母様を倒すものが現れるなんて!!」
シャロンをグイグイ押しながら俺の前にやってくるレイとそれに付いて来るやっちゃんとハウン。魔物っ娘も、魔物っ娘を卒業したダリアも、最近吸収されたヴァンパイアたちも楽しそうに訳もわかっていないであろう笑顔で楽しんでいる。俺の影武者をやっている魔物たちは俺の姿のまま食事している。背中に『偽物』と張り紙をされて・・・。
「公然と影武者をこの場に出しているのはどうかと思うんだけど・・・。」
俺の言葉を聞いて
「意味が無いですよね〜。ふふふふふ」
笑いながら同意しているミシュラ。
「やぁ!!お母様!!聞きましたよ!!死んだそうじゃないですか!!そんな吉報を聞くとは思いませんでしたよ〜!!」
レイリーが嬉しそうにミシュラの前で笑っているが親が死んだ吉報ってなんだよ!!
「いやいや、まさかお前がやられるとはな〜。その倒した豪傑はどこに?」
お父様まで嬉しそうだ。なんで??
「シャロンが私を殺しましたよ〜。大したもんでしょう〜??あなた達も負けていられませんね〜。今からどうかしら〜?」
その言葉を聞いて踵を返して逃げようとするレイリーとお父様。俺に双子を預けて2人の後ろ襟を素早く掴んでそのまま訓練部屋に引っ張っていこうとするミシュラ。
「ややややや!!!お母様!!冗談が過ぎますって!!ははははは」
「チョチョッちょ!!待ってくれ!!私は隠居の身だぞ?流石にな〜〜〜」
2人で顔を真っ青にしてアタフタしている。
「兄さんも早く止めてくださいよ!!これは洒落になりませんって!!」
「恵くん!!今すぐ止めてくれ!!たのむよ〜〜〜。」
涙目でジタバタしながら俺を見つめる2人。
「あはははははははは、本当に面白いわね〜。」
お腹を抱えてわらいだすミシュラ。周りがかなりヒイている。
「ほんとに止めてください。チビリそうになってしまったじゃないですか・・・。」
レイリーが服を整えながらミシュラに目を合わせずに文句を言っている。お父様は何も言わずにもう消えている。そのままレイにハグしようとして回避されている。懲りない人だな・・・。
「恵様!!」
綺麗なドレスを着て俺の前にいるシャロンに
「綺麗だね。」
というと真っ赤な顔で俯いて何も言わなくなってしまう。
「シャロンはこの宴会の主役だよ。なにか言ってよ!!さぁさぁ!!」
いきなりの無茶ぶりもいいとこだな・・・。シャロンが滅茶苦茶困っているじゃないか。
「無理言うなよ。シャロンが困ってるじゃない?人に嫌なことをしちゃダメだって言ってるでしょ?」
「なによ〜〜!!私だったらお母様をぶち殺した功績をあの椅子の上に立って高らかにお話してあげるけどね〜。」
俺がいつも座っている皇帝の椅子を指さして俺に反論するレイ。横のやっちゃんとハウンも頷いている。シャロンは君ら3人とは違うんです!!
「俺は今シャロンとお話しているから3人は向こうの偽物とお話しておいてください。」
俺の提案にブーイングしている3人。
「私もさすがにそれは嫌ですわ〜。」
そういうミシュラに3人が抱きついている。そのまま4人で食事をしに行ってしまう。
俺はキョロキョロ周りを見渡す。二人っきりではないものの聞き耳をたてている人物のいないみたい。
「シャロン・・・聞きたいんだけどさ、いつからレベルが無くなったの?」
俺はシャロンに聞きたかったことをストレートに聞いてみた。
「えっと・・・。管理者を大量に産んでからですね。その瞬間かどうかまではわかりませんが何かの時にノートを開くとレベルがなくなっていました。だからそうなった理由はわかりません。」
頭をかしげながら俺に答えてくれる。
「レベルがないのね・・・。シャロンちょっといいかしら?恵さんも・・・。」
いきなり俺の後ろに現れるミシュラ。びっくりした〜〜〜。そのままミシュラが俺達を外に連れ出す。俺・・・おチビ達を抱いたままなんだけど・・・。