3人ぶらり旅。
「テレサ・・・あそこにいるの??」
「ええ。今はあそこに居るはずですよ。」
今まさに建設中という感じの街がそこにある。誰も居ない街が。
「おや、あなた方は・・・いつぞやはお世話になりました。」
闇の神々であるラミリスが私達に頭を下げる。
テレサが早速ラミリスに事の経緯を説明してくれてすぐに飛竜を1体用意してくれる。
「この子はメグミ帝国を知っているので飛んでいってくれると思います。ただ・・・」
なんと、メグミはここにも連絡を入れていたようだ。かなり怒っていると思われる・・・。どうしよう。
「恵くんはなんて言ってたの??」
「そっちにレイたちを派遣したから労働力に使ってくれと・・・。」
その言葉を聞いてやっちゃんが唖然としている。口が開きっぱなしだ。
「女性ではありますが力もあるのでとても助かると言ってしまいました。まさかそんな理由でここに取り残されているとは・・・。」
ラミリスはかなり困った顔をしている。
「労働力にはメイリーンを置いていくから大丈夫!!」
「ひどいです!!」
メイリーンが私を睨む。
「ちょっと!レイ!!今仲間割れしている場合じゃないわよ?お取り潰しが着々と進んでいるんだから!!」
やっちゃんが涙目で私を責める。メイリーンもぶぅぶぅ言ってブーイングし続けている。
「そんなことになっていないならゆっくりしてもらうんですけどね。」
テレサが少し寂しそうだがソレに付き合っていると部屋がなくなってしまう。
「このゴタゴタが終わったら必ず遊びに来るから!!待ってて!!」
私達は急いで飛竜に飛び乗ってすぐに飛び立つ。
「あなた・・・あれでよかったの??」
私の耳がテレサの不穏な言葉を拾う。あれってなに??私の気持ちも知らずに飛竜はものすごい勢いで飛んでいく。風はないが非常に気持ちいい。
「このスピードならすぐに到着しそうね!!」
やっちゃんが笑顔で私にそんなことを言うが私はあの言葉が引っかかって仕方ない。
「さっき、飛び立つ瞬間にテレサが『あれでよかったの?』ってラミリスに聞いていたのよ・・・。どう思う??」
「それって重要なんですか??労働力を帰すっていう選択に対しての言葉じゃないんですか??」
メイリーンの言葉になるほどと思う部分もあるがちょっと違うように感じて仕方ない。
「恵くんが何かを仕掛けた可能性もあるわね・・・。そうなると・・・この飛竜・・・どこに行くのかしら??」
そんな話をしているとものすごい高い山々が目に入ってくる。
「ここは・・・ミューアスとメグミ帝国をつなぐ途中にある邪魔な山ね。ということはちゃんとメグミ帝国に向かっているのよ!!よかった〜〜〜!!」
やっちゃんが胸をなでおろしている。私と手を握り合ってきゃっきゃ言っていると
「何言ってるんですか??この方向はミューアスですよ!!?レイ様も弥生様も方向音痴ですか??」
メイリーンが泣きそうな顔で私達を馬鹿にする。
「何言ってんのよ??西に向かって飛んでいたはずだからこのままいけばメグミ帝国のはずよ?」
「気づいてなかったんですか??西に向かって少し経ったら南に移動していましたよ?その後北上しながらこの山々に辿り着いたんですよ?このまま北上すれば間違いなくミューアスのはずです!!」
「「ははは・・・まさか・・・」」
「仲良く『まさか』なんて言ってる場合じゃないですよ!!ほら!!見覚えあるじゃないですか??あの街!!」
「そんな・・・たらい回し??」
「でもあの街からならすぐに帰れるわよ?帰り方がわかってるんだし!!」
「弥生様はアホなんですか??ミューアス行っちゃったら・・・帰りは船ですよ??何日かかると思ってるんですか??」
「あぁぁ!!」
「メグミ!!メグミ!!悪かったから!!謝るから!!通話に出て!!ね??ね??」
通信機器を持って大声で叫ぶ私。周りでメイリーンややっちゃんもメグミに繋がるように祈っている。
「ザザ・・。レイ様??」
この声はラウル??
「ラウル??メグミは??どこ行ったの??」
「え??聞き取りにくいんですけど??恵様ですか??恵様は今部屋を壊していますよ。笑いながら・・・。改築ですか??よくわかりません。」
スピーカーから聞こえるラウルの言葉に全員顔を青くする。
「メグミは今、部屋を壊しているの??誰の??」
「今は弥生様のですね・・・。先ほどまでレイ様の部屋を壊していました。改築じゃないんですか??」
「「いやぁぁぁ!!」」
私とやちゃんは大きな声で絶叫する。その横でメイリーンが
「あの・・・恵様に伝えてもらえますか??なんで私はこの人たちと一緒にいるのか・・・。」
「ちょっとまっててくださいね。」
受話器の向こうからラウルの疾走る音がする。私はもう絶望に打ちひしがれてどうでもいい・・・。
しばらく経って飛竜はミューアスから少し離れた平地に降り立ち私達を降ろす。大きな声で一声鳴いて飛んでどこかに行ってしまった。
「ラウルです。さっき恵様に聞いたところ、メイリーン様は2人の監視役だそうです。監視よろしくとのことです。監視役になった理由はアホな子を見る目で見たからだとか・・・。心当たりあるんですか?」
「・・・ありま・・・す。」
落ち込んでいるメイリーン。あんたはいいだろ??部屋もあるし、私達の監視役なんだから・・・。どちらかというと私達を裏切ったほうなんだし・・・。
「なんですか・・・その非難の目は??お二人のせいで私はこんな目にあってるんですよ??」
メイリーンが私達の目線に気づいて怒り始めた。
「恵様に伝えて下さい!!皆反省しているので許してくださいって!!」
「ふふふ・・・いい気味・・・。」
通信が切れる。ラウルめ・・・さすが性悪女ナンバーワン・・・。帰ったら成敗してくれる・・・。
「仕方ない。壊れてなくなった以上ゆっくりでもいいと思うんだけど・・・どうする??」
やっちゃんが開き直ったみたい。さすが真の勇者・・・メンタル強すぎ!!
「そうですね。無い物は無い。楽しく旅しましょう。」
メイリーンも立ち直ったみたい。真の勇者はいいよね・・・。状態異常にかからないから。