3人の処罰と巻き込まれた神々
しばらくしてラウルがやっちゃんとレイを触手で捕まえた状態のまま連れてきて俺の前に現れる。
「ずいぶん・・・えらいことになってるね・・・。」
「はい・・・ギルドの酒場で2人共こうなっていました・・・。」
ゆっくり2人を下ろして困った顔をするラウル。
ラウルにもたれかかって
「おらぁ!!ラウル!!何突っ立ってんのよ??さっさと酒持ってこいよ!!」
「ラウル!!あんた性格どうにかしなさいよ?ぶっ殺すわよ??」
「らうる!!おまぇ〜〜〜、なにみてんだよ〜〜??スルメにするぞ!」
「魚のくせに泳いでんじゃね〜よ!!きいてんのか〜〜〜〜!!」
そのままラウルに絡み続ける2人。
「メイリーン・・・真の勇者って状態異常ならないんだよね??酒に酔ってるよ・・・。どういうこと??」
「わかりません。どういうカラクリなのか・・・。レイ様はともかく弥生様もああなるんですね・・・。」
「あらあら、ちょっとクルク、この子たちの酔を冷ましてあげてくれる?」
ミシュラが鼻を摘んでクルクに依頼する。2人共・・・ものすごくアルコール臭い。
「解!!」
その言葉と同時に2人が光る。
「効くか〜〜〜!!そんなもん!!こちとらシラフなんだよ!!酔ってるんじゃないんだよ!!傷心でおかしくなってるだけなんだよ!!」
やっちゃんはシラフらしい・・・。レイはキョロキョロしている。
「やっちゃん!!メグミの前だよ?しっかりして??」
「恵くん??そんな人も居たわね〜。死んだ人のこと思っても仕方ないって!!」
俺を死んだことにして酔っているのか???大したもんだな・・・。
「3人共しっかり話をできる状態になってほしいんだけど??無理なら話しないで永久追放にするよ。」
その言葉で一瞬で正気に戻るやっちゃん。
「はい!!戻ります!!遊びは終わりです!!」
「なんで呼び戻したかわかる??」
「「いえ」」
「今、ラウルのことで揉めてるんだけど。やっちゃんやレイの行いのレベルで追放になったのに、仲間殺し未遂のラウルが追放になっていないのは変だっていう話になってるの。」
「え?ラウル・・・あなたそこまで落ちたの??」
レイがびっくりした顔でラウルを見る。ラウルは下を向いて頷くだけ。
「そこでだけど、ラウルは反省して心入れ替えると言っている。マッキーは許していなけどその辺は真摯に信頼を取り戻せるようにラウルが何とかするとして、仲間殺し未遂を追放しないのに、レイとやっちゃんは追放するのはおかしいよね?だから戻ってきてもらおうかな?と思っている。」
「でかした!!ラウル!!今までで一番いい仕事した!!」
「ラウル!!よくやったわ!!あなたのこと嫌いだったけど大好きになったわ!!」
2人でラウルに抱きついている。当のラウルは困惑している。そりゃそうだろう。
「恵よ・・・。悪いけどレイちんとやっちゃん追放してくれない?私ちょっとムカつくんだけど・・・。」
「「ごめんなさい・・・。」」
「君たちね・・・。マッキーの事考えてあげてね。そういうところで追放になったって気づいていないのかな??反省なし??」
俺のコメカミにはものすごい血管が浮いているだろう。その顔を見て2人は頭を下げる。
「マッキー、ゴメン。殺されそうになったんだよね?でもいいじゃない!!生きてるんだもん!!」
拳を握ってガッツポーズしてヘラヘラ笑うレイ。
「恵・・・。反省しているように聞こえないんだけど・・・。」
「マッキーもそう感じた?俺もなんだけど・・・。」
「3人共追放でいいと思うんだけど・・・。レイちんとやっちゃんが追放と聞いてびっくりして何とかしないとって思ってたんだよ。でも必要ないな・・・。恵はどう思う?」
「俺もマッキーに賛成かな??永久追放でいいんじゃないかな?」
そのやりとりを聞いてペコペコしている3人。顔色もものすごく悪い。
「ちょっと!!レイ!!やっちゃん!!ふざけるのもいい加減にしなさいよ!!恵様がものすごく怒ってるわよ?マッキーは殺されかけてるのよ??それなのに何なの?その態度は!!」
ハウンが涙を流して怒り狂っている。
「私はラウルを追放する方に賛成なの!!それであなた達の話を出してそれより重い罪のラウルを追放しようとしているのよ!!当たり前よね??仲間を殺そうとしたのよ?そんなやつを置いておけないわ!!それでもラウルを追放しないために恵様はあなた達の罪をなしにしないといけないのよ?反省していないならどうしようもないじゃない!!本当にバカなの??」
ハウンの怒りに前に立っている3人がものすごく小さくなっている。
「ふざけすぎました・・・。申し訳ございません。」
「あのね・・・。仲間なんだよ?俺は絆が深い仲間だと思ってるの。でも、思いやりのない言動や行動をするんだったらここに居る場所はないよ。これからは思いやりを持てるよね?自分が嫌なことを人にしたりしないよね?」
俺の言葉に頷く3人。
「マッキー。俺が何かするからラウルを許してやってほしい。彼女には信頼を取り戻すために頑張ってもらうからさ。何をしてほしい??」
「私を一番愛してくれ!!向こうでも!!そうすれば許せる!!どんな憎いやつでも受け入れられる!!」
「え??そんなに??そんなことで殺されそうになったことも水に流せるの??」
「当たり前だ!!恵!私がお前をどれほど・・・。あぁぁ!!言わせないでくれ!!爆発しそうだ・・・。」
よくわからないが何かを言おうとすると爆発してしまうらしい。
「じゃぁ俺の部屋の横にくれ・・・」
「そこは私の部屋です〜〜〜〜〜!!」
ハウンが俺の首を絞めながら抗議してくる。ゴメン。
「そうだった!!じゃぁ俺の部屋に来ればいい。どう??」
「いいのか??毎晩愛してくれるってことだよな??こっちでは正妻だよな??」
「そうなるね。」
俺は笑顔づなずく。
「ラウル!!あんたのせいで変なことになったじゃない!!」
「ラウル!!バカバカバカ!!」
ラウルを殺さんとばかりに攻撃するレイとやっちゃん。あまりのことでも回避するラウル。
「隣の意味がなくなったじゃない!!この馬鹿ラウル!!!」
ハウンがラウルに飛びかかる。
ハウンの方には警戒していなかったようでハウンの攻撃に当たりひっくり返る。
そこにレイとやっちゃんが襲いかかる。
「たす・・・」
俺に抱きついて離れないマッキー。
ラウルをボコボコにしている3人。
「助けて」の声も上げさせてもらえないラウル。
「間違っても仲間を殺さないように・・・。」
俺はその場の皆に解散するように伝える。まだいっぱい話すべきことがあるけど今日は無理だろうという判断からそういった。
皆もそう思ったのかやれやれという身振りを見せて自室に帰っていく。
「マッキー、行こうか?」
「うん!!」
ものすごい笑顔のマッキー。俺はマッキーをお姫様抱っこで俺の部屋に連れて行く。
「あぁ、夢みたいだ・・・。ラウル様様だ・・・。」
よかったよかった。もう恨む気持ちはないようだ・・・。