俺達の世界で優雅に楽しく
地球側のお話です。
「恵、なぁ恵・・・私はすごい幸せなんだよ。壊れたりしないよな?」
「ああ。ずっとこのまま続くように努力していけばいいと思うよ。お互いにね。」
「そうだな。そうだな・・・。」
マッキーが俺の横で眠りにつく。俺も眠る。元の世界に戻るために・・・。
「おはよう〜。」
ベッドを覗きこむレイ。
「おはよう。で、何??」
「『で、何?』はないじゃない??こっちでも楽しく過ごしたいな〜と思って朝の挨拶をしてるだけだよ。」
「あの後どうなったの??まさかラウル殺していないよね?」
「ははははは・・・。殺すわけ無いじゃない・・・。」
何その泳いでいる目は・・・。向こうのことが気になって仕方ないんだけど・・・。
「殺していないならいいけど。死なせでもしたら確実に永久追放だからね。ここにも戻さないよ。」
ものすごい汗をだらだら流すレイ。もしかして殺してしまったのか??
「殺していないよね??」
俺が念を押す。
「ちょっと旅に出るって・・・。」
「それ・・・。ヤクザ映画の行方不明者に使う台詞じゃない??滅茶苦茶向こうのことが、というよりラウルの安否が気になるんだけど・・。」
「2人も呼ぼうか・・・。」
俺はスマホでやっちゃんとハウンに連絡してすぐに俺の部屋に来てもらう。今日は幸い祝日だ。
しばらくしてインターフォンの音がして妹の美久が対応している。
「お兄ちゃん。弥生さんとはうんさんが来たよ?まだ寝てたりしないよね?」
「起きてるよ〜。上がってもらって〜〜。」
俺の言葉にものすごい速さで俺の部屋にやってくる二人。その素早さがなにかやらかした風に考えてしまうんだけど・・・。
「3人が揃ったところで聞きたいことがあります。嘘は許しません。ラウルはど・・・」
「あのね!!死んではいないわよ??そこは大丈夫!!」
「死んではいません!!はい!」
「ほら!!言ったでしょ??どこかに旅に出たって!!」
俺の猜疑心に満ちた目を見て脂汗をだらだら流す3人。どう見ても嘘ついてるよね・・・。
「誰にしようかな・・・。」
「はい!!やっちゃん!!今ならホントのことを言えば罪に問われません。ただし2人は罪に問われます。運のいいあなた!!今すぐ答えてください。」
「殺してません!!」
「召喚するとすぐわかるよ。」
「・・・殺してないです。そこは大丈夫です。」
「じゃぁ何があってそんな変な雰囲気なの??」
「実は・・・」
どうやら本当に出て行ったらしい。こんなひどい目に会うんだったら海に帰る!!って言って。
「なら君たち追放じゃん。」
それを危惧していたらしい。いなくなったなら自分たちの許された状態も解除されるのでは?と・・・。
俺が召喚するとラウルが現れる。ものすごい怪我をした状態で。
「ボロボロだね・・・。」
「・・・はい。」
『デュラン・・・』
俺の願いでラウルのおボロボロの体が元に戻る。
「・・・ありがとうございます。」
「ラウル・・・。本当に出て行くの?俺の元から去っちゃうの?」
「あの・・・3人がひどいんです・・・。私より強いのに・・・。3人で寄って集って・・・。」
泣きながら3人の文句を言う。
「俺・・・。最後のほうで言わなかったっけ??自分がやられて嫌なことが人にしないって・・・。なんですぐに破るのかな??」
「「「ごめんなさい。」」」
3人が頭を下げるが俺に謝ってきてもね・・・。
「謝る相手を間違ってるよね・・・。」
「「「ラウルごめんなさい。」」」
「この人たち怖いです〜。」
知ってます。
「ラウルは先に向こうに帰っておいて。こいつらは俺が何とかしとくから。」
「・・・はい。よろしくお願いします。」
送還してラウルの姿が消えてなくなる。
俺は3人に向かい話をする。下を向いて顔が見えないけど反省しているように感じる。
「この責任はどう取るの?」
「「「わかりません。」」」
「申し訳ございません。恵様。どうすればいいか検討もつかないです。」
ハウンが泣きながら言う。
「君たちはちょっと頭に血が上るとダメなタイプだよね。なんでそうなるの??魔族最強の戦士でしょ?最古の神々でしょ??真の勇者でしょ?」
俺の言葉にビクビクしながら下を向いている3人。
俺が怒ろうとすると
「お兄ちゃん・・・ごはんできたって。皆も食べて行きなさいってお母さんが言ってたよ〜。」
ドアの向こうから美久の声がする。その声を聞いて怒るのをやめて下に降りる。
「あらレイ達は??」
「上でお話してるからもう少ししたら降りてくるんじゃないかな??」
俺はパパッと朝食を食べて、自室に戻り、3人が落ち込んでいるのを横目に見ながら服を着替えて外に出る。今日はあの3人と一緒に居ると怒りがこみ上げてくる。向こうで話したことが全く頭に入っていない。
大事なことなのに・・・それがとてつもなく腹立たしい。
俺はスマホを取り出しマッキーに連絡する。
「あ!恵か??何か用か??今日は休みなのだ!!どこかいくのか??」
マッキーはものすごい嬉しそうな声で俺と話をする。
「マッキー。久しぶりに例のショップに行かない?」
「行く行く!!今すぐ用意するから待っててくれよな!!女は準備に時間がかかるから待ってくれよな!!」
俺は例のショップがある街の駅にあるドーナツ屋でコーヒーを飲みながらマッキーの連絡を待つ。
一番愛してくれ・・・か。その言葉を思い出してにやけてしまう。なんかすごく可愛い・・・。そんな気持ちを彼女に対して持つことになるなんて・・・。