旅は道連れ
ミューアスの街に入る。久しぶりのミューアス。船のチケットを買うためにウロウロしていたら、そこに知った顔を見つける。
「おや??レイさんに弥生さん・・・。確かメイリーンさんでしたよね?なぜここに??恵さんは??」
観月が私達を見つけて近寄ってくる。観月は国が管理する旅人の監視役というのが今の仕事のようだ。最近じゃ、外国人との結婚が原因でかつて居た重要なポストから外れている。
「観月じゃない?なにやってんの??」
やっちゃんが胸を張って聞いている。もう立ち直って何事もなかったかのようだ。
「ミューアスはA国管理下なんでいろいろあるんですよ!!浅田首相も居ますがお会いになりますか??」
「別に会う必要ないと思うわ。これと言って何事もおきていないし。」
「起きてるじゃない??私達・・・メグミに捨てられたんだよ〜。」
「え??まさか・・・。ありえないですよ!!あれ??弥生さん泣いてますよ??大丈夫ですか??」
「レイ!!思い出させないでよ!!もぅ!!」
目をグシグシ拭いながらやっちゃんが私に文句を言う。なんだ・・・強がってるだけかよ・・・。
「もしかして・・・本当なんですか??」
頷く私達を見てなんとも言えない顔をする観月。
「観月くん!!船の手配が出来たぞ!!いまから・・・ってレイさんに弥生さん。何しているんですか??」
浅田はあんたより上の立場でしょ??パシリにしてたの??浅田が私達に気づいて話しかけてくる。それを聞いて観月がぼそぼそ言っている。多分説明しているんだろう。
「そういうことなら私達が中に入ってみるとしよう。今からメグミ帝国に行くわけだし・・・。」
どうやら浅田はメグミに用事があるらしく、今から会いに行くところだとか。
「どうです?ご一緒しませんか??強い方が一緒というのはとても頼もしいですし!!」
「あなた達もやるほうじゃない?この世界じゃ相当なもんよ。」
「いえ・・・それがそうとも言えないんですよ。最近強力な冒険者が結構な数やられています。誰が何の目的かわかりませんが冒険者をターゲットに襲っているようですよ。」
強力な冒険者・・・。それをどの程度かはわからない。それでも今の浅田たちは相当強い方に入るはず。
「今あなたたちは何レベルよ?」
女から男性へのレベルを聞く行為はマナー違反ではない。なぜかはわからないが、誰から始まったのかもわからないがこれは全然イケる行為なんだな。
「浅田首相は1000超えですよ。すごくないですか??私は1100ほどです。」
見ない間に相当強くなっているがそれだと・・・地獄行きだね!!そう思って口元が笑ってしまうと
「レイさんはなぜ笑っているんですか??」
「レイ様は多分、お二方とも地獄行きだと思って笑っているんだと思います。」
メイリーンがいらないことを説明してくれる。
「え?これと言って悪いことしていませんよ?政治家と官僚というだけで悪者扱いですか??」
観月が驚いているけどそういうことじゃないんだな〜。でも説明が面倒だなと思っているとやっちゃんが説明してくれている。
「なんですか??その理論は・・・。死の神々??神々にまた知り合いができたんですか?」
やっちゃんが面倒くさそうに説明しているのを聞きながら私達は港へ向かう。
「まて!!貴様たちは船に乗せることが出来ない。」
港の入り口にいる衛兵に止められる。
「なぜですか??切符持ってますよ??」
「あんたたちじゃない!!こっちの女達だ。お前たち、メグミ帝国のものだろ?手配書が回ってきている。こちらに来てもらお・・・」
私達に手を伸ばす衛兵。私に触れる瞬間に船がものすごい音とともに沈み始める。
周りから悲鳴や、怒号が響き渡る。
「な!何事ですか??これは・・・」
「強力な冒険者はっけ〜〜〜ん!にははははは〜!!この国からは出しませんよ〜。」
ローブをまとう3人がその場に現れる。
「強力も何も相当なもんですよ?レベルがヤバイですね〜。」
「捕まえればいい素材になりそうだな。」
「おやおや、真の勇者様じゃないですか??捕まえればご褒美がもらえますよ??」
3人がそれぞれ話している。この船の沈没の犯人に間違いないがいつどのようにやったのかわからない。
「メイリーン!!気をつけて!こいつら何かしらのスキルを使うみたいよ?」
「レイ!!あなたは浅田たちの護衛を!!」
やっちゃんが指示するが
「弥生さん、我々は自分で身を守ります!!レイさんも参加するように言ってください。」
浅田たちは走ってその場から離れながら港にいる人々を誘導して逃している。