俺達の世界で優雅に楽しく3
機嫌が悪くなるかと思ったけど移動するととてもそうは見えないくらい笑顔で俺に話しかけてくれる。
「なぁ、恵!!・・・」
「ほら!!恵!!・・・」
「あれはどうだ!!恵・・・」
俺と一緒にいろいろな魚の泳ぐ水槽の前でニコニコして話をしてくれる。とても楽しそうだ。
ひと通り見て、マッキーはハラ減ったと言い出す。そう言えば・・・昼になっているな・・・。
「恵・・・。私の知っている店がこのへんにある。行かないか??肉食べたいんだな。」
「肉??俺も好きだよ!!行こうよ!」
店を出て談笑しながら歩くこと10分。その間も笑顔で話し続けるマッキー。こんなに可愛い、素直な子だったんだ・・・。
店の前に来てマッキーと入ろうとすると
「申し訳ございませんが、お客様の入店はお断りさせていただきます。」
丁寧ではあるが俺達を突っぱねる店員。
「なんでよ!!私はマ・・・」
名乗りそうなので口をふさいで俺が店を出ようとすると後から入って来た男の人が俺達の後ろに立って待っている。
「この子たちを店に入れてやってくれ。一緒なら構わないだろう?」
「え?」
俺が驚いているとマッキーはもっと驚いている。なんで??
「富田様・・・。お知り合いですか??」
「ああ。」
俺は知らない。マッキーは知っているようだが今の姿からはマッキーとわからないはずだ。
俺達はその男の人たちと一緒の部屋に通される。俺の見た感じ・・・どう見ても堅気の人っぽくない。見た目はものすごいガタイのいい強面のヒゲの生えたおっさんだ。腕力に自信がない状態なら付いて行ったりしないだろう。
「さて、君が恵くんかな?」
俺のことを知っているようだ。なんで?
「ドーナツの店でマッキーの姿が変わった時はかなりびっくりしたよ。どうやったかわからないが・・・。」
「社長・・・なんで??あと、リッチーも・・・。」
社長??この人がマッキーの事務所の社長??ってか何で俺達の後ろから?
「悪いが後をツケさせてもらった・・・。マッキーの様子が変だったからな。」
マッキーの姿を俺が戻すようにデュランに頼むと見た目がマッキーになる。
「何で社長とリッチーが尾行してるんだよ?私は恵と楽しい一日を過ごしたいんだぞ??そこまでダメなのか?」
「ダメだな。どんな科学技術かはわからないが姿を変えてまで会う必要はないだろう?彼は一般人だ。週刊誌にでも撮られたら彼の生活がおかしくなる可能性だってある。」
社長がお茶をすする。
「ねぇ、マッキー。お付き合いしたいっていうのはわかるわ。なんかよくわからない魅力を感じてしまうし・・・。でもね・・・」
「な!恵は凄い魅力的だろ??ヤバイだろ??女ならわかるよな!!」
何故か目を輝かせるマッキー。話の途中で腰を折ってしまうのはどうかと・・・。
「わかるけど・・・。でも彼はまだ高校生よ?一緒にいれば学園生活もままならないわよ?」
「私が稼ぐからいいのだ。」
「「「良くない!!」」」
俺まで声を出してしまう。
「マッキー、さすがに俺は君に養ってもらう気にはならないぞ?一応男としてちゃんと職について妻子を食べさせたいと思ってるんだけど・・・。」
「最悪の話をしているだけなのだ。恵なら格闘家になれば誰でも瞬殺できるだろう?それで稼げば、問題なし!!」
出た!!マッキーの格闘家になれ作戦!!まだ諦めてないんだ・・・。
「それ・・・前からよく言ってるけど、彼はそんなに強いのか?どう見ても・・・」
俺の体をジロジロ見て
「強そうには見えないけどな・・・。うちのボディガードたちもそんなことを言っていたが。信じられないな。」
「恵〜〜!!腕っ節を見せてやれ!!この店を更地にしてやればいいのだ!!」
「人をユンボやブルドーザーみたく言うな。」
そのやりとりに社長の横に座っている女性、マッキーにリッチーと呼ばれている人が口を押さえて笑うのを我慢している。
「おまたせしました・・・。」
大量の肉が俺達の座るテーブルの上に置かれる。上品な店なのに積み上げた肉に上品さが欠片もない・・・。
「恵くんも食え。男は肉だからな。」
社長が網の上に大量に乗せる肉。少し焼けた状態で口に頬張る社長。それに続いてリッチーと呼ばれている女性も、マッキーも頬張っている。俺も負けてられない・・・。
「うま!!」
俺が声を上げると
「そうだろう。上品さの欠片もない肉だが旨いだろ?ふはははははは」
豪快に笑う姿は社長というより組長のようにしか見えないな・・・。
「なぁ社長・・・恵との付き合いを許可してくれよ〜。」
「ダメだ。容認できない。」
「何でだよ??何がいけないんだよ??」
「何がいけないってわかりきってるだろう??恵くんは一般人だ。お前は芸能人だ。一緒になれると思うな。男の芸人ならそういうのもいいかもしれないがお前はモデルであり女優だ。お前にはふさわしい男が必ず現れる。」
「じゃぁ、私辞める。」
ぷいっと顔を背けるマッキー。
「ちょっと!!何言ってるのよ??そんなのダメよ!!そんな簡単に辞めるなんて言わないで!!」
「マッキーそれはダメだと思うよ。俺もそういう無責任な言動嫌いだからね。」
俺の言葉に
「恵は私を1番愛してくれるっていう約束だよな!!それなのに嫌いっていうのか??私は仕事よりお前が大事なんだぞ??」
涙を浮かべて俺の襟首をつかむ。
「マッキーやめなさい。暴力はダメだぞ。」
「こんなの暴力に入らないぞ!!こいつからしたら蚊が止まっているのと変わらないはずだからな!!それに恵も!!お前からもたのめよ!!社長だぞ??私の親同然だぞ??」
「親??」
「ああ!!社長は私をここまで育ててくれた人だからな!!父親のいない私には父親なんだよ!!」
「そう思ってもらえているのは嬉しいが、親と思われているならなおさらだ。彼との付き合いは許さない。しかも彼は・・・。」
社長は続ける。
俺が複数の女性と一緒に居ること、遊んでいること、妹と異常に仲がいいことなど。どう調べたのかわからないが先生とのことまで知っていた。浅田さんとの会合や観月さんとの繋がりまで・・・。
「恵くんがなぜ国の中枢の人物と繫がっているのかはわからないが私のカンでは彼はダメなんだよ。」
「カンってなんだよ??カンって!!そんなもんで私は折れないからな!」
ものすごい怒っているマッキー。どうなるんだろう?