シャロンの眠る力
「で、シャロン。本物にあってどう?」
俺の問に対して興味を持ったミシュラ。眉がピクッと上がる。
「本物?私のことですか?まさかシャロン・・・。恵さんに失礼なことを言ったんじゃぁ〜」
この世界に来て大気が『ゴゴゴゴゴゴゴ』という音をさせるのを初めて聞いた。
その圧力にブルブルしているだけのシャロン。
「あああああ」
シャロンが何も言えなくなっている。
「さぁ答えなさい。神のもとに帰ることになりそうですけどね・・・。」
立ち上がりシャロンの前に歩いて行く。これはヤバイ感じだな。
「ミシュラ。しらないことを疑うのは普通だよ。怒ることではないと思うよ。」
俺の言葉に怒りを沈めるミシュラ。
「ふふふふふ。おやさしい。疑われても怒らないなんて。」
俺はさっさと話題を変える。
「アッシュ。ところで、昨日の話だけど・・・。どうする?」
「特訓の話か?受けようと思っている。先生は・・・誰でも構わない・・・。」
「やっちゃんが良かったんじゃないの?」
「いや・・・。我侭を言える立場じゃないと昨日思い直した。クルクとも話をしてな。」
何を話ししたのかわからないが、考えを変えるほどのことがあったんだろう。クルクはいいやつだ。それほどの影響力がある。
「シャロンはどうする?アッシュは強くなろうと思っている。きみは?」
「アッシュ様ですら強くなろうと思うほどここの方たちは強いのですか?」
シャロンはアッシュの決意を聞いて心動いている。だが・・・シャロンは俺達の強さを全く知らない。
「強さを知らないことも疑いへ繋がってしまいますものね・・・。あの空間で死ぬほど鍛えてもらえば?シャロンも考えを改めるでしょう。ふふふふふ・・・。」
ものすごい笑顔のミシュラ。それを見てハウンが身震いしている。
「じゃぁ、行こうか・・・。俺はシャロンをいじめればいいんだよね?」
俺が椅子から立ち上がろうとすると、
「違うよ。それは私の仕事だよ?」
レイがニコニコしながらシャロンの腕を引っ張っていく。任せてもいいかな?死にはしないんだから。
そしてそのままアッシュの腕も掴んであの部屋に向かっている。最古の神々を同時に2人も?
「仕事がなくなったみたいですし・・・。恵さんは私とちょっとお話しましょうか?」
俺はミシュラに腕を引かれてミシュラの部屋に連れて行かれる。このままあの行為かな??
「楽しい時間にしたいのですが・・・。真面目なお話が・・・。」
「なに??」
「シャロンのことで・・・。」
「シャロンがなにかあるの??」
「ええ。あの子は・・・気づいていませんが・・・」
「なにかヤバイの??」
「ええ。ものすごく・・・。とても怖いスキルを持っていますから・・・。」
「時間と空間の神々だもんね。自分でも言ってたよ、誰も私とは戦いにならないと。」
「あの子がそんなことを・・・。気づいてるのかしら?」
「いや、ミシュラの言うヤバイとは違うみたいだよ。時間を止められるから〜とか言うんじゃない?」
「ミシュラはなにがヤバイっていうってるの?」
「時を超えられとといえば?」
「過去に行ったり?未来に行ったり??」
「ええ。それです。敵の過去に行ってそのものを消すとしたら?」
「怖いなそれ・・・。赤子で狙われたら・・・たまらん。」
「まぁ、我々神々は小さい頃がないから大丈夫ですけどね〜。人族であればね・・・。」
「まぁ俺は30億年戻ってこの姿だけどね。」
「ふふふふふ。それにあなたはデュラン殿がいらっしゃいますからね?」
おれはミシュラと真面目な話をして身ぐるみを剥がされて・・・。
「ミシュラ・・・。そろそろおチビ達がお腹をすかせてると思うよ。俺は先に行ってオシメを替えておくから」
俺はおチビ達のいる部屋に移動する。まぁそう言っても、すぐ隣の部屋なんだけどね・・・。
「可愛い・・・。ものすごく可愛い・・・。」
頬をつつくと指に吸い付くために口をチュパチュパ言わせながら突いた頬の方を向く。
可愛すぎ!!ヤバイ!!こんなに自分の子供が可愛いなんて・・・。俺・・・まだ18なんだけど・・・。
「恵さん・・・あまり突かないでくださいね。あまりそうやると・・・食いついてくるんですから・・・。乳首に・・・。」
ミシュラの防御力でも食いつかれると痛いらしい・・・。デリケートそうだもんね・・・。
「俺はあの部屋に行くよ。そろそろ死にかけてる頃だと思うから。」
部屋を出ると嫌な感じが伝わってくる。俺は走って特訓用の部屋に行く。
扉に向かって立つとものすごい殺気が漏れでている。この殺気はレイのものではない・・・。まさか・・・
「レイ!!」
俺の嫌な感じが的中している。
「メグミ??この子・・・急に化けたよ???なんで??」
レイ1人だけではなく、やっちゃんとハウンもいる。ボロボロの装備・・・この面子でこの苦戦?
「私を傷つけよってからに・・・許さん!!」
シャロンの変わりようにアッシュが腰を抜かして座り込んでいる。
「ななななんだこいつ??おかしいぞ??私より数段劣る戦闘力しか無いはずなのに・・・。なんで?」
「ミシュラが危惧していたとおりだな・・・。スキル以外にも化ける要素を持っていたんだな。まぁあの神々の量を生産するんだから・・・底に持っているものは凄かったんだろうな・・・。」
神々を作る能力の高さ・・・。数千という管理者を生産する能力。ハウンの力で4人が限界と言っていた。それを数千も作るのだから・・・ハウンの数百倍、数千倍??おそろしい・・・。
「お〜〜〜い!!シャロン!!落ち着け!!ご飯の時間だぞ?」
「恵様・・・。子供じゃないんですから・・・」
ハウンが呆れている。
「へ?ごはん??」
目に落ち着きを取り戻すシャロン。
「どうだった?特訓・・・。」
「恵さん!!この人たちひどいんですよ!!私を殺す気満々なんですから!!死ぬかと思いました!!というより何回も死んでますけど!!」
「まぁそういう訓練だからな。それにシャロンは開花してるじゃないか?ものすごく強くなってるぞ〜。」
俺の言葉に慌てて自分のノートを開く。
「うゎ〜!!なにこれ・・・。」
ものすごい驚きの顔で停止している。それをゆっくりつか付いて覗き込む悪乗り3人娘。
「神々って・・・レベル無いの?」
レイがハウンに聞くと
「いえ、あるわよ?・・・シャロンにはないわね・・・。でも数値が乗っているわ。それとスキルが分け解らないものばかりだわ。見たこと無いものばかり・・・。」
「レベル無いの??俺と一緒じゃない??」
俺が嬉しそうな顔をするとレイがムッとする。
「メグミの嬉しそうな顔を見ると・・・この女を始末したくなるんだけど・・・。」
「始末できなくて困ってた奴が言うな。勝てなかったんだろ?」
その言葉にシュンとするレイ。
「この空間だから倒せないんだよ!!普通なら100回は殺しているわ!!」
その大きな声で我に返るシャロン。
「100回ですって!!そんなもんじゃないでしょ?300回は殺されましたよ!!なんか怒りが沸々・・・。」
なんか険悪なムードが漂い始める・・・。
「おいおい、マジの殺し合いはご法度だよね・・・。ここでだからの話だよね??」
俺の怒りの声にレイがびっくりする。俺の殺気でシャロンも後ろに下がる。
「お前ら・・・本当にもう・・・一度全員死にまくるといい・・・。」
俺のモードが切り替わる。
「メグミ??ダメだよそれ・・・。」
レイが狼狽し始める。
「え??狂戦士??」
やっちゃんがジリジリさがる。
「ななななにそれなにそれ??」
アッシュがオロオロしている。俺の意識で確認できるのはここまで・・・。
「ウゴクモノ・・・スベテテキ・・・。コロス・・・コロセル・・・コロシ・・・タイ・・・」
「ごぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
・・・